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【本を読む】ブラザーズ・ブラジャー:佐原ひかり
とってもさわやかな表紙と突飛なタイトルに惹かれて手に取った今作。
河出書房新社はいつも表紙でも背表紙でも刺してきてずるい。
読む時間ないのに買わせてくる。
主人公は高校1年生の女の子。
父親の再婚で中学生の弟ができる。
弟は、ブラジャーをつける。
令和は多様性の時代。
誰がどんな個性をもっていてもいい。
だけど社会は枠が好き。
個性は、広く知られた名前が付けらえるほうが受け入れられやすい。
LGBTQは比較的わかりやすい枠だけど、先入観にもなりやすい。
ブラジャーをつける、LGBTQとかじゃない弟。
なんかちょっと新しい。
でもこの作品の魅力は、平凡で妙に素直な主人公・ちぐさのありふれた弱さなのかも。
差別意識がないことや寛大さは、教養の高さや育ちの良さの表れであることもあるけど、「良い人」でいることだけが身を守るすべだという人も多い。
卑怯だけど、まぁ害はない。
害はないけど、「良い人」たちの中の良い人は、ちゃんと自分が卑怯だと知っているので苦しい。女子高生だったころはもう遠いけど、女子高生のころは、この卑怯さをみんなちょっとは持っていたよな、と懐かしくなった。
実は大人になると、人に好かれるための優しさはそんなにたくさんは必要ないんだよ。
そんなにたくさんの人に好かれても一緒に過ごす時間とれないし。
職場の人は基本的には好きだけど、仕事しにきてるから究極みんなが私のこと嫌いでもいい。
でも女子高生はね。大変だよね。
教室にいる人は、部活のチームメイトは、習い事の友達は、自分のこと好きでいてくれるかなって思うと不安で眠れなかったりする。
不安定な自分と不安定な周囲の中で、ピィンと張った細い糸の上を怖々渡っていく年だ。
その懐かしい緊張感を可愛く思う。
正直「この作品、すっごく大好き!」みたいな刺さりかたはしてない。
でもじんわり爽快。
汗だくで飲むフルーツサイダーは、この作品の読了感そのままだ。
ついでに、私もブラジャーのデザインめっちゃ大好きなので色々見てたら、素敵な記事があった。
あと、美しい男の子に期待してしまうのは女子あるあるだよね…。
もうね、美しい男の子はね、当たり前に存在する体毛すら嫌なんだよね。
脱毛してないけど脱毛してるくらい体毛薄くあってほしいし、タンパク質もあんまり摂取しないでほしい。