#中世ヨーロッパ
嘘なら、夢ならよかったのに(後編)【夢見る恋愛小説】
数日後、本当にプリンセスは現れた。
目を丸くして驚いている兄弟に、
『来るって言ったじゃない?』
と茶目っ気たっぷりに微笑んでいる。
1つ、2つと咲き始めた薔薇を数える後ろ姿。
1度の奇跡で終われば、
なかったことにできたかもしれない。
平凡な毎日に麗しいプリンセスが登場して、
心を奪われないなんてできるだろうか。
それは10才のぼくにも、
年の離れた兄にも同時に訪れた初恋。
決して、結
嘘なら、夢ならよかったのに(前編)【夢見る恋愛小説】
どうして僕たちは出逢ったんだろう?
出逢わなければよかった?
ほかの未来があった?
そんなことできた?
今でもたしかに、こんなに愛しい気持ちだけはっきりとここにあるのに…
~※~※~※~
ぼくと兄は家の近くにある、
平凡な田舎の教会に花の手入れに来ている。
頼まれた訳でも雇われているわけでもないが、代々我が家がやっている。
ぼくと兄は少し年が離れている。
ぼくはまだまだ子どもだけど、