世界でイチバン嫌いなあなたに
【映画】 原題: Me Before You (世界でイチバン嫌いなあなたに)
ふと見つけた映画だった。
ポスターを見ると美男美女が向きって幸せそうな顔をしている。
これはきっと甘ったるいラブストーリーだろう、タイトルを見るとちょっとコメディタッチの要素も…苦手だわ、と思って観るのはやめようと思っていたが、解説のある部分が引っかかって観ることにした。
結果、ラブストーリーに間違いはないが、それはとても衝撃的な愛の形で人間として愛することはどういうことか、人間の生死を越える愛とはどういうことかを訴えるとても重い映画だった。
自殺願望、自殺幇助、尊厳死、生き残る者と逝ってしまう者…
止める者と支える者、どうしていいかわからなくなる者…
この映画を観る人は、必ずそれらを自分に当てはめながら観るのだろうなと思う。
私がルーなら、ウィルなら、ウィルの親なら、医者なら、友達なら…?
どういう行動をとるのだろうか、どういう思いになるのだろうか。
でもわかっていることはひとつある。
私がウィルなら、やっぱり映画の中で彼が選んだ道を選ぶであろう。
残される者がどんなに悲しむとしても、自分の人生はやはり自分のものだからだ。
でも私がルーだったら、親だったら、と考えるとすぐに答えは出ない。
それほどこの映画のテーマは難しい問題を孕んでいる。
もうかなり前になるが、NHKのドキュメンタリー番組で日本人の女性が尊厳死を求めてスイスに旅立ったことを放送していた。
映画を観ながらその彼女のことを思い出していた。
その時、その女性には2人の姉妹が付き添ってスイスに旅立った。
最後を迎える時、はっきりと逝く者と残る者の感情が交差し絡れながらも綺麗に繋がる瞬間があることをテレビ画面から私は感じていた。
この映画にもそれはあったように思う。
ルーはウィルの考えを変えようと必死になる。
しかしウィルの意志は変わらない。
ルーは自分の父親に「私はどうしたらいいの?」と聞くシーンがある。
父親は言う「愛することだ」と。
そのシーンではやはり涙が溢れる。
ルーの最後の決断は?
父親の言葉通り、愛でウィルを包むことができるのだろうか。
生きることができる人間が死んでいく姿を見るのは哀しい。
これは残された人間のエゴであることはわかっているが…
*
ポスターはカラー刷りの綺麗なものだったが、私の気持ちを入れてモノクロに変換した。モノクロの方がすんなり気持ちが入ってくるような気がしている(あくまでも個人的な感想)
余談だが、
原題は『Me Before You』で、日本語タイトルよりこっちの方がしっくりくる。外国作品において日本語タイトルは時として誤解を招きやすいのもが多いのは困ったものだなと思う。
日本のタイトルだけだったら私はこの映画を一生観ることはなかっただろう。