『彷徨い法師』
独り法師の影法師
法師様はひとりぼっち
夢夢、墓墓、巡礼者
ありがとうと、仏声
ひとつの気掛かりがある
仏声が付きまとうこと
フロリダに行っても
暖かい気候の中に居ても
たまに寒気が
いやいや寒気も何とやら
自分励まし
お経で吹き飛ばす
いやいや吹き飛んだのか?
新しい宿を探しても
付きまとって居るんじゃないかと
疑心暗鬼
同じ宿のケビンが心配してくれた
だけど、有難くても
他人に理解なんて限界があるよね
ある朝目が覚めて気付いた
おかしな感覚に
いつもと違う
肩にのしかかる重さ
振り返っても誰もいない
ところが鏡を見れば薄ら映る人の顔
ありがとうと、仏声が響いた
おや?ケビンではないか!
ケビンは耳元で囁いた
「一人の法師の背中にのしかかって
いたよ、法師様が故国に居る時からね」
ひとりぼっちの法師
よくよく観察してみれば
ひとりぼっちではなかったのだな
夢夢、墓墓、巡礼者
ありがとうと、仏声