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バロック建築様式 17世紀~18世紀

17世紀から18世紀初めにかけてのヨーロッパで発達したバロック様式

ラテン語で「いびつな真珠」という意味をもつ「バロッコ」が語源。   ルネサンス様式がミケランジェロなどの巨匠たちによって完成されたものなら、バロック様式はそこからさらに壮麗かつ豪華に進化した、ヨーロッパ芸術・建築の最盛期の様式とも言われてるそうです。           ですが「バロック」=不整形のもの、装飾過剰のもの、という否定的なニュアンスも込められていたみたい。

バロック様式は3つの時代にわけられ
1600~1625年頃バロック前期大聖堂の改築や建築が盛んになり始めた  1625〜1680年頃バロック中期デザインがどんどん豪華になっていった   1680~1725年頃バロック後期イタリアからフランスに移る後期     前・中期はイタリアを中心としたカトリック教会のプロパガンダのために、後期はフランスなど周辺国の王の権力の誇示のために表現

16世紀初頭〜中期に起ったマルチン・ルターやカルヴァンの宗教改革にかげりが見られると、16世紀の中期以降、カトリック勢力による反宗教改革が起り、教会の勢力が盛り返します。                      そのころ

スペインは新大陸につくった多くの植民地により全盛期         ウイーンではルドルフ2世が神聖ローマ皇帝とボヘミア王を兼ねて即位  ハプスブルク王朝も絶好調。                     イギリスではエリザベス1世が即位                  フランスは太陽王と呼ばれたルイ14世の絶対王政へ、フランスは全盛期に

芸術も、その影響を受けます。

ルネサンス期にはメジチ家をリーダーとする市民社会が力をつけましたが、16世紀の中期以降、揺り戻しがあって、再び法王や皇帝や王が権力を回復します。

主要な芸術家のパトロンは、常にその世の支配者ですから、ルネサンス期に「神のための建築から、民のための建築」へとシフトした建築様式も、この時代になると「(国や皇帝、教会といった)絶対的権力に相応しい様式」が模索されることになります。

ルネサンスからバロックへの橋渡し「マニエリスム」
ルネサンス全盛期に頂点を極めた、古代ローマ・ギリシャ時代の規則に基づく、調和のとれた様式や手法を「マニエラ」              もともとイタリア語で「手法、様式」を意味する言葉が発展し、「高度な芸術手法」という意味をもつようになったこの「マニエラ」、さらに進化したものを「マニエリスム」といい、ルネサンス期とバロック期の中間にあたる1520~80年頃の短期間、存在した様式として知られています

バロック様式の特徴 〜豊穣で重厚、装飾的〜
新たなる創作の基本として、古典を見直し学ぼうとしたルネサンス期。  バロック様式建築は、そのルネサンス建築の香りを残しつつも、際立った対照をなしています。

ルネサンス建築 ⇔ バロック建築   
     端整 ⇔ 華麗
    控えめ ⇔ 華麗
     整形 ⇔ 不整形
 円形モチーフ ⇔ 楕円形モチーフ
     円柱 ⇔ ねじり柱(爛熟期→
         次のロココにつながる)  
   余白の美 ⇔ 空白恐怖に近い豊饒な
          装飾   
  彫りが浅い ⇔ 彫りが深い
レリーフ的な彫刻利用 ⇔豊富に彫像などを
            設置
    軽快感 ⇔ 重厚的
     静的 ⇔ 躍動的



バロック様式の実例

(1) サンピエトロ寺院のコロネード(列柱廊、バチカン)

寺院の前の広場から東に展開する広場を囲む列柱廊は、ミケランジェロと並び称されるもう一人の天才ベルニーニによってデザインされました。ルネサンス期に発明された遠近法表現を熟知し、それを応用した「逆遠近法」による寺院を引き立てるなどの手法が考えられています


聖カルロ教会(ローマ)

建築家ボッロミーニが創造したバロック建築です。それまでには誰も見たことのないような建築要素がいくつも盛り込まれています。建築の正面の1階壁面が凹-凸-凹、2階壁面が凹-凹-凹という形でうねっているのが最大の特徴。

ルネサンス期に確立された古典的テキストに対する反動意識の現われが集約されて、躍動感のある印象を与えます。彫りの深い各部のデザイン要素は、全体としては、一見危なっかしさすら感じさせる微妙なバランスの上に成り立っています。内部は楕円形のドーム屋根が、この時期の装飾要素に溢れた聖堂建築の内部空間の典型をみせてくれます。

メゾン・ラフィット(パリ)

腰折れ屋根(マンサード・ルーフ)にその名を残すフランスバロック期の代表的建築家のひとり、フランソワ・マンサールの作品です(代表作に「マンサード屋根」がないのが不思議ですが)。

聖カルロ教会などのイタリアン・バロックの典型に比べると、ルネサンス様式に近い印象も受けますが、内部の楕円形平面の部屋はまぎれもなくバロック。

細部のデザインも彫りが深く、装飾的要素の豊かさもルネサンスとは一線を画していますが、直線的デザイン要素も多く、一見してバロックには見えにくいのも確かです。しかしながら、後の世にしばしば採用されることになる建築様式の一つの原型である「屋根窓つきの急勾配屋根を頂く三翼形式(建物正面に中央と左右の三箇所にアクセントを付ける形式)」は、バロック様式の確かな一分野です。

ベルサイユ宮殿    (フランス)

権力を誇示するために、ルイ14世には世界一豪華な宮殿をつくりました。 ファッション、マナー、そして建築物や家具というデザインや文化のトレンドの発信地を、パリから11キロも離れた素朴で質素な田舎に建てる計画をしました。バロック様式の最高傑作です


賓館赤坂離宮本館  (日本)


日本のネオ・バロック様式の西洋宮殿建築。建物の屋根には、阿吽の鎧武者が配されるなど和の意匠も取り入れられています

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