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世界でイチバン嫌いなあなたに

【映画】 原題: Me Before You (世界でイチバン嫌いなあなたに)


ふと見つけた映画だった。
ポスターを見ると美男美女が向きって幸せそうな顔をしている。
これはきっと甘ったるいラブストーリーだろう、タイトルを見るとちょっとコメディタッチの要素も…苦手だわ、と思って観るのはやめようと思っていたが、解説のある部分が引っかかって観ることにした。
結果、ラブストーリーに間違いはないが、それはとても衝撃的な愛の形で人間として愛することはどういうことか、人間の生死を越える愛とはどういうことかを訴えるとても重い映画だった。

ストーリーは…
主人公は、前向きで明るい性格の女性のルー。26歳になるが家庭の事情などもあり夢にチャレンジすることに躊躇し、仕事を転々としながら、なんとなく毎日を過ごしていた。彼女の働いていたカフェが閉店してしまい、突然職を失ったルーは半年限定で介護の仕事に就く。ルーが担当することになったのは、快活でスポーツ好きでどこから見も完璧だったがバイクの事故で車椅子生活を送ることとなった青年実業家のウィルだった。大金持ちでお城のような家に住み何不自由なく過ごしているウィルだが四肢が麻痺して全く動かすことができない。最初ウィルはルーに冷たく当たり嫌味を言ったり拒絶したりするが、ルーはめげずに明るく振る舞う。やがてその明るさがウィルの心を溶かし、2人は互いに心を通わせていく。
しかし、ルーはウィルが考えている衝撃的なことを知ることになる。
それは…

自殺願望、自殺幇助、尊厳死、生き残る者と逝ってしまう者…
止める者と支える者、どうしていいかわからなくなる者…
この映画を観る人は、必ずそれらを自分に当てはめながら観るのだろうなと思う。
私がルーなら、ウィルなら、ウィルの親なら、医者なら、友達なら…?
どういう行動をとるのだろうか、どういう思いになるのだろうか。
でもわかっていることはひとつある。
私がウィルなら、やっぱり映画の中で彼が選んだ道を選ぶであろう。
残される者がどんなに悲しむとしても、自分の人生はやはり自分のものだからだ。
でも私がルーだったら、親だったら、と考えるとすぐに答えは出ない。
それほどこの映画のテーマは難しい問題を孕んでいる。

もうかなり前になるが、NHKのドキュメンタリー番組で日本人の女性が尊厳死を求めてスイスに旅立ったことを放送していた。
映画を観ながらその彼女のことを思い出していた。
その時、その女性には2人の姉妹が付き添ってスイスに旅立った。
最後を迎える時、はっきりと逝く者と残る者の感情が交差し絡れながらも綺麗に繋がる瞬間があることをテレビ画面から私は感じていた。
この映画にもそれはあったように思う。

ルーはウィルの考えを変えようと必死になる。
しかしウィルの意志は変わらない。
ルーは自分の父親に「私はどうしたらいいの?」と聞くシーンがある。
父親は言う「愛することだ」と。
そのシーンではやはり涙が溢れる。
ルーの最後の決断は?
父親の言葉通り、愛でウィルを包むことができるのだろうか。

生きることができる人間が死んでいく姿を見るのは哀しい。
これは残された人間のエゴであることはわかっているが…

ポスターはカラー刷りの綺麗なものだったが、私の気持ちを入れてモノクロに変換した。モノクロの方がすんなり気持ちが入ってくるような気がしている(あくまでも個人的な感想)
余談だが、
原題は『Me Before You』で、日本語タイトルよりこっちの方がしっくりくる。外国作品において日本語タイトルは時として誤解を招きやすいのもが多いのは困ったものだなと思う。
日本のタイトルだけだったら私はこの映画を一生観ることはなかっただろう。

英作家ジョジョ・モイーズが2012年に発表し、世界40カ国以上で翻訳されベストセラーとなった恋愛小説「ミー・ビフォア・ユー きみと選んだ明日」を、「ゲーム・オブ・スローンズ」「ターミネーター:新起動 ジェニシス」のエミリア・クラーク&「あと1センチの恋」のサム・クラフリンの共演で映画化された作品。

映画.comの解説より一部抜粋
世界でイチバン嫌いなあなたに

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イトカズ
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