退屈に終わりを告げるひと袋の辣韮
2021.5.20(木曜日) pickled shallots
辣韮おばさんになる。
スーパーの店先に辣韮が並び始めた。昨日1キロ買ってきて甘酢漬けを仕込んだ。今日も1キロ買ってきた。下ごしらえが面倒で一度にできないからこまめに漬けていく。梅仕事とどっちを先にしようかと悩んだけどお酒のおつまみになるから辣韮を先にした。スーパーの店先から辣韮がなくなるまで漬けるつもりでいる。すっかり辣韮おばさんと化している。それが終わったら梅おばさんだ。今年は(昨年もそうだったが)緊急事態宣言が出ていて遊びに出れないから暇つぶしにちょうどいい。午前中はずっと辣韮と格闘している。部屋中に酢の匂いが充満して猫が鼻をクンクンとさせながら悪の親玉を探すようにキッチンをウロウロしている。酢の匂いは嫌いらしい。
先日ネット注文した本が届く。机の上に積み上げる。どれから読もうかなと背表紙を眺めている瞬間が幸せだ。数分考えてリチャード・ブローティガンにする。この人の本は3年周期くらいで無性に読みたくなる。
「芝生の復讐」手入れをしなかったら芝生が復讐するんだよ。楽しそうだ。
そんなことを思っていると夫の部屋からゲホゲホッと咳をする音が聞こえてきた。「あらっ」と思う。しばらくしても止まない。10分くらい続いているからさすがに心配になって見にいく。コーラを誤飲したそうだ。よかったコロナかと思った。誤飲するのは歳をとった証拠。「喉の筋肉を鍛えたらいいんだって」と教えてあげた。教えてあげたものの、その方法は知らない。
雨が斜めに降っている。空から降りてきた蜘蛛の糸のように細い雨だ。
静かに読書を始める。
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