見出し画像

【問2】GIGAスクール構想ってなんですか?

問1の「インターネットってなんですか?」の質問と同じように、この質問も教職員向けや保護者向けの講習で投げかけることがあります。
問1の内容は以下からご覧ください♪

この問の反応は、教職員と保護者で大きく違います。
教職員、学校関係者はこのワードをこの5年間、日々意識してきた方も多く、知らない人はまずいません。かたや保護者、一般の大人にとっては、はるか昔になんとなーく耳にしたことがある程度の方が多いです。
30人大人がいたら、2人~3人の手が挙がれば良いほうかと。

【GIGAスクール構想ってなんなの?】

では、GIGAスクール構想ってなんなのでしょうか?
あらためて2019年12月に発信された、時の文部科学大臣のメッセージを見てみましょう。ちょっと長いので、ChatGPT君に要約をお願いしてみます。

子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて ~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~ ≪文部科学大臣メッセージ 
『要約』
文部科学省は、子供たち一人ひとりに合った学びと創造性を育むために、学校でのICT環境整備を進めています。令和元年度補正予算案では、児童生徒向けに1人1台の端末と高速通信ネットワークを整備する費用が盛り込まれました。ICTは鉛筆やノートと並ぶ現代の必需品であり、学校教育においても標準化が必要です。

この取り組みは、特別支援が必要な子供を含め、すべての子供に公正で個別最適化された教育を提供し、教師の業務負担軽減や働き方改革にもつながります。また、ICT環境整備は手段であり、目的は子供たちの創造性や社会で生き抜く力を育むことです。ネットリテラシーの教育も重要視されます。

文部科学省は、教育課程や教員制度の見直し、教員のICT指導力向上、情報教育の充実などを進め、自治体と協力してICT教育環境の整備を推進していきます。

子供たち一人ひとりに個別最適化され、創造性を育む教育 ICT 環境の実現に向けて ~令和時代のスタンダードとしての1人1台端末環境~ ≪文部科学大臣メッセージ≫
https://www.mext.go.jp/content/20191225-mxt_syoto01_000003278_03.pdf

2019年12月にこの構想が発表され、教育業界は揺れ動きました。
この構想と新学習指導要領の改訂、実施期間がリンクし、ハード面、ソフト面両方の大きな改革の時期であることがわかりやすく示されたのではないでしょうか。

【コロナ禍がもたらしたブースト効果】

当初、GIGAスクール構想は、1人1台の端末2023年の達成を目標としていました。しかし、2020年春からの新型コロナウイルスの蔓延によって状況が一変、学校と家庭が分断される時期が生まれました。人と人の接触が制限される中、子どもたちの学びを止めない方法として、オンライン授業や個別の授業の必要性が増したこから、2020年度中の達成へと目標を前倒しすることになったのです。

【GIGA端末、タブレット、PC、クロームブック、iPad etc】

2020年度中になんとか揃えられた端末ですが、その活用方法、運用ルールは、自治体、学校ごとに任されており、その呼び名も様々です。充電保管庫にしまわれていることが多い学校、常に机上に準備されている学校、使う時には「先生の許可を得る」必要がある学校、子どもたちの自由な発想で利用が推進されている学校。私が伺う学校を観察しても、学年、またクラスによっても状況が違うのが現在のGIGAスクール構想の現実だと感じます。

そしてこの自治体間、学校間格差のある状況で、現在は「NEXT GIGA」といわれる第2フェーズを迎えています。

【新しい学びは実現できているのか?】

そもそもGIGAスクール構想は、公正で個別最適化された教育を提供し、創造性を育むことです。また、新学習指導要領が目指す「主体的・対話的で深い学び」や「社会に開かれた教育課程」の実現にも、ICT機器は重要な役割を果たします。

新学習指導要領のポイント(文部科学省作成)

しかし実際には、ICTが紙の置き換えにとどまるケースや、主体的に自ら学ぼうとする意欲や、社会や外界とつながり連携しようとする意欲、コミュニケーションを阻害する運用も見受けられます。ICTの「C」は「コミュニケーション」なのに、それが活かされていない場面も少なくありません。

【子どもたちを心配する大人の愛?】

機能や利用時間が制限されている学校のICT機器は、子どもたちをとりまく大人たちの「失敗をさせたくない」という親心や管理監督をする大人の責任からの発想で、子どもたちに試行錯誤や、学び、気づき、考える余地を与えない運用ではないか、と私は感じています。
一方では、家庭で与えられたICT機器を、自在に使いこなし、場合によっては大人の目をかいくぐることもできる子どもたち。
なんか色々と勿体なくないか?とモヤモヤを感じるこの5年でした。

【NEXT GIGAの成功のためには?大人編】

冒頭でお伝えした通り、GIGAスクール構想の意義や目的は、保護者、当事者である子どもたちにも浸透しているとはいいがたい状況です。
「コロナでオンライン授業のために導入したのよねぇ?」
「学校のiPad使って、動画ばっかりみてるのよっ!」
ICT機器活用が、学校vs保護者の火種になったら、学びの道具どころかやっかいのタネにしかならないでしょう。

もしかすると教職員にもその目的は、腹落ちしていない人も多くいるのでは・・・・???

だとしたらまずは大人チームが、その意義や目的について話し合い、理解する必要があるのではないでしょうか?

私はその試みとして、教職員と保護者合同の情報モラル講習を担当したことが数回あります。そこではGIGAスクール構想って知っている?という問いやインターネットってなんだろう?という問いを通じて、大人チームとして子どもたちの利用をサポートする必要性について一緒に考えていただいています。
あとは新入生保護者説明会ですね。多くの新入学児童、生徒の保護者が一同に集う時間です。この場面こそ、学校がICT機器を使った学びをどのように展開するのか?家庭での利用に関して保護者の協力がいかに必要か?を共通理解いただく絶好の機会だと思います。

【NEXT GIGAの成功のためには?学習者編】

GIGAスクール構想の「GIGA」って何でしょうか?
かなりのこじつけにも思いますが、GIGAは単位ではなく、次の言葉の頭文字だそうです。

G グローバル
I イノベーション
G ゲートウェイ
for A オール
Global and Innovation Gateway for All

つまり『世界に向けて革新を起こす扉をみんなに授けたよ!』
その道具を、自分たちとこれからの未来のために活かしていこう!というメッセージなんですね。
この話、中学生に話すと「ほほう!」という顔をして聞いてくれます。

そんな子どもたちにこそ自分事として考えてほしいと思います。
デジタルテクノロジーを使うことで何ができるか?
幸せになる使い方ってどんな使い方なのか?
どんな問題が起きていて、私たちにできる対応はなにか?

学習者である彼らから素敵な知恵がうまれることを、心から願いながら
子どもたちに「託す」毎日です。

【お願い】

ここに書くのはあくまで私個人の考えや思いであり、株式会社教育ネットさんの方針や意見と完全に一致しない場合があることをご了承ください。

なお、この記事を通じて教育ネットさんの事業に興味を持っていただいた場合は、責任を持ってご紹介いたします。

いいなと思ったら応援しよう!