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歯並びが悪いと太りやすい?噛む力がダイエットに与える影響
健康や美容への関心が高まる中、「歯並びが悪いと太りやすい」という説を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?本記事では、歯並びと体重増加の関係性、噛む力がダイエットに与える影響について、信頼できる研究を基に詳しく解説します。
歯並びと体重増加の関係性
歯並びが悪い状態を「不正咬合」と呼びます。不正咬合は見た目の問題だけでなく、食べ物をしっかり噛み砕くことが難しくなり、消化不良や栄養不足に繋がる可能性があります[1]。また、顎関節症を引き起こし、食事量が減ってしまうケースもあります[2]。
しかし、不正咬合と体重増加の直接的な関連性を示す研究は限られています[3]。一方で、歯を失うことが肥満リスクを増加させるという研究結果は存在します[4]。歯を失うことで硬い食品を避けるようになり、カロリーの高い柔らかい食品を摂取しやすくなるためと考えられています[5]。
また、肥満の人は標準体重の人に比べて奥歯が少ない傾向があり、これは咀嚼能力の低下と関連がある可能性があります[6]。さらに、子供の肥満と虫歯の発生率には関連性があることも指摘されています[7]。
噛む力とダイエットの関係
噛むことは、食べ物を細かくすることで消化を助けるだけでなく、満腹中枢を刺激し、食べ過ぎを防ぐ効果があります[9]。また、チューインガムを噛むことで空腹感が抑制されるという研究もあります[10]。
さらに、噛むことはエネルギー消費を増やす可能性があり、食事後の熱産生(DIT)を促進すると考えられています[11]。これにより、基礎代謝が向上し、太りにくい体作りに寄与する可能性があります[12]。
噛む回数を増やすことの効果
噛む回数を増やすことは、ダイエットにどのような影響を与えるのでしょうか?
唾液の分泌促進:消化酵素や抗菌物質が含まれており、消化を助け、口腔内を清潔に保つ役割があります[13]。
満腹感の向上:噛むことで満腹ホルモンが分泌され、食事のペースが遅くなり、摂取カロリーが減少します[14]。
消化吸収の促進:噛むことで食べ物が細かくなり、消化酵素の働きが向上します[9]。
噛む回数を増やすためには、一口30回以上噛むことや、一口ごとに箸を置くこと、食事時間を長くすることが有効です[10]。
高齢者における咀嚼能力と栄養摂取
高齢者は加齢とともに噛む力が弱くなり、食事の質が低下しがちです。研究によると、咀嚼能力が低い高齢者は果物や野菜、肉などの摂取量が低く、栄養不足に陥りやすいことが示されています[15]。
このため、食品の形状や調理方法を工夫することが重要です。例えば、野菜は細かく刻んだり、柔らかく煮たりする、果物はスムージーにするなどの方法があります[4]。
歯並びの矯正はダイエットに効果がある?
歯並びの矯正によって噛み合わせが改善され、食べ物をしっかり噛めるようになります。これにより、消化吸収が促進され、栄養バランスが整う可能性があります[1]。
しかし、歯列矯正自体が直接的に体重減少に繋がるわけではありません。あくまで健康的な食生活をサポートする一つの手段と考えるべきでしょう。
まとめ
歯並びと体重増加の間には間接的な関連がある可能性がありますが、決定的な証拠は限られています。ただし、噛む力が消化吸収や食欲制御、エネルギー消費に影響を与えることは明らかになっています。
よく噛むことで満腹感を得やすくなり、食事のペースがゆっくりになるため、結果的に摂取カロリーが減少し、健康的な体作りに役立ちます。特に、早食いの習慣がある人は、意識的に噛む回数を増やすことがダイエットに効果的です。
また、歯並びが悪いことで咀嚼が不十分になると、消化吸収に影響を与え、健康的な食生活が困難になる可能性があるため、矯正治療を検討することも一つの選択肢となるでしょう。
参考文献
Morgan Orthodontics - The Link Between Digestive Problems and Crooked Teeth
Nashua Dental - Impact of Oversized Food Portions on Oral Health
PMC - Is Malnutrition Associated with Crowding in Permanent Dentition?
Kentuckiana Dental - Can Dental Issues be Related to Weight Gain?
PubMed - Correlation between Caries, BMI, and Occlusion in Pediatric Patients