短歌43「深海のソナー」
野球の素振り少年誇るのは 同じユニ着る妹の姿
思い出す電話番号ばあちゃんの どこかの家で鳴る黒電話
わからない散歩の仕方 公園が近いでもなし鳥行く方に
幻のラーメン屋さん幻でどこにいるのか見つけて並ぶ
牛乳を飲んだグラスをよく洗うわたし小さく力ないけど
キウイ切るナイフよく切れ断面を露わにする朝のひらめき
騒がしい人たちの中入りたい名を呼ばれたい喧嘩をしたい
繋がるの繋がらないのネットには手を繋ぎたい人がたくさん
少しだけ乾く切っ先使わねばだめになる武器、万年筆
深いブルー深海のソナー響く音 外側なぞる誰もいない部屋
泣きじゃくる空 駄々こねて 雷鳴があたしを打って通り過ぎない
茂る青この樹が好きで引っ越した今年カラスはやってこないの
会えるのか雨量によって決まるので ぐしゃぐしゃになって放課後の傘
頓服が粉になるまで噛んで飲む心のふすまぱたんと閉じる
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