赤ん坊は『勇者』

新たな世界に赴く勇者

日々大きくなり

日々出来ることが増える

日々見える景色が変わり

日々新たな感情が芽生え

日々食べるものも変わり

変わり続ける世界

立ち止まることは無く

進み続ける

立ち止まると

『何か』に背中を押される

「休みたい」
「構わないで」

この感情が何なのか理解できない

大きな声を出す

すると視界がぼやけ、水が沸く

何も見えない

怖い

誰か助けて

言葉がわからない

ここが何処なのかわからない

何をしたらいいか分からない

『不安』という名の『恐怖』

戦わなければならない

頑張れ

俺が側にいる

頑張れ

ゆっくりでいい

頑張れ

誰かに背中を押されるのであれば

俺『達』はお前の両手を繋ごう

視界が霞むのであれば

俺『達』が光を照らし包み込もう

『不安』が『恐怖』なのであれば

俺『達』が取り除いてあげよう

俺達とお前の間に言葉はいらない

その『声』と『目』だけで

感情を伝えることが出来る存在

そんなお前が初めて認知した人間

そして時が経ち

赤ん坊は『勇者』になる

勇者よ

ここから長い冒険が始まる

勇者よ

俺達はこの小さい手を離す

ここからは『光』となろう

迷うことが無いように

勇者よ

忘れるな

無知の状態から知を持ったその体験を

勇者よ

忘れるな

『冒険』とは『挑戦』だ

『進化』を止めるな

勇者よ

忘れるな

いつでも俺は傍にいる