地域と自分の相性をチェックする3つの視点|しもかわ移住備忘録③
こんにちは。
ぜんぶで3回に分けて、下川町への移住のきっかけや他の地域とちがうと思うポイントなどを紹介してまいりました。
(これまでの移住備忘録はこちら)
交通の便が悪くてもマイナス30℃でも移住した理由|しもかわ移住備忘録①
その町で友だちはできるか|しもかわ移住備忘録②
最後となるこの記事では、仕事柄、下川町以外の地域とも関わることが多いわたしが感じる、「自分と相性のいい地域の見分け方」について、お話したいと思います。
天候が合うか
日本は縦に長い島国。日本海側か太平洋側かで、天候が変わります。
また、海沿いか、内陸か、北か南か、などの地理的条件は、生活環境と深く結びついていると感じます。
たとえば、わたしは現在鹿児島県に住んでいます。けれど、もともと汗っかき体質で、暑いのが苦手です。
実際、鹿児島暮らし一年目の夏は、想像以上の暑さと湿気で7〜8月は体調が万全ではありませんでした。
二年目こそ、少し慣れましたが、天候の相性の良さは思った以上にQOLに影響すると感じた経験です。
いっぽう、下川町の冬は厳しい寒さ。身体が芯から冷え込みます。
また、北海道全体に言えることかもしれませんが、冬はストーブをつけっぱなしのため乾燥します。部屋干ししていた洗濯物が、一晩で乾くくらいです。
こうした環境が体質に合っているかどうか、不快ではないかどうかを、五感を使って知っておけると後々の「こんなはずではなかった」を防げると思います。
水が合うか
これもまた、地理的条件と紐づくお話かもしれません。
「水が合う」という表現は、その土地が肌に合っているときに使います。これは比喩ではなく、文字通り、水が合うかどうかは重要だと、個人的には思います。
たとえば地域によって湧き水がそのまま生活用水として使えたり、硬水だったり軟水だったり、一言に水と言えども、実はバリエーションがあります。
よく「東京の水は飲めない」「田舎の水は美味い」などと言うことがありますが、おいしいかどうかは個人の主観によりつつも、やはり好みの味がする水が出る地域が、結果的に居心地もいい気がします。
水は、私たちの身体や食べ物をつかさどる要素。あなどってはいけません。
タイミングが合うか
3つ目のポイントは、タイミングです。
人同士のお付き合いでも「この人とは何故かいつも予定が合わない」という人がいれば、逆に「示し合わせたわけではないのにいつもいい時に連絡が来る」という人もいます。
地域との相性もまた、タイミングが合うかどうかで見極められると感じます。
天候や水は自分ではコントロールできませんが、タイミングは、自分からはたらきかけて変化を促すことはできるのかもしれない、と思います。
これもまた、人同士のお付き合いと同じです。
「あなたのことが知りたいです」と言ってくれる人に対しては、できるだけ情報提供しようと心がけたり、自分自身のこともなるべく伝えようとしたりします。
何もアクションを示さない人に対しては、どうやって手を差し伸べればいいのかわからず、最終的には放置してしまうことも。
タイミングが合うかどうかは、自分が地域の人たちや暮らしとどう向き合うかによって、変わるものでもあると思うのです。
納得感がある町
今回、相性の良い地域を見極める3つのポイントをお話しましたが、わたしが下川町に移住する前から、これらを前提にしていたかと言われると、まったくそうではありません。
わたしにとって下川町は、結果的に相性のいい地域だったと分かっただけで、しかもそれはわたしが居心地良くしているというよりは、居心地良くいさせてもらっている感覚に近いです。
わたしが何かをしたというよりは、地域の方々がゆるやかにわたしという新参者を受け入れ、適度な距離感で叱咤激励してくださるから、「ここに居ていいんだ」と、安心感を覚え、相性のよさを、一緒に作ってもらえたのだと思います。
最後にもう一つ、わたしが下川町の好きなところをお伝えします。
これは最近気づいたことなのですが──そしてわたしが知っている方々に限ったことではありますが──下川町には、自分の人生に対する納得感を持って暮らしている人が、多いのではないかと思います。
自分の人生が思うようにいかなかったり、不満や不安がある人は、他者に対しても恨み言を言ったり、羨んだり、攻撃したりします。
けれど下川町の人々は、他者に過剰に干渉しようとしません。
人によってはドライに感じるかもしれませんが、みな自分の人生に夢中なのではないかと思います。
そして、惰性で、なし崩し的に選ぶというよりは、腹落ちした選択を目指しているのではないか、と思うのです。
向上心や好奇心が強い方もたくさんいるため、「これでいいや」と、満足しているわけではないと思います。
ただ、なぜいま自分がここにいて、何に夢中になり、何に迷っているのか──他人と比較する暇がないほど、これらに対してまっすぐで、かつ納得感を重ねて日々暮らしているのではないかと感じます。
もし、このnoteを読んだ下川町の方々がいたら「そんなことない」とか「ちがうと思う」とおっしゃる方がいると思います。でも、それもまた、下川町の良さだと、わたしは感じます。
それぞれが自分なりの答えや考えを持っている人が集まっている──それはとても豊かなことで、自分や他者を大切にできる地域ゆえの特徴だと思います。
最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
Text:Misaki Tachibana
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