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青春は、傲慢と謙虚のはざまでゆれる
一歩進むごとに、過去の一歩が失くなっていく。
いつかこの場所もゼロになってしまうのだろう。
『霜柱を踏みながら 15』
両親があんな風だったせいもあり、それに加えひとりっ子だったせいもあり兄弟・姉妹の世話をすることもなく、親戚も遠方にいたため四六時中の付き合いもなく、両親と向き合っていない時はひとりで時間を過ごすことが多かった。今のようにインターネットやゲームなどはなく、ひとり遊びの原点といえば漫画本を読むか児童図書を読むかくらいしかなかった。今の子供たちからすればなんて退屈な時代だろうと思われるかもしれないが、そういう環境下で育ったことに今は良かったと思っている。本を読むことが苦痛ではなく、文字に対しての拒否反応もなく今日まで来れたのは両親が私を放っておいてくれたおかげであり、ひとりっ子だったというおかげでもある。
授業中に読まされる本ではなくて、自主的に読んだ人生最初の本は学校の図書館で借りてきた医学書だった。医学書といっても医学生が読むような専門的なものではなく、小学生でもわかるような「体のしくみ」などが書かれていた本だった。タイトルは忘れてしまったが、それが面白くて何度も読み返していた。密かに『将来は医者になりたいな』と思ったりもした。本に影響されやすい性格はこの時から始まっていたのだろう。デザイナーが主人公の本を読むとデザイナーになりたいと思い、スポーツ選手の物語を読むとスポーツ選手になりたいと思っていた。多感な年頃とはいえ、あまりにも優柔不断すぎる。他に好きだった本はアレクサンドル・デュマの「黒いチューリップ」だ。その時はドキドキしながら読んでいたけど、大人になってその内容もすっかり忘れてしまっていた。どんな作品だったかなと最近検索してみたら『へぇーこんな内容だったんだ』と衝撃的な内容にびっくりしたりした。「黒いチューリップ」を読んで果たして小学生の私はちゃんと理解できていたのだろうかと思うが、そんな感じでいつも何かしらの本を読んで過ごしていた。
国語の時間に書かされる読書感想文はいつも先生から褒められていた。先生の『主人公の気持ちを深く捉えていますね〜』の言葉に、私は少し有頂天になっていたかもしれない。算数の時間は下向いて目立たないようにしているくせに国語の時間だけは天下を取ったような気持ちでいた。
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[私小説] 霜柱を踏みながら
私小説です。時系列でなく、思い出した順番で書いてます。私の個人的な思い出の物語です。
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