日本のMCNは苦戦中?中国の動画市場とMCNは絶好調、2020のMCNランキングも紹介
在宅勤務中にTwitterを見ていたらこんな記事を見つけました。
日本のMCN(マルチチャネルネットワーク)最大手のUUUMが苦戦してるとの記事。
日本ではYouTubeが爆発的に伸びていると思っていたので、YouTubeメインのMCNは大成長してるのかと思いましたが。コロナでイベントの収益が落ち込み、しかも広告売上が激減してるようですね。(決算資料も見ました、いろいろな事業展開してるとはいえ収益の柱は広告。)
対象的に、中国の動画産業とMCN事業は大成長しています。YouTubeみたいな動画はもちろん、ショート動画やライブ動画など多岐にわたり、どれもすごい規模です。
例えば、中国のライブ動画は今では100億ドル以上の産業に成長し、今や中国のインターネット文化を作り上げていて、これもMCN所属のタレントが牽引しています。
報道によると、2019年の中国MCNの数は2万を超え、2018年と比較して400%以上の成長。なんと2015年から2018年の3年間の合計数を上回ったとのことです。しかも収益をあげている企業がとても多く、2万社のうちの60%近くが1,000万元の収益規模、30%が1億元以上の収益規模となっています。
これは2020年のTOP10のMCN(完全版は下のリンクから見てください)。スーパースター「李子柒」が所属する「微念」で8位。それだけでTOPの競争の激しさがわかりますね。
ランキングを見ると面白いMCNがいくつもあります。例えば「吃鲸MCN」。国内はショート動画がどんどん伸びていて競争がとても激しいのですが、彼らは中国国内ではなく海外向けのTikTokに特化している。
主に海外のTikTokの運営や企業研修、コンサルなどのサービスを提供していて、運営しているアカウント数はすでに数百。数千万人のファンを抱えています。顧客は海外企業はもちろん、サプライチェーンシステムを持つ越境EC事業者や海外進出したい中国企業などです。
成長し続けるMCN業界ですが、全体で見るとここまで数が増えたMCNの整理も始まっていて、「大鱼吃小鱼(大きなところが小さなところを吸収統合)」がトレンドになりつつあるとのこと。
中国MCNでは「タイアップ広告やYouTube広告の一部から収益を上げる」みたいなビジネスだけでは競争力が全くなく簡単に淘汰されます。動画制作はもちろん、ライブ動画とECを組み合わせたビジネスや、タレントや商品やIPの開発などビジネスは多岐にわたるのが一般的です。
具体的な話は以前にnoteで紹介しましたね。
若い女性向けのライブコマースで圧倒的な「美ONE」や、中古の高級品のセールスが上手な「妃鱼」など、それぞれMCNごとに強みは違えど、上位はどこもしっかりと多角的なビジネスをやる体制を整えている。そしてコンテンツ制作、流通チャネル、プラットフォームの充実、と動画ビジネス業界全体が他の国とは桁違いの成熟度になっているのだと実感します。
中国では「技術の発達によってメディアの経営難(特に新聞社)をどうすればいいのか」の議論がよくあります。中国のオールドメディアは広告ばかりに頼っていて、販売収入やその他の収入が少ない、広告が落ちこんだら経営が難しくなるから苦しいんだよと。
その時によく例にされていたのは日本のメディア企業で、広告や販売収入だけではなく、イベントや不動産など複数の収入源があること。賛否あると思いますが、多様な収益源を得ることは経営を安定させるには大事なポイントですね。
このメディア議論とは逆で、中国MCN業界は日本よりもビジネスモデルがずっと多元的だということです。広告だけではなく、IP商品の開発やプロモ商品の販売収入からのレベシェア、バラエティー番組の出演など幅広くビジネスすることで、影響力も収入もより期待できるようになり成長が加速しています。
次回以降のnoteで彼らのビジネスの一部を紹介しましょう。まずは「李子柒」をはじめとするKOLたちが生み出す商品を紹介したいと思います。ぜひフォローしてください。
(参考資料)