見出し画像

映画レビュー:ラストマイル

※ネタバレを大いに含まれます。

8月の映画記録は4本、いずれも観応えのある素晴らしい作品だった。今月最後のレビューは、「ラストマイル」について記す。

舞台は巨大通販企業の物流センター。ネットショッピングで購入された商品をピッキング、パッキングし、物流業者へと荷物として流していく。この物流センターから出荷された荷物に爆弾が仕掛けられ、登場人物たちはその対応に追われていく。そのようなストーリーである。

世の中は便利になった。たった数回のタップで商品を購入でき、翌日(場合によっては当日)には商品が届く。もはやそのサービス水準が当たり前で、送料無料や時間指定すら、当たり前だと思う生活者も多いことだろう。

この作品で改めて気付かされるのは、物流はもはや社会インフラであり、「物流を止めない」という使命感に溢れた人々の努力によって形成されているインフラだということだ。

一度便利に慣れてしまうと生活レベルを下げるのはなかなか難しい。翌日に着くのが当たり前、指定した時間に着くのが当たり前、送料無料すら当たり前。指定時間どおりに届かなければイライラが募り、指定時間に届いても改めて感謝はしないのではないか。

そのような世の中に対し、ベルトコンベアを止めることで抗おうとするも、結局のところ一つの命だけでは社会は変わらず、また日常が続いていく。

丁度、郵便物の隠匿のニュースがヤフーのトップページに掲載されていた。コメント欄には社員や会社を叩くコメントは多数あれど、インフラを維持していることへの感謝や労い等は数えるほどしかない。もちろん、隠匿を擁護するつもりはないが、私たちの日常を維持している人々の使命感に感謝はすべきではないかと私は思う。

世のため人のためと働く縁の下の力持ちの方々に少しでもスポットライトを当てられる人間になりたい、そう思わせる作品であった。

映画館に急がれたい。

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集