#115_【旅行企画】磯焼け対策に混ぜてもらいました
昨年4月、旅行企画を考えるのとガイド研修を兼ね、対馬で行われている磯焼け対策の現場を体験しようと、丸徳水産さんが養殖したひじきの刈り取りに混ぜてもらいました。
この手の体験を旅行商品にするなら、やはり収穫が一番楽しかろうと思っていましたが、多くの方から「苗付けからやりたい」という意見が出ました。作業内容としては、地味で細かい作業が多く、人手も必要とのことだったのですが、今季は海遊記の祐徳船長に半年以上前から打診し、準備してもらいました。
ところがです。
いざ当日を迎え、これから出掛けようかと準備をしていた矢先、船長から電話がかかってきました。
「佐藤さん、今朝届くはずの苗が届いていません!」
フェリーが欠航するような天候ではなかったので、 まさかのアクシデントで呆気に取られながらも、ガンガゼの駆除ならできるという話でしたので、それでも参加したい方々に集まってもらいました。
ガンガゼの駆除作業
いきなりガンガゼと言われてもピンとこない方もいらっしゃると思いますので、簡単に紹介します。
ガンガゼはウニの一種で、海藻をたくさん食べる上に、美味しくないといわれ売り物にならず、おまけに針が脆くて毒まであるという、なかなかの厄介者です。
余談ですが、イシダイのエサにはなるそうで、たまに壱岐からガンガゼがほしいという依頼があるとか、ないとか。
近年海の中を覗くと、海藻が生えていないところに、ガンガゼが密集しているのをよく見掛けます。
いくら海藻を生やしても、ガンガゼを放っておいたら喰われてしまいますので、ガンガゼの駆除も磯焼け対策のひとつとして行われます。
どんな感じで駆除するの?
まず、ハコメガネなどを使ってどのあたりにいるのかあたりを付け、網やモリを使ってひたすら水揚げします。
2隻に分かれ、競う感じに採取しはじめました。
我々の船では、一気に網ですくえないかと欲張ったものの、意外と底にへばりついていて一網打尽とはならず、終わってみたらもう一隻の半分もない採れ高に社長から呆れられましたf^_^;)。
ガンガゼの駆除は様々な地域で行われており、場所によっては、とてつもない数が生息しているため、ダイバーが海に入りひたすら割っている、ということもされているようです。
YouTubeにはこんな動画も上がっています。
※勝手にすると、密漁行為になりますので、マネしないでください。
ガンガゼを実際食べてみると…
漁業者の方々に聞きますと「ガンガゼなん、まずくて食われん」ということを言われますが、我々素人からしますと、そもそも現物が身近にいませんので、試食させていただきました。
食感はもちろんウニで、加工して時間が経つとどのようになるのか分かりませんが、獲れたてのものについては、他のウニと遜色なく、磯の香りが詰まったコクのある味でした。単体よりもご飯やパスタなど炭水化物と合わせるのが良さそうです。
旅行商品になるのか?
運営サイドの反省として、ひじきの苗が届かなかったことについては、主催者の落ち度ではなかったものの、海上の時化は思わぬ時にも起きるもので、特に冬場やドック配船期間では、欠航のリスクも上がりますので、物流を海運に頼っている離島では、常に意識しておかねばならないと感じました。それ以前に、対馬で苗が自給できるのが理想ですよね。
一方で、磯場や海上に出ると、どうしても危険を伴うことや、ガンガゼ自体にも毒を持つトゲがあり、あまり体験メニューにしようと思っていなかったところ、偶然体験させていただきました。
体験学習の受け入れも含め手広く事業をされている丸徳水産さんだからできたことでもありますが、いたずらにあれもダメ、これもダメとしていたら、漁業は危険と対峙して成り立っていることが実感しにくいと思いましたので、うまいこと体験メニューにできないものか、と思いました。
ヒジキの苗付けはこのようにやっています。
ひじきの苗が少し残っていたとのことで、苗付けの作業をどのようにしているか、教えていただきました。
なかなか修行のような作業です。
こうした地道な努力から、少しずつでも豊かな磯場が回復してくれればと思うところです。
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