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LuckinCoffeeと白酒大手の茅台のコラボラテが中国で爆発的ヒットしている背景
中国ウォッチャーの方にはおなじみで、ボクのnoteでも度々紹介しているLuckin Coffeeが今週リリースした新商品がすごい勢いで、中国のSNS上ではとんでもなくバズっています。
その新商品は、中国で最も有名な高級白酒である茅台(まおたい)とのコラボカフェラテです。
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中国株情報、あるいは中華料理に詳しい人は「茅台」という銘柄はよくご存知でしょう。中国で最も良い白酒で、度数も強い(53度)。その会社の株価はここ数年高騰しています。日本でも一部の高級中華料理では飲むことができると思います。amazonもありそうですが、けっこうしますね↓
ちょっと前に、外資の会員制スーパーのCOSTCO中国進出の第一号店がオープン記念で茅台をセールの目玉商品にしたところ、長すぎる行列になりました。それほど中国人にとって人気のお酒なのです。
そこまで中国人に愛されてる名酒「茅台」。高価な上に本物の入手が困難なことなどの理由で、普通の人は滅多に飲まない(飲めない)から、特別なお祝いや特別な贈り物として扱う場合が多いです。
初めてのお給料で親孝行として父に買ってあげたり、彼女の両親に結婚の申し出でお宅訪問するときのお土産だったりと、中国文化で重要なポジションにあります。
ただ、競争が激しく流行も日々変化する中国では不動の地位にあるように見える茅台といえども油断できません。実は、中国の若者の白酒離れの兆しがあり、ちょっと焦ってるではないかとの見解もちらほらありました。
外国文化でワインやウィスキーを選ぶ若者や、健康志向でお酒を飲まない若者が増えています。また、日本とは違い、“二十歳から飲酒OKのスタートライン”がない中国の若者は、就職後に営業職じゃなければ白酒を飲むきっかけも少なく、若者との接点の減少が言われていました。
このような背景の中で、Luckinと茅台がコラボした「酱香ラテ」が生まれたのです(酱香は中国の白酒の香り分類の一つで、発酵による香ばしさが特徴。茅台は代表的な酱香型)。
白酒といえば独特の香り(人によっては臭いと感じます)で、コーヒーとの親和性などゼロで売れないだろうと個人的には思っていたのですが、私のセンスのなさにびっくりする結果となっています。バカ売れです↓
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発売初日だけでなんと全国で542万杯以上を販売し、この商品だけの1日の売上高が1億元を超えました。記録的な大ヒットと言って良いと思います。
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↑たまたま今日、北京の展示会イベントに行ったのですが、会場でもたくさん目撃しました。
そして、SNSでは現実世界以上にこの商品の投稿で溢れています。中国のネット民のコーヒー&高級白酒へのいじり傑作集からいくつか紹介していきましょう。
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↑コーヒー抜きで茅台だけの一杯を狙った(茅台は高級酒でそれだけを飲めればお得)のオーダー。結局茅台ラテは茅台入りのミルクで作ったカフェラテなのでこの作戦は失敗笑。当たり前だろとのツッコミ多数。
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↑ミルクメーカーから、今回の専用ミルクを作る映像が公開され、高級酒が注ぎ込まれる映像はインパクトがすごいです。記事によると、今回のコラボでお酒が横流されないよう、茅台の工場から3000万元の高級茅台が専任スタッフによって運送され、原料を入れた後には瓶も全て回収するほどの厳しい管理に驚かされました。
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↑どの量の茅台ラテで茅台一本抽出できるのとの議論も。みんな真剣に議論。
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JD(中国のEC大手)での茅台の販売価格を見ると、500mlが3299元。Luckinの使用量から計算すれば一杯分の茅台の販売価格が28.04元、茅台ラテは19元程度なので一杯飲めば9元分お得との計算になると突き止めた強者。
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↑Luckinが入れてる茅台の量がまだまだ足りないと主張する人は自分で足してみた動画がたくさん笑
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↑警察の隣で飲んですぐに飲酒運転チェックしてもらった(もちろん運転してない状態)ら飲酒数値が上がっていた。飲酒運転撲滅の広告にも活用。
また、Luckin Coffeeeがこんなに大成功コラボをしたから、もう一つ国民的ドリンク屋の「蜜雪冰城」は、中国の濃香型TOPクラス白酒の「五粮液」とコラボしないと負けちゃうぞ、と主張するネット民が多くいました。
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↑すでにネット民がコラボのポスターまで作ってくれてました。優秀すぎる、よく出来ている。
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↑その結果、「いやいやそんなことなくて、フェイクニュースです」と主張するタグがトレンド1位に。
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↑スタバも同じようにいじられてましたが、コラボ相手が一番コスパのいいことで中国を代表する白酒(安いのですがあまり美味しくありません)でよく分かってるなと笑。ちなみに全くトレンドになりませんでした。
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↑しかし、Luckinが爆売れして焦りを感じたのか、ボクをはじめ、多くの人はスタバからいきなりカフェラテのクーポンをもらいましたw
ということでこのコラボの影響はまだまだあるかもしれません。事業開始から破竹の勢いで成長後、不祥事で潰れかけたLuckin Coffeeeがまた蘇ってきているのがわかる出来事で、やっぱりマーケティングチームなどは超優秀なんだと確信してます。
ボクは前から思ってるのですが、中国のコーヒー屋さんは、アメリカンやカフェラテ、カフェモカ以外にも、ジュースや炭酸水の入ってるコーヒー商品が多すぎます。オレンジアメリカンや、ココナッツカフェラテ、スイカラテなど、季節のコーヒーというか、完全に“季節のコーヒー入りの甘いドリンク”です。
個人的には、混ぜずに2つのドリンクをもらう方が正解と思ってますが、中国の若者は断然混ぜたがり。今回の茅台ラテのバカ売れで、これから中国のコーヒー屋が競争を激化させていく市場でどんな新作が出て来るのか、楽しみにしています。
(参考資料)