経営企画やCFOは「経営参謀」
経営企画部門ほどそのミッション(部門としての存在意義や定義)が曖昧な部門はないのではないでしょうか?
その結果、他の部署ではカバーできない(しない)仕事が経営企画部門に集まってきてしまい、その結果、「経営企画部門が雑務に追われる」という状況に陥っているケースも多いのではないでしょうか?
CFOも会社のフェーズや状況によっては同じような状況に陥っていることでしょう。
この記事では、そういったCFOや経営企画が「果たすべき役割」について私見を書いています。
企業価値を高める経営参謀
私が考えるCFOまたは経営企画部門(以下、「経営企画部門」)のミッションは「企業価値を高める経営参謀」で、とても価値の高い役割を担っていると思っています。
しかし、現実的には、雑務に追われていたり、エクセル作業に追われていたりして、付加価値の高い仕事ができてないケースも多いでしょう。
そうなってしまう一つの原因は、多くの経営企画部門の所管業務となっている「予実管理」にあると思います。
経営企画部門が行なっている予実管理がPL(損益計算書)ベースでデータ管理されて経営陣に報告されている状態。
または、それに加えて一部の結果指標(例:契約数や契約単価)だけがデータ集約されてPLとともに経営陣に報告されている状態。
このような状態であれば、マーケティング部門や営業部門(以下、「事業部門」)が日々追いかけている先行指標および結果指標(以下、「KPI」)は各部門から直接経営陣に報告されているはずです。
つまり、KPIが経営参謀である経営企画部門のフィルターを通ってないという状態で、その状態では、経営企画部門が「経営参謀」としての役割を果たせてないとも言えます。
たとえば、戦国時代の軍師(参謀)を想像してください。
優秀な軍師であれば、必ず、戦場の前線(現代で言えばマーケティング部門や営業部門)の状況をつぶさに把握した上で、戦略・戦術を考え、大将(現代で言えば経営陣)に有用な提言をしていると思います。
KPIが経営参謀である経営企画部門のフィルターを通ってないという状態は、戦場で言えば、前線の状況については各部隊が直接対象に報告しているという状態です。
そうなれば、参謀としての役割を果たしづらくなりませんか?
または、経営会議という場で事業部門が経営陣に直接報告する前に、KPIを把握・分析した上で経営会議の場に臨むほうが、よりスピーディーな意思決定を可能にするので参謀としての価値が高まりませんか?
そもそも、戦場の全体、つまり、「事業部門のKPI」と「結果としてのPL」を統合して事業全体を把握していなければ、経営参謀として、的確に状況把握して、適切な戦略・戦術を考え、経営陣に報告・提言するということは難しいのではないでしょうか?
また、事業部門が経営陣に直接報告するだけであれば、次のような問題も起こりかねません。
たとえば、事業部門が把握しているKPIが10個あったとして、そのうち進捗状況の良くない3個は報告対象にせず、進捗状況の良い7個だけを報告対象にするというような問題です。
もちろん全ての事業部門がそのようなことをしているわけではないですが、一般的にはそのリスクは存在し得ますし、またそれを認識した上で性善説で回避しておくべきでしょう。
経営企画部門が経営参謀としてそれら10個のKPIの状況を把握できていたならば、事業部門が報告しなかった3個のKPIについても経営陣に注意喚起することができるでしょう。
これは経営陣にとってもとても有用で重要です。
つまり、KPIを経営企画部門が随時把握し、PLの予実管理と紐づけて、事業全体の状況を分析・報告することは、経営参謀としての役割を果たし、経営企画部門およびそこで働くメンバーの価値を高めるだけでなく、経営陣が適切な経営意思決定をする上でも重要です。
企業価値を高めるには?
ここであらためて、経営企画部門のミッション「企業価値を高める経営参謀」についての定義を考えてみたいと思います。
「企業価値を高める経営参謀」という言葉のうち、「経営参謀」としての定義(=果たすべき役割)はこれまで述べてきました。
では、「企業価値を高める」という言葉の定義はどうでしょうか。
ご存知の通り、企業価値は理論的には「DCF(ディスカウント・キャッシュ・フロー)」によって算出されます。
その大きな要素が「将来キャッシュ・フロー」ですが、その基礎となるのが「予実管理の精度」です。
つまり、予実管理の達成度が高く、またその再現性が高いのであれば、将来キャッシュ・フローについての蓋然性も高まります。
そこで、「企業価値を高める経営参謀」としては、「予実管理の達成度とその再現性を高める」必要があるでしょう。
その方法については、ぜひ次の記事をご覧ください。
この記事が、経営企画部門およびそこで働かれる方々の「価値」が高まる一助になれば嬉しいです。