見出し画像

「女子大生の生理不調の認識」についてアンケート調査を実施しました

女性のライフステージ課題に向き合うBELTAは学生団体megaphONEと、177名の現役女子大学生(回答回収当時)を対象に「女子大生の生理不調の認識」についてのアンケートを共同実施いたしました。

この活動はBELTAが取り組む「プレコンセプションケア」を推進する活動の一環です。「プレコンセプションケア」とは、妊娠前の女性やカップルが将来の妊娠に備えて生活を見直し、健康を心掛けるきっかけづくりを行うことを指します。

アンケート実施の意図

近年、女性の社会進出やライフスタイルの変化の中で妊娠可能年齢のすべての女性にとってプレコンセプションケア(女性が心身ともに健康でいるための生活習慣づくり)の重要性が高まってきています。
しかし、ある調査(※1)によると生理に何らかの不調を抱えている人は20代で80%、30代で70%以上いると言われています。

また、別の調査(※2)では働く女性をサポート・配慮する企業内制度のなかで「生理休暇がもっとも社員の活用率が低い」ことが明らかになっており、理由としては「制度的に活用しづらい」の次に「上司や周囲の理解が浸透していない」ことが挙げられています。

このことから多くの女性が悩みや不安を抱えている一方で、「生理による不調」に対して周囲から理解を獲得できていない現状があります。

こうした状況を受け、今後数年以内に社会へ羽ばたく女子学生が「学生のうちからできることは何か」を模索していくために、生理に対する意識調査を実施いたしました。

調査結果

1. 異性からだけでなく、女性同士でも生理の理解不足によるトラブルや悩みが生まれている

生理に関して周囲に理解してもらえなかった経験を聞いたところ、「男性からの理解不足に悩んだ」という声が多い一方、「同性同士でも理解が足りないと感じる」という声も多く存在しました。(以下一部回答を抜粋・自由記述)

異性から

・バイトの時生理で辛いので休みますと告げた際、前もって分かるもんなんじゃないの?と言われ体調管理が出来ていれば良かったと思ったと同時にこの人分かってないなぁとも感じた。(大学2年/女子大/10代)

・苛立っていた時に、「生理中でしょ」の一言で済まされた。イライラしている女性=生理中なのも、ちょっと不快。(大学2年/女子大/10代)

・大学2年ごろPMDDがひどく、自分に合った薬がまだ見つかっていませんでした。兄には、生理の精神的な不調を理解してもらえず、嫌われてしまい、それ以来一度も口を聞いてきません。男性には判り得ないことでも、分かろうとしてくれない姿勢に哀しさや寂しさを覚えると共に、男女のそうした身体的な違いにもどかしさを感じました。(大学4年/共学/20代)

同性から

・母親から何かを頼まれて生理でお腹が痛いから無理と言ったところ、「そんなの甘えだ。私(母)は全く生理痛なんてなかった。」と一蹴された。(大学4年/共学/20代)

・生理痛で苦しんでいた時、比較的に生理痛が軽い友達(同性)に理解してもらえず、「大げさだよ」と言われた。(大学4年/共学/20代)

・生理が軽い子(同性)に、「そんな重たいの??私3日で終わるのに不思議だね〜」と疑うような感じで言われた。(大学2年/女子大/10代)

・生理中、母親に、生理前症状と生理中の症状について相談し、産婦人科に行きたいと訴えたが、生理痛専用?のピルなどに対しても悪いイメージしかない母親であるため、反対され、辛かった。(大学2年/女子大/10代)

2. 生理不調の種類や程度は人によって大きく異なっている

【生理不調の種類について】
「生理中、どのような身体的不調がありますか?(複数回答あり)」という質問に対し、最も回答の多い項目は「腹痛」で、全体の約83%。最も回答の少ない項目は「発熱」で、全体の約6%。また、「身体的な不調を感じたことがない」と回答した人もわずかながら全体の約1%存在しました。

「生理中、どのような精神的不調がありますか?(複数回答あり)」という質問に対しては、最も回答の多い項目は「だるさを感じる」で、全体の約66%。回答の少ない項目は、「些細なことで焦ってしまう」が全体の約20%、「怒りが抑えられない」が全体の約20%。また「精神的な不調を感じたことがない」と回答した人も全体の約6%いました。

以上のことから、生理による不調はさまざまな種類があり、どのような不調を経験しているかについても十人十色であることがわかります。

【生理による不調の程度について】
生理痛の影響が最も大きい日の活動レベルについて、6段階(数値が大きいほど日常生活に支障が出ている)で回答してもらうと、いつも通りに過ごせている方が6.2%にたいし、強く支障が出ている方が11.3%と私生活に影響を及ぼしている方が多いことがわかります。

精神的な不調の影響が最も大きい日の活動レベルについては(生理痛と同じく6段階評価)、1~6それぞれに回答した人が一定数いることから、生理による不調の程度についても人によって大きく異なることが分かります。

3. 生理不調の種類や程度が人によって異なることを女子大生の4人に1人は知らない

「生理にはどのような特徴があると思うか?」という質問に対しては、「生理期間・周期、経血量、痛み、不調には個人差がある」と回答した人は約75%に留まり、約25は個人差の存在を認識していない可能性があると考えられます。

4. 自分が体験したことのない生理不調への理解は乏しくなる傾向がある。

「生理に関わる身体的不調にはどのようなものがあると思いますか?(複数回答あり)」という回答者の【知識(理解度)】を問う質問と、回答者の【経験の有無】を問う「生理中、どのような身体的不調が起きますか?(複数回答あり)」という質問では、各項目への該当者数の割合がおおかた一致していました。

また、精神的な不調に関しても同様の質問を行ったところ、各項目の該当者数の割合はおおかた一致しており、同アンケート内の「生理に関する悩み」を聞いた別の設問(自由記述)では「生理の辛さがいまいち理解できない(大学2年/10代)」、「自分は生理があまり重くない方なので、生理の症状が重い友人に相談され、なんと答えれば良いか分からないことがある(大学2年/10代)」といった声も見られました。

以上のことから、体験したこと以外への理解が乏しいために、女性同士でも生理に関する理解のズレが起きている可能性が高いことが考えられます。

まとめ

今回の結果を通じて「生理不調」の種類や程度には個人差があり、多くの女性が様々な不調で悩んでいる現状がわかりました。また周囲から理解を得られないことで悩みを抱え込んでしまう女性がいることも明らかになりました。プレコンセプションケアを推進する上では、自分の健康と向き合うだけでなく、ストレスを作らない、溜め込まない、ことも重要です。引き続き、生理に対して正しい知識を持つことの大切さを社会に伝えていくとともに、女性が一人で悩みを抱え続けることのない世の中づくりに向けて尽力してまいります。

※1 出典 内閣府男女共同参画局「男女の健康意識に関する調査」(平成30年)

※2 出典 経済産業省「働く女性の健康推進」に関する実態調査(平成30年)

〈調査概要〉
調査対象者 :現役女子大生
大学区分  :4年生大学(共学)、4年生大学(女子大)、短期大学(共学)、短期大学(女子大)
調査期間  :2022年5月1日〜2022年7月10日
有効回答者数:177

学生団体megaphONE

株式会社ベルタと現役女子大生が協同で運営する学生団体。学生と社会人のギャップ解消することで、これから大人になる学生が「自分らしく生きる」ことができる社会を目指し活動。「megaphONE」には、現役の女子学生が抱えている声なき声に耳を傾け、社会や学生自身に発信するメガホン(megaphone)のような存在になりたいという想いと、たった1人(ONE)である自分自身の存在を大切にしてほしいという意味が込められています。