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ご機嫌よう、パンを食べよう特に意味もなく
街を歩いていると、探さなくてもパン屋に出くわす。お米が余っているというニュースが流れる中、世の中がお米からパンに移行してきているのがよくわかる。昔のパサパサのパンと違って美味しいパンが作られるようになってきたのも理由のひとつだと思うが、パンもブランド化して映える系の話題のパン屋の前にはいつも長い行列ができている。私が住む街はそういうパン屋の激戦区でもあり、雑誌やテレビで紹介されたパン屋が数多く点在している。遠くに住む友人たちは「羨ましい」を連発しているが、私としては美味しいパンを選ぶのに遠くまで足を運ばなくてもいいという利点はあるけれど、以前は普通に買えていたパンが今は並ばなくては買えなくなってきてしまった。並ぶのが大嫌いな私にとっては有名になるのも考えものなのだ。本末転倒だと思いがながも、時々並ばなくてもいいパン屋を探して遠くまで時間をかけて行くこともある。
私はご飯も好きだけどパンはそれ以上に好きだ。お洒落な生活系の雑誌に出てくるようなブランドパンばかりが好きなわけではない。コンビニで売っている焼きそばパンやメロンパンなんかも大好きだ。でも夫がパンを食事としては好まないから厄介で、彼に言わせるとパンはあくまでも「おやつ」、あるいは「時間がない時の緊急食」程度に思っているようだ。甘んじて朝食だけはパンにしてもらっているが、昼食、夕食はご飯じゃないと機嫌が悪い。昭和の頑固オヤジそのものだ。
この記事を書こうと思って書き始めたところで、先日、朝日新聞のコラムで小説家の奥泉光さんが「パンと日本酒問題」というエッセイを書いてらしたのを思い出した。すごく面白い記事だったのでスクラップしてあったのを読み返してみた。奥泉さんもパンが好きでコロナ禍で逼塞する中、自分でパンを焼き始めたそうだ。いつもパンの香りに包まれ、美味しそうなパンの焼き上がりにとても喜びを感じていらっしゃるのだが、問題は奥泉さんは日本酒が大好きでもあり、晩酌はほとんど日本酒なのだそうだ。そのパンと日本酒が合わないので悩ましいと書いてらした。日本酒に合うパンを手に入れることが今の課題だと。私はワインが大好きなのでそこんところは困ってないが、日本酒に合うパンがあってもいいなと思うし、反対にご飯に合うワインがあってもいいな...。
パン好き&酒好きはいろいろお茶目なことで悩むものである。
さて、今夜はその夫が出かけていない。
よし、思いっきりパンを食べてやる。
夫がいない間の楽しみがパンを食べることだなんて、色気のかけらもない。
お茶目なおばさんだこと。
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