【ハマ本】横浜・川崎・鎌倉スリバチの達人
ちょっとくどいタイトルだが、箱根や湘南方面を取り上げていないので地形メインの本で神奈川と名乗るのは遠慮したのだろうか。それとも神奈川というより横浜・川崎を前面に出したほうが売れるという判断か。
横浜川崎で半分以上を占めてはいるが、索引図を見ると北部南部の郊外部がないことが分かる。現代の地図と比較する明治大正の地図がないのだろうか。当時は横浜市ではない場所だし。
鎌倉は3図あって、さらに横須賀、海老名、江の島がある。海老名のセレクトが意外だが国分寺があったからか。
目次の下に凡例があるがここだとあまり目立たない。点線が古道や川跡を示していることはここに出ている。
各エリアとも、現代の地図、明治大正期の地図、地図中に番号を振ったスポットの写真と解説2見開きという構成。
現代の地図には肝ともいえる地形を濃い緑へと至る標高ごとのグラデーションで表現した段彩ぼかしに加えて、鉄道や河川を目立たせ、水路跡や旧街道なども盛り込んでいる。
続く見開きのちょっと前の時代の地図は、図取り・縮尺とも前出の現代の地図にあわせて時層マップのようにページをめくったり戻したりすると見比べられる。こちらは加工はせずに、スポットの番号のプロットとエリアへの若干の解説のみ。
続くスポットの写真では地図の地形と写真を比べながら地形や歴史についての解説を読める。階段や坂の写真が多く、街歩きの疑似体験もできる。
横浜山手で吉田橋関門跡の地図中の位置が誤っているのが惜しい。関内駅の横浜側の端、と思ってJRと地下鉄を取り違えたらこうなるかもな、という場所になっている。
地形表現入りの現代の地図は、街の達人コンパクトをベースにした凸凹地図も出ていて、そちらは横浜川崎全域なので、スポット的なこの本の地図よりより街歩き向き。ただ需要があまりにニッチで商業出版物として果たして元が取れるのか疑問。いや、寺社が探しやすくて便利だけど。