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夏のような日の炭酸水と豚の角煮
2021.4.20(火曜日) Love the life you live.
夏日の空の下を歩く。
歩道の真ん中で小さい子がうずくまっている。そばにはお母さんらしき人が立っている。このふたりに会話はなく、私は「何をしているのだろう」と通り過ぎる時に子供の方をじっと見た。その子はしゃがんで自分のスニーカーの靴紐を結んでいた。きっと歩いている途中で解けてしまったのだろう。横で立って見ているお母さんらしき人は「早くしなさい」とか「さっさとしなさい」とか言わず、かといって手伝ってやることもせず、たどたどしい手つきで紐を結ぶ子供を辛抱強く見つめて待っている。いいお母さんだなと思った。私だったらどうだろうと思う。たぶん、さっさと済ませたいがために、私が手を貸してしまうのだろう。
通り過ぎて信号待ちをしていると、さっきの親子が追いついきて、話し声が聞こえた。「よくできたね、えらいね」と嬉しそうなお母さんの声。この人には幸せになってほしいなと思う。
日差しが強くて暑い。
いつものスーパーは空いていた。
ひんやりとしたスーパーを端から端まで歩く。これといって欲しいものはないが、豚肉のセールをしていたので塊肉を買う。角煮を作ろう。
材料を鍋に入れて火をつける。鍋のそばに椅子を持ってきて本を読みながら出来上がりを待つ。グラスに氷を入れて炭酸水を注ぎ飲む。足元はスリッパもはかず裸足で、Tシャツはオニールだ。まるで夏の午後だなと思ってふふっ...と笑いが漏れる。大阪のビルのビルの間の一室で、夏気分の妙齢の女が炭酸水を飲みながら豚の角煮を煮る。
なかなかストーリーになりそうじゃないかと思うが、現実は何も起こらない。大阪は静かな夏を迎えようとしている。
角煮ができた。
味見で一杯。
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