売込み無し!フリマ店主の販売戦術?(行動経済学)
「手にしたモノを失いたくない」
人は「新しいものを手にした時に得られるメリット」よりも
「今持っているモノを失うデメリット(現在の環境を失うデメリット)」を強く感じるらしい。
先日、ふらりと立ち寄ったフリーマーケットで
おじさん店主にこの心理をつかれ、
私、予定外にモノを買ってしまった。
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日曜日
母が元気だった時、何回か来ていた神社の骨董市
懐かしさもあって、ちょっと覗いてみようかなと思っただけ
なのに。
ある出店者のテーブルで、
ティーカップやお皿、紅茶葉入れなどなど、
好みの磁器を多数みつけた。
「わ〜かわいい!」(でも、今日は買わないよ)
店主のおじさんがあれこれと
骨董と年代の新しいものの見分け方や
磁器メーカーの歴史を教えてくれる。
「ねぇちゃんは、のせられて買うような感じじゃないね」
なんて言われて、悪い気はしないけど
(シュガーポットが気になるけど今日は買わない)(長居しないほうがいいな)とその場を離れて、他の出店者の品物をみて回った。
一番奥の店までいって折り返して来て
また、さっきのおじさんの店の前。
おじさんが店にいないようなので、
油断してゆっくり通り過ぎようとしたところで、
どこからか戻ってきたおじさん店主に声をかけられた。
「自分が気に入ったもの、ここに集めてみて」
おじさんに言われた通りにする。
(シュガーポットは可愛いな。でもこの値段は高すぎるよ)
(これとこれ、セットであると素敵だな)
などど思いながら、気に入ったモノをテーブルの一角に集めた。
シュガーポットと、ミルクポットとカップの3点
(わ〜 これ全部、かわいいなぁ)と思った時
店主は私が一番気に入っていたシュガーポットを指して
「じゃ、これ3000円だけど、2000円にしてあげるよ。3つ全部で5000円ね」「この皿も気に入っていたな。1つつけちゃる」といって、
4点をさっさと新聞紙で包み始めた。
ここで、自分でも驚きなのだけど、
「わ〜!ありがとう!!」と言っていた。
私が素直に喜んだので、おじさんも気が引けてきたのか、
「じゃ、これもつけちゃる」と
バラの置物も包みに入れた。
(1つ1つはそれほど価値がないってことだな)
(バラの置物は自分では選ばないな)と思ったが
買う流れにキレイにのっかったまま支払いをして、5点を持って帰った。
いつもは、何を買うにも、100円ショップでの買い物ですら慎重なのに
今でも不思議というか、あまりにも簡単にやられた、というか。。。
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「保有効果」は、「いま所有しているモノ・環境の価値について、それを所有していない時よりも
高く感じ、そのモノ・環境を手放すことに強い抵抗を感じる」という心理。
(1970年代に経済学者リチャード・H・セイラーが提唱)
私がおじさんの店でテーブルの一角に集めたシュガーポットたちは、
「私が自分で選んだモノ」
そして「選ぶ」ときに 「自分が所有すること」を”イメージした”ことで、
選んだモノたちに愛着がでてしまった。
だから「今持っているモノを、手放す」ことができなかったのだろうと思う。
私に”気に入ったモノをテーブルの一角に集める行為”をさせたおじさん店主は
この「保有効果」をわかっていて誘導したのか
それとも、長年接客してきた経験からか。
今もダイニングテーブルの上のシュガーポットとバラの置物をみると、
(かわいいな)
(でも、高い買い物だったな、反省反省)と思う。複雑な気持ち。。。
しばらくこの感じを楽しむこととして、骨董市には近寄らないでおくかな。
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(追伸)
現状を維持し続けたいという心理効果「現状維持バイアス」は、「保有効果」が生まれる要因と考えられています。
よろしかったら
「サブスク」を退会できない顧客の心理」をご覧くださいね。
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