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将棋を好きになって考えた興味の話。

知っている人のはいくつか読んでるよ、という声を聞くことがある。
そうだよね、知らない人のことって興味ないよねと思いながら、ふと疑問に思うことがあった。
知っているから興味をもつのか、興味をもつから知っていくのか。
鶏と卵みたいだなと思いながら、僕はこれにはっきりと線を引くことができない。
ただ、鶏も卵も、それ自体に出会わなければ、その人にとって有るものではないのだろう。

2年前から将棋にハマった。指す方ではなく観る方。通称、観る将。
それまでは、なんとなく有名棋士の方の名前を知っているという程度で、対局を観ようなんて思うこともなかった。
ルールは知っているし、そういう意味ではプレーできるのだけど、手も読めないから全然強くもなく、盤面を見ても優劣の判断がほぼつかない。
だから、観ることは全くなかった。

そんなだったのだけど、藤井聡太さんのニュースを幾度も耳にするうちに、なんとなくチャンネルを合わせるようになった。
初めてちゃんと観たのは、藤井聡太さんのタイトル挑戦、棋聖戦の1局だったと思う。最年少記録のかかった話題の棋戦だった。
AbemaTVで生中継をされたそこには、将棋AIによる形勢判断があり、一日中解説をする棋士の方がおり、なんだかよく分からないでいた将棋のことを、なんだか少し分かった気になるような仕掛けが満載で、それから一気に、将棋を観るのが楽しみの1つになった。
やっぱり目の前で起こっていることがどういうことか、なんとなくでも分かるというのは、僕の興味のフックになるようだ。

驚いたというか笑っちゃったことがあった。
持ち時間が何時間もあるその対局のなかで、次の1手を指すのに1時間近く考えたりすることがある。
その間は当然、盤面に変化がない。
これからどう進展しますかねぇと、解説の棋士の方が何パターンもこの場合はこうとやって見せてくれるのだけど、対局者は延々と考えている。
そのうち、では〇〇先生のこの1週間を振り返ってみましょう、と言って、その解説の棋士の方の1週間が映し出された。
そんなことある? 笑

今週はこんな感じでしたねぇとかひと通り喋ってもまだ局面は進まない。
進まない間はトークでつなぐ。
この人は山登りが趣味なんだとか、この人むっちゃギャグ言うやんとか、将棋以外の情報が色々入ってくる。
SNSを覗くと、見ている人もそれを楽しんでいる。
最初は驚いたのだけど、そういうものなんだと理解した。
そして、これは良い関係だし良い知られ方だなと思った。
その人のパーソナリティな部分を知ることで、より興味をもって眺めることができる。

2年経った今では、たぶん50人近い棋士の方を知っている。
それまで全く知らなかった人が、知っている人になった。
おかしな話に聞こえるかもしれないが、その知っている棋士の方皆さんの対局を観ているわけではなかったりする。
ゆるやかなつながりとでも言おうか、そういう知り方、関わり方もある。
ちなみに、『すごすぎる将棋の世界』は、今なんとなく興味あるかもという人の導入書にオススメだ。
僕はサバンナの高橋さんほど深くはないが、ハマり方としては似ている。
将棋の周辺にも面白さがたくさんある。

何かのきっかけで出会っても、情報に触れるハードルが高いと、少し萎えてしまう。
何か地続きにリンクするものがあると嬉しい。
アクセスしたときにコンテンツが豊富だと、どんどん興味が育っていく。

知っているから興味をもつのか、興味をもつから知っていくのか。
そのサイクルは、回り始めたらもうどっちが最初か分からない。
回り始めること、それが続いていくことがお互いにとってハッピーだ。



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note「わたしと演劇とその周辺」
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