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孝雄はそんなに純粋な少年じゃない。【「言の葉の庭」感想】


新海誠作品は、学生のときに会っていたらとんでもなく性癖持ってかれそう(?)な年上女性を描くのが好きよね。君の名は。の長澤まさみ先輩しかり。
足のスケッチとか、終盤の足触ってサイズを確かめるのとか、やたら官能的!

雪野さんが部屋で元彼と電話するシーン。靴の本を買っているほど孝雄と会うことが楽しみになっていた雪野さんだけど、胸の中には孝雄だけじゃなくて、元彼も心の拠り所の一つくらいには存在しているんじゃないか。付き合えそうな相手を何人かキープしておくみたいな、大人のしたたかな一面を感じた。
元彼にお弁当の交換をしたのはおばあちゃん、って嘘付いたのもね。

一方この頃すでに孝雄は雪野さんにだいぶ心を奪われていて、周りのクラスメートの女子なんか目に入らないくらいになっていそう。主要な女子のクラスメートとの描写は劇中で無かったし。雪野先生をいじめた先輩に喧嘩をふっかける描写が真っ直ぐすぎて、二重の意味で痛々しかった。
孝雄の最後のセリフ、
「歩く練習をしていたのは、きっと俺も同じだと、今は思う。いつかもっと、もっと遠くまで歩けるようになったら、会いに行こう」。
すごく取ってつけたように綺麗なセリフ。孝雄ってよく学校を遅刻して先生に怒られても悪びれてないし、そんなに真面目な子じゃないと思ったから綺麗な一面を強調して見せられてる感じがして違和感があったな。
靴職人という憧れを持っているだけで、普通の男子高校生に見えました。
秒速5センチメートルの貴樹くんは、自分の恋の執着心の気持ち悪さを自覚しているような言葉選びで、そっちのほうが正直な人間に見えて私は好きだった。
終わり方が綺麗すぎたのが私には響かなかったけど、46分間の密度が濃くって面白かったです。

ところでこういう禁断の関係モノ?で片方の部屋にあがるってだいぶハードルがあるように思うんだけど、割とどの物語でも簡単に入れちゃわない?どしゃ降りの雨とかの理由は付いているけれど。


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