#111_【大人の社会科見学】赤れんが博物館
先日北九州市にありますニッチな博物館をふたつ紹介しました。
偶然かもしれませんが、工業都市には尖っている博物館が多い気がします。
いくつかネタがありますので、また何かの機会に紹介したいと思いますが、前回「鎮守府 日本遺産シンポジウム」の記事を書いていた時、私がいままで見てきた中でもトップクラスに尖っている博物館を思い出しましたので、紹介します。
舞鶴赤れんが博物館
京都府舞鶴市にあります「赤れんが博物館」です。
場所は、舞鶴赤れんがパーク内の1号棟になります。
赤れんがパークにある煉瓦建築は、もともと舞鶴鎮守府の軍需品倉庫で、その一部がおしゃれにリノベされ、商業施設やイベントホールなどとして活用されています。博物館もそのひとつです。
博物館に展示されているものですが、
私は最初「おしゃれな建物で郷土の歴史でも紹介している気取った博物館」を想像していましたが、中に入ると・・・
なんと、展示されている内容が、すべて「レンガ」です!
レンガ好きのみなさまにとっては、垂涎の品がそこかしこに並んでおります(o゚▽゚)o。
レンガから意外なことが分かる
「レンガが好きじゃなければどうでもええやんけ」と思われそうですが、侮るなかれ。
レンガのことを知ると、他の分野の偏愛さんにも役立つ知識があります。
建材ですから、レトロの建築物を見る時にレンガのことを知っていると、知識の幅が広がります。
そして、レンガの積み方には、いくつか種類があります。代表的に言われますのがフランス積みとイギリス積みですが、一般的にフランス積みの建物のほうが古いとされますので、石垣と同様、年代を推定する手がかりとなります。これには、お雇い外国人が来た時期と関係しているのでしょうか。
私が軍事史跡初心者だった頃、師匠の小松津代志さんからレンガの積み方について教わったとき「話のネタとして面白いけど、対馬以外でこんな知識役に立つのか?」と思いましたが、少なくとも、鎮守府4市と群馬の富岡製糸場では役に立ちそうです(苦笑)。
ちなみに、赤れんが博物館となっている魚形水雷庫は、フランス積みでありながら、赤れんがパークの他の建物よりも1年遅い、明治36(1903)年に建築されたそうです。
何か理由があるのかと思い、受付の方に尋ねたところ、ヤバい客がきたと思われたのか、奥から学芸員らしき方がいらっしゃいましたが、明確には分かっていないそうでした。
いずれにせよ、現物だけで早とちりするとイタい目に遭うことがあるようですので、注意が必要です。
レンガに付きものの話題といえば
レンガに付きものの話題といえば「監獄」です。
煉瓦造りがヨゴレ仕事であったことや、欧米諸国と対等になろうとすべく監獄を煉瓦造りに改修した、といった逸話も紹介されています。
そして、どのくらいの割合で含まれているのかは定かでないですが、刻印入りのものもあり、それによってどこで製造されたものなのかが分かるのだとか。例えば、メイドイン「小菅」とか、「網走」という感じで。
余談ですが、旧奈良監獄は、2026年春ホテルになる予定です。
舞鶴の歴史が知りたければ
舞鶴の歴史はレンガだけ、ということはなく、丸木舟が発掘された縄文遺跡(浦入遺跡)や、北前船など、日本海にまつわる深い歴史があります。
そのあたりは、赤れんがパーク2号棟の「舞鶴市政記念館」に展示されていますので、そちらもご覧になると、舞鶴が地理的に何かある土地だったことが感じられます。入場無料です。
対馬でも砲台跡を歩いていますと、たまにお客様から「どこでレンガを作っているの?持ってくるの?」と聞かれることがありますが、私が把握している限り、刻印付きのものが見つかっておらず、残念ながらなんともいえません。今後、注意して探したいと思いますf^_^;)。
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