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現場未経験の私が、医療・介護現場での修行経験を通して得たこと│ 福岡 ホスピス住宅ビーズの家

こんにちは。beads代表の山﨑です。2023年12月オープン予定の福岡市城南区の1店舗目の建築も順調に進み、だんだん建物の形が見えてきました。
これまで立ち上げの進捗などを共有してきましたが、今回のnoteでは、私自身が事業立ち上げを行いながら取り組んできた”修行”について書いてみようと思います。

ビーズの家建設現場(2023.9月時点)

大切にしている、「現場から学ぶ」ということ

2022年3月に私自身がオーナー経営者として事業を立ち上げると決めた時に、創業計画と同タイミングで着手したのは「医療介護の現場を学ぶ」ということでした。

前職の飲食企業に経営メンバーとして転職した時にも、業界未経験だった私は最初のタイミングで店舗に入店し、実際に店長やアルバイトスタッフの方々に色々教えてもらいながら「35歳新人」の名札をつけて接客をすることからはじめました。

想像することと実際やってみることには大きな差があり、当時は随分と若いアルバイトスタッフの方々からたくさんのことを教えてもらったことを今でも覚えています。そして何より店舗で働くスタッフや店舗を支えていただける常連のお客様の一人ひとりのことを尊敬したり、感謝できたことが今でも大切な経験として覚えています。そんなこともあり、まずは私自身が現場を知り学ぶ機会を創ることが大事だと思ったのです。

在宅医療・介護サービスの現場に足を運ぶ

訪問診療クリニック、訪問看護ステーション、小規模多機能事業所、障がい者グループホーム、緩和ケア病棟、がんのグリーフケア、ケアマネ事業所、特別養護老人ホーム、サービス付き高齢者住宅、訪問介護ステーション…etc。各方面の知り合いにお願いして、多様な方々が私に大切なことを教えて下さいました。実際に現場同行させていただいたり、サービスの内容や経営者や働く方が大切にされていることを見聞きしている中で、私の中で自分が大切にしたいことが形成されていったように思います。

特に実際の在宅の現場は、当然ですが「日常」に入っていく現場。業界未経験の私は、医療や介護は「専門的なこと」と捉えていたのですが、そのイメージは実際に現場に行くことで随分と変わりました。そこにはそれぞれの方の「暮らし」があり、医師・看護師・ケアマネ・介護士も、暮らしの中での人間的な関係性の一部になっていました。

現場同行時の様子

そして「看取り」についても。暮らしの中で看取られていくということは、むしろ自然なことでもあり、状況が許すならば、なんとか御本人の意向に添えるようにと、各職種の方が賢明に向き合っていました。一方で、皆、望む形になっていることでもなく、様々な要因で問題を抱えてらっしゃることも実際に感じることができました。私のような素人に熱心に親切に、それぞれの専門性を惜しげもなく教えていただいた皆様には感謝してもしきれません。

「理解する」と「できる」には大きな壁がある

これまで書いたような「現場に行く」ことと同時に、学校に通い「介護職初任者研修」「介護福祉士実務者研修」の資格を取得しました。この資格を持っていることで訪問介護事業所において「サービス提供責任者」という仕事ができるようになりました。

授業での学びは非常に興味深く、まさに「その人らしく暮らす」ということを考える上での基本的な考え方や、社会インフラとしての医療保険・介護保険の仕組みや各サービスの仕組み、介護技術、経管栄養や喀痰吸引といった医的ケアの手順も学びました。私自身、座学講義は苦手でいつもは眠くなってしまうことが多いですが、実際に事業を立ち上げながらの学びは、ひとつひとつが活きる知識になっていく感覚が楽しかったことを覚えています。
一方で、座学を深めたり、現場を見れば見るほど、私自身の不安も生まれてきました。「私に本当にできるのだろうか」。そして同時に「実際にご利用者と向き合うスタッフの気持ちを心の底から理解できるのだろうか」ということ。そんな思いから実際に介護施設の現場で「修行」をさせていただくことになりました。ここでも快く私を迎えてくださったG社長はじめスタッフの皆様に深い感謝があります。

修行は、サービス付き高齢者住宅や、ナーシングホームで、日勤・早番・遅番・夜勤・管理者の業務・入居者の受け入れ・行政窓口とのやりとりなどを本当に微力ながらお手伝いさせていただきながら、学ばせていただきました。そして何より、実際にご利用者と介護職(の見習い)として関わり、ときには上手くできず「そうじゃない!」とお叱りを受けたり。それでも私のことを覚えてくださり、「これから頑張りなさい」とお声がけをしていただいたり、生活上のお困りごとを話してくださったりと、実際のコミュニケーションができたことが大きな学びでした。

やっぱり、「理解する」と「できる」は違う。経験が浅いので当然のごとく「できない自分」にかなりへこみました。それでも一方で、サービスを「提供する側」「受ける側」という構造だけではなく、ご利用者とコミュニケーションをしていきながら、一緒にその人ひとりひとりにあった介護の仕方を見つけていくというプロセスでもあるんだなと実感することができました。そしてG社長からは現場の働きがどのように経営に反映されていくのかも様々な角度から優しくも厳しく指導していただきました。(「どんぐり」という私のニックネームもいただきました…笑)

現場で足を運ぶことで得られた、「経験」という経営資産

多くの方に支えられた「修行」でしたが、いよいよ自分の店舗で活かすときが近づいてきました。これまでの皆様からいただいた経験を自分の店舗で活かして、いつか恩返ししていきたいです。

私は「経験」は「経営資産」だと思っています。同じような言葉で表現されることであっても、「経験」があるかないかで、その意味することは大きく変わってきます。経験の蓄積がオリジナルなサービスを創造していく大きな助けとなるのではないでしょうか。逆に言えば、「どのような経験を蓄積していくのか」によって未来の自社や自分自身のあり方を能動的に形成していく事ができると思っています。

「修行」のフェーズはそろそろ終わりを迎えてきましたが、これからの「立ち上げの経験」を創業メンバーの皆で喜怒哀楽と共に経験し、私達なりのホスピス住宅「ビーズの家」を創っていきたいと思っています。


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