マイ・インターン
「結局、好きか嫌いかなんだよね。」
私が大学生の夏にインターンシップをしたコンサル会社で、インターン指導役になって下さった方は業界でも有名な方だったらしい。
その後、就職でコンサルティング業界に行く事はなかったが夏のインターン中、会う人誰もに「この人について回れるなんて羨ましい」と言ったことを何回も言われた。
確かに、今でもその人の仕事に対する姿勢を自分生活の中に取り入れている事は多い。
「1日の初めにチェックリストを作る、それに優先順位と想定所要時間を書き込む」
「関係者誰もが自分の営業先だと考える、社内の先輩も後輩も営業先だと考えたら変な甘えも無くなる」
「自分の時間を必ず作る、会社に所属していたら仕事は空から降ってくるから本物も偽物も含めて達成感は味わえるけれど10分でも良いから1日に非生産的な自分だけの特別な時間を作る」
「上機嫌でいるために心も体も健康でいられる努力をする、不機嫌なやつと仕事がしたいなんて考える人は地球上に一人もいない、機嫌を作るのは心と体の調子、そこには十二分にお金も時間も投資する」
「インプット8してアウトプットが2でる、オリジナルでやるとは素晴らしいけれどまずは「車輪の再発明」をしないための準備を終わらせる、日々吸収なんでも吸収」
「情報を書くことと整理することは同価値、ひたすらインプットしても引き出せなければ無価値だから書く時には引き出す前提で仕組み化して書く」
「終わらない仕事はない、予想外のことが連発して途中経過が悪くてクライアントが死ぬほどやりにくい相手でも仕事には必ずデッドラインがある、死ぬほど辛い時間でも永遠じゃない」
こんな感じに、一挙手一投足に質問を繰り返す私に対して、私が理解できる言葉で言語化して丁寧に伝えてくれる人だった。
朝の挨拶から、昼ごはん、帰りの電車までピッタリとくっついていた私に対して疎ましい顔を一つもせずに、私が求めているもの私が求めた方がいいもの私が求める必要のないものを一つ一つ行動と言葉で教えてくれた。
そんな風に東京の街を上司と走り回って夏が終わり、インターン終了の日の夜、初めて飲みに連れて行ってもらったバーでのことだった。
「あなたが社会人になって就職をしても企業してもきっとうまくいくと思う、ただ覚えていて欲しいのはそれは50%の世界でのこと」
よく意味がわからなかった私は「残りの50%はどんな世界ですか?」と聞いた。
「私やあなたのように、自分の意見を主張するしかない人種はさ、相手によって好きと嫌いがはっきり出ちゃうんだよ。」
「だから好かれる人を相手に人生もビジネスも進めるしかない。そこで戦えば成功する。でも、ほとんどの人は残りの半分、どうしても好きになれないもしくは好きになってもらえない相手とも頑張って折り合いをつけようと、もったいない時間を使ってしまう。」
「僕はあなたが好きだったからこの夏は楽しかったし、いっぱいコミュニケーションをとったし、成長したがっているようだったからそのアドバイスをした。それはでもお互いの相性あってのことだから、この成功体験がどんな時でも当てはまるわけではないと言うことを受け入れてポジティブに諦めながら生きると生産性はより高くなるよ。」
「自分から「嫌い」を出す必要はないし出しちゃいけない。でも、相性が悪いときは無理をしない。自分の能力が影響を及ぼせる範囲で自分の最善を尽くす。これに限るよ。頑張ってね。」
たまにメディアでも見かけるその上司は今もあんなふうに自分の影響を及ぼせる範囲を広げながら、その中で死ぬほど最善んを尽くしているんだろうなあとこの映画を見て、あの慣れないウィスキーの味と一緒に思い出した。