ピアノを習わせてくれてありがとう
貧困な母子家庭で育ったけれど、母は私に習い事をさせてくれた。逆にいえば、習い事が家計を圧迫していた。私はよく「あんたのせいでうちはお金がない」と怒られた。(じゃあよろこんでピアノをやめるのに)ってよく心の中で思ったっけ。
スイミング(半年だけ)
公文式(3年くらい)
絵画教室(一瞬)
サッカー(2年間)
いちばん長かったのはピアノで、10年弱。埼玉のピアノコンクールに出場したりヤマハの専門科に合格したこともあったけど、専門科は送り迎えが大変ということでやめることになった。
ピアノは、母がやらせたかった習い事No.1だったので、サボることややめることが許されなかった。
母自身、昔エレクトーンの講師をしていたこともあって、練習は毎日かなりスパルタに行われた。
ピアノの練習のせいで遊ぶことやテレビをみること、J-POPを聴くことが制限されていたので、たくさん怒られることもあって練習は本当に本当に苦痛だった。
怒られ方は結構激しかった。
勢いよくビンタされて椅子から転げ落ちたこともあるし、何度も間違うことを咎められて指の上にピアノの重い蓋を閉められたこともある。
泣きながら、泣きながら練習した。
母の再婚にともなって引っ越して、新しい教室に行くことになった。そして、新しい先生と母の気が合わなくて、やめることを突然許された。新しい先生は私のことも怒るし、母にも怒る人だったから、母は我慢ならなかったみたい。小学6年生のときのことだ。
大人になって、ピアノをやっていたことはすごく私を助けているので、お金がない中で習わせてくれたことを感謝している。もう一度弾きたくて、高3〜大学生にかけて自分でエレクトーンに通ったりもした。
ただいま振り返ると、練習のときの母の暴力がもう少しゆるければな〜とも思う。母のスパルタは、ピアノを嫌いになるには充分だった。
子どもがそれを、嫌いにならないようなスパルタ教育なんて難しいのかな。そんなやり方があったらいいのだけれど。