“戦争危機”の夏:衝撃の2022年の現実
2022年も8月だ。さて今年はどうも歴史的な年と断言できるのではないだろうか。世界中どこを見ても、あまり良いニュースがないように思える。私たちはこの間、長引く疫病禍に疲弊し、時代錯誤の侵略戦争を目の当たりにしたことは今更いうまでもない。しかし、ちょっと今年はおかしいのではないか、そんな危機感を持っている人もまた少なくないはずだ。
日本の夏といえば戦争と関連する事が多い。原爆投下や終戦の日は8月だし、戦没者追悼行事もそれに伴って行われてきた。そんな夏の暑い日に、すっかり戦争というのは過去のものと錯覚してきた私たちの考えかたに、いま大きな見直しが迫られているのではないか、と感じてしまう。
長らく日本を含む極東地域、広くアジア太平洋の地域では、大きな戦争という戦争は先の大戦以来発生してこなかった。もちろん、小さな紛争やさまざまな事件があったことは間違いなく事実だが、アジア太平洋戦争のような世界大戦レベルのものは、たしかに勃発しなかったであろう。
昨今世界が懸念する危機に、台湾有事があるというのはもう多くの方はとっくに知っているだろう。しかし、どうもこの台湾有事とやらが、いま再び懸念されてきたということから日本に住む私たちは逃れられないのだ。
台湾有事は日本有事、そして日米同盟の有事である── 凶弾に斃れた故・安倍晋三氏はかつてこのようにいった。まさにこの発言のとおりに現実でも台湾侵攻が勃発すれば、米中日台というそれはもう世界の名だたる大国がインド太平洋で入り乱れ、世紀の大戦になるということは言わずもがなであろう。とくに、侵略者にたいしてレジスタンス=台湾を救けるために日米同盟がそれらを補助する、というかたちになるというのもまた容易に想像できるだろう。これはまさに、我が国日本が戦争に巻き込まれるどころか、もはや主体的に戦わざるをえないということである。
思え戦後77年、今日まで私たちの国は戦争というものからもっとも遠いところにあった。しかし、その戦後が幕を閉じるなかで既存の国際秩序が揺らぎ、そのなかで民主主義自由国家vs権威主義専制国家という対立構図があるのはもう現時点で明らかにはっきりとしている。このまま情況が悪い方へと進めば、もしかするとこのような最悪の事態を招きかねない、ということになるだろう。
しかしながらいま私たちが出来ることはまだまだ少ない。それでも、これまでのようにはどうもいかないだろう、ウクライナや香港でみた光景はまさに明日は我が身そのものであり、明日の台湾・明後日の沖縄、などといわれるように有事の足音は着実に迫ってきているものと思われる。
さて、これまでの戦後平和のなかで、戦争は二度と起きないだろう、などという楽観論が跋扈してきたが、それがほんとうに正しいのだろうか、などといま一度よく考えたい日本の夏、戦争危機の夏。