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転職時、前職の確定給付年金は移換するべきか?
みなさま、こんにちは
今回は、転職するときに、もし、前職(転職前の企業)で確定給付年金の資産がある場合に、その資産は一時金で受け取るべきか、受取らずに移換すべきか考えてみたいと思います。
この解説は、前職で「確定給付年金制度がある大手企業等に勤務する会社員の方」向けです。
確定給付年金とは何か?
確定給付年金(かくていきゅうふねんきん)とは、退職後に受け取る年金額があらかじめ確定している年金制度のことです。会社や基金などの外部機関が積立金を管理し、運用を行い、一定の基準に基づいて受給者に年金が支払われます。
確定給付年金の特徴は、運用の結果に関係なく、受け取る年金額があらかじめ決まっている点です。一般的には、受給額は勤務年数や給与水準に基づいて計算されるため、将来の収入に対する安定性が高いというメリットがあります。ただし、運用のリスクは企業側が負担するため、企業にとっては負担が大きく、経済状況によっては制度の維持が困難になることもあり、ほとんど、いわゆる退職金が手厚い昔からDB制度が導入されている大手企業にしか導入されていないです。
会社が運用リスクをとってくれているので、年利(2%〜3%程度)固定の保険商品みたいな性質の、企業年金制度の一つです。
対照的な制度として「企業型確定拠出年金」があます。こちらは掛け金は企業負担の場合や従業員負担の場合や色々ですが、運用成果によって将来の年金額が変動しますので、運用責任は従業員本人が追っている制度です。
中途退職時の確定給付年金の受け取り方の選択肢
確定給付年金は、途中脱退する(中途退職するとき)も、資産として没収されたりせずに、そこまでの時点での資産を一時金で受け取るか、要件を満たす場合は繰り下げするか、他の制度に移換(いかん)するかのどれかの選択肢から選べます。
一時金は、その名の通り、その時点での全額を現金で受け取る(退職所得)。
繰下げは、60歳まで受け取りを保留にする。
移換は、その時点で受け取るはずだった一時金相当額を他の制度に持ち込む。移換後は、持ち込んだ後の制度に基づき運用し、受け取りは、移換後の制度に基づく受け取りになり、自由に引き出せないことが多いです。
なんだか難しくなってきましたかね? でももう少し説明を追加しますね。
もし、移換をする場合は、移換は、iDeCo、通算企業年金、企業型DC(転職先で導入している場合)、DB(転職先で導入かつ条件を満たした場合)へ持ち運びが可能です。
この、移換の選択肢、4つあるように見えますが、ほぼ「DB(転職先で導入かつ条件を満たした場合)」の選択肢はゼロに近いので、実質、iDeCo、通算企業年金、企業型DC(転職先で導入している場合)の3つの選択肢から選ぶことになります。
で、何か一番トクなのか? それは自分に合うトクなのか?
将来受け取る金額の大きさを求める場合は、、移換の一択です!
移換先は、もし、転職先に企業型DCがあるならば、企業型DCが選択肢で、企業型DCがない場合は、iDeCoが選択肢になります。通算企業年金は、利率等を考えると、自分で運用はしなくてもいいですが、利率に魅力はあまりありません。
この企業型DCかiDeCoが選択肢になる理由は、確定拠出年金は、原則60歳まで受け取りが制限される制度ですが、それまでの運用益には途中で課税されないという特徴があり、税制の観点で資産を大きくしやすい他にない特徴があるからです。
ただし、運用に全く興味がない、自分で運用をすることは、絶対やりたくないという方には向きません。
中途退職の退職金相当の額を、老後資産以外で使う希望がある場合は、、、一時金で受け取る方が、良いです。
この理由は、移換すると60歳まで(ほぼ)絶対引き出せない制度に持ち込んだらその後は60歳まで、本当に引き出せないです。中途退職時その資産で起業するとか、当面の生活費に当てようとか、住宅ローンや教育費に使おうという場合は、移換は自分に合わない選択肢になると思います。
繰下げは、どうでしょうかね。。
繰下げ中の制度や、繰下げ後に受け取る年金制度の魅力度にもよりますが、大体は中途退職をした人の老後の安心まで全力でサポートします という制度はあまりないでしょうから、お得度でいうと、あまり考える必要がないかもです。企業の制度によりますので、詳しく知りたい場合は、調べる必要がありそうですが、一般的にはお得度は低い場合が多いです。
正しく制度を理解することの大切さと難しさ
いかがだったでしょう?
そんな頻繁に退職するものでもないですし、企業年金界の常識は、世間一般に全く知られていない世界で、難しいな と思われる内容な気がします。
ただ、よくわからないから、適当に、、とするには、額が大きかったりするかもしれませんし、放置していてもいいことは全くないので、転職前によく考えてくか、または、転職後少し落ち着いたら、早めに対処するのが良さそうです。なお、確定給付年金は、確定拠出年金と違って、「自動移換」という制度はありませんので、勝手にどこか別の制度に持っていかれるということはありませんが、手続きをしないと、単なる未請求財産として塩漬け資産的な可哀想な状態におかれます。そのt目、こちらも、放置は禁物で。なお、移換は、退職から1年以内という期限つきになるので、無制限にいつでもどの選択肢もとれるということはありません。
この辺、転職前の企業もそこまで丁寧に教えてくれない場合が多そうですし、転職後の企業もその方の前職でどういう企業年金制度だったとか親切に教える立場でもないので、頼れるのはほぼ自分だけという状態になるのですよ。
大切な資産なので、ぜひ、自分でよく考えて、放置は禁物とお伝えして、今回は終わりにしたいと思います。
お読みいただき、ありがとうございます。
また何か別の記事でお目にかかれたら嬉しいです。