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タイと暑さとシンハーと 『SINGHA』

夏ですね。暑さに弱いインドアラクダです。
蒸し暑い外の空気に触れると、毎年のように思い出す情景があります。


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タイはバンコク、35℃を余裕で超す昼下がり。昼飯には遅く、夜飯には早すぎる時間帯。
露店の席に座り、頼んだビールはまだかまだかと汗を拭う。
ああ、喉が渇いた。

テーブルのすぐ向こうは大通り。肩でもぶつけてくるかのように車が通りすぎる。
人間でごった返す店内。エンジン音、クラクション、食器のぶつかる音、誰かの笑い声。
騒々しい。暑苦しい。
右隣には欧米人バックパッカー。いつ見ても彼らのバックパックはデカくてパンパンだ。サンタの来る季節は遠い先だというのに。
左は明らかに日本人なサラリーマン二人。シャツの腕をギリギリまで捲っている。今夜はどこへ繰り出そうか、作戦会議でもしているのだろう。会話は聞こえて来やしないが、二人のだらしない表情を見ると話の内容が読めてくる。

来た来た、けだるそうな顔の店員が。
ビール瓶をテーブルに叩きつけ、王冠を無造作に転がすとにこりともせず去ってゆく。


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(image from  https://beergirl.net/kh-001_c/ )


テーブルの上で汗をかく、金の獅子。
ああ、喉が渇いた。
手に取り口に押し付ける。
激しい水流と裏腹に、ゆっくりと聞こえる外の世界。


最高。


暑さ、騒々しさ、渇き、そしてうっすいシンハー。
全部がごちゃごちゃになって、混ざり合う。
なんていい時間なんだろう。

瓶から口を離すと、一緒に頼んでいたパッタイが来た。

いむちゃん

メシもビールも全部独り占め。
幸せってこういうことなんだろうなあ。
周りのもの全てが愛おしく感じてきた。

夕方の外の喧騒を眺めながら、一人、ニヤけている。


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SHINGHA BEER -Boon Rawd

ABV : 5.0 %
油っこくガツンと来るエスニック料理に合うような、薄め味のピルスナー。
言わずと知れたタイのフラッグシップビールです。
タイには他にLEO, Chang, Tigerなどのブランドもありますが、
私はシンハー一択です!もちろん他もおいしかったですが。


現地のお店の中には、ロックで提供するところもちらほら。
私も試しましたが、これはこれで良い!!!
暑くてベタベタするからこそ、うっっっっっっっすいビールがいいのかも。
、、、もはやビールじゃなくてもいい?
いやそんなことはない、ビールを飲んでる"感じ"が大事なのだ。
今風に言う”バイブス”だ。

ビールの新たな楽しみ方を知ったのでした。

帰国してSINGHAが恋しくなったのだが、、、

とある日、日本でもあのシンハーが飲みたい!と思い立ち、酒屋で買ってきました。
逸る気持ちを抑え、瓶のままグイっといったのですが

あれ、こがん味やったかね????


想像した味と全然違いました。なんかもったりしてる。

きっと、「あの空気、あの景色、あの心境」
で飲んだシンハーと、日本で飲むシンハーは別物なのでしょう。


ビールには「思い出」が紐づいている。

そう気づき始めた頃のラクダでした。




おわり


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