社内セミナーを実施しました~コンセプトアート制作発表会~
本日もお疲れ様です☕
Black Beard Design Studioです。
弊社ではスキルアップのための制度として、
社内アートディレクターや、外部から講師の方をお呼びしての社内セミナーを行っております。
▼過去には、noteで公開した【Tech】記事を題材にしたこともございます▼
先月には、株式会社ボーンデジタル様にご協力いただき、
コンセプトアーティストとして活躍されている富安健一郎氏(株式会社INEI)による講座を開催いたしました!
テーマは
プロのクリエイター必見!
爆速で仕事の質が上がる よ~くわかるコミュニケーション術
今回は計2日間のプログラムとなり、
1日目は座学形式、
2日目は宿題のコンセプトアートの発表会という形式でした。
こちらの記事では、当日の様子をお届けします!
はじめに~講義が決まるまで~
■どうやって決まったの?
今回はテーマに“コミュニケーション術”とあるように、
CG制作における技術的な部分に焦点を当てた講座ではなく
「コミュニケーション能力」の特にヒアリング能力に特化した講座を行っていただきました。
たとえば、弊社のデザイナーの業務の中でも、
日々クライアント様からいただくフィードバック、
社内でのリーダー、プロジェクトマネージャーとの摺り合わせ等
コミュニケーションの機会は多くあります。
そういったときに、表面上の言葉ではなく、
本当は何を伝えたいのかをヒアリングする力を持つことで、
すれ違いや誤解を招くことが減り、
結果として業務の負荷自体の軽減や制作物の品質向上に繋がり、
仕事自体もより楽しくなるということもあるのではないでしょうか。
ヒアリング能力はあらゆる物事のスタートラインということで、
コミュニケーション能力の中でも、
聞く能力に特化した講座を開催しよう!といった理由で決定いたしました。
■どうしてコンセプトアート?
コンセプトアートは曖昧なイメージを形にするとても難しい仕事です。
そもそもの画力やCGスキルも当然必要ではありますが、必ずしも上手い絵がすぐれたコンセプトアートというわけではありません。
優れたコンセプトアートは、”自分のしたいことをするのではなく、相手の理想をしっかり形にしたもの”です。
作家性やオリジナリティ、ユーモアを乗せるのは後の話です。
その話は、クライアントの要望を形にしていくデザイナーの仕事ともとてもよく似ています。
そこで、コンセプトアートのプロフェッショナルであるINEIの富安氏に講義をしていただくことで、
改めて「ヒアリング能力」の大事さに立ち返りや新たな視点の開拓となることを目指して本セミナーを組みました。
セミナー1日目
ここからは当日のレポートをお届けいたします!
前半戦~座学~
1日目の前半では座学形式による「コミュニケーション」についての講義をしていただきました。
富安氏の経験談から得た学び・発見についてや、
ミーティング前のマインドセット方法、深堀りするための質問方法といった具体的なテクニック等をお話いただきました。
ユーモアを交えながらお話いただき
私たちも笑いながら、楽しく受講することができました☺
後半戦~課題について~
後半の時間は、2日目におこなわれる課題発表会のための質疑応答の時間が設けられました。
課題の内容は、コンセプトアートを制作すること。
プロデューサー役の富安氏とデザイナーで質疑応答を繰り返して、
「プロデューサーがどんな絵を求めているのか」を探っていく時間です。
テーマは【魔法の森の儀式のゲーム】に決定し、
質疑応答がスタート!
以下のような質問と回答が挙がりました。
上記のような質疑応答の内容だけをもとに、
1週間後の発表会に向けて、空き時間に制作を進めていくこととなりました。
セミナー2日目
課題発表会
予定通りに1週間後に行われた2日目。
短い制作期間&一度の質疑応答という状況下で、どのようなアプローチがなされたのでしょうか。
■Sさん(キャラクターセクション)
▼comment
・魔法の森で、敵組織がやばい魔物を復活させようとしている、
もう少しで復活してしまうような瞬間に、主人公が止めに来た場面(主人公視点)を描きました。
・とにかくやばそうな印象を与えられることを意識し、魔物の邪悪な雰囲気、迫力、場の音や風等を感じられるような絵を目指しました。
・魔物のイメージ像や、儀式の設備などの具体的な見た目部分が完全に想像になってしまったので難しかったです。
■Sさん(ディレクターセクション)
▼comment
・メインのモチーフは、大きな円机に座る64人の魔法学者です。
白いローブを着た人は魔法学者で、現代で例えると科学者に近い立場を想定しています。
・質疑応答量の関係もあり、プロデューサー様の人物像や好みを強くイメージ出来ず、
どうすればどう感じるのかをあまり固めることが出来ませんでした。
また個人的に、ゲームを作ったり考えたりする経験がなく、世の中のゲームに詳しいわけでもないため、
質疑応答として頂いた返答の内容が、どうビジュアルに結びつくのかがわからず苦労しました・・。
■Kさん(2Dセクション)
▼comment
・ダークな印象はメインだと感じていたので、崩さないように気を付けました。魔物の姿については細かい指定がなかったので異形の不定形な、これからどんどん膨れていくイメージにしました。
森の木々らしいグリーンを入れるか迷いましたが、臭いについての印象が強かったので腐ったような色を加えています。
人間同士が争っている様子も加えることによって対立した形跡を表現しました。
・対比として月が綺麗な夜を表現したかったのですが、目立ち過ぎないように調節するのが難しかったです。
魔法使いの服装を聞けなかったので、黒ミサのようなローブにしました。もっと魔女っぽさもあって良かったのかなと思っています。
召喚に関係する人工物ももっと置きたかったのですが、どのように装置を使うのかを考えるのはもう少し話し合いをしてから設定を作りたいと感じました。
■Hさん(キャラクターセクション)
▼comment
・森の中の遺跡に封じられた魔物を復活させる儀式を行う魔術師と
それを止めに行くパーティ(プレイヤー)という構図にしました。
魔術師同士の争いなので異なる流派の争いということがなるべくわかりやすいようにしました。
・やばい儀式なので生贄をささげている人間を吸い上げている感じの儀式にしました。詳細に描くとグロテスクなのでよく見ると人っぽい影が吸い上げられている見た目にしました。
・自分がこんな表現がいいかなと思った部分と、こうして欲しいといわれている部分に生じる矛盾をどう解消していくかに苦労しました。
・なにを最重要とするのかがわからなくて最初にどう描こうかで迷ったので、コンセプトアートを作成するうえで絶対に描いてほしいものは何かを聞ければ良かったなと思いました。
■Hさん(エフェクトセクション)
▼comment
・ダークファンタジー、森、儀式など質疑応答時のワードを踏襲し、 「ヤバいことやってる..」感が出る絵面を目指しました。
・制作フローの摺り合わせが出来ていなかった事に気付き。。
誠に勝手ながら、通常の業務に置き換え
初稿から完成を目指すのではなく、ラフ案からの制作を行い
方向性の摺り合わせから始める形式を想定したデータの提出を行いました。
・弊社から出た質問の多くが”絵の中身(素材)に関する内容”が多くなったことで、コンセプトアートのゴールがボヤけてしまった印象でした。
・コンセプトアートの目的。(望まれていること)
・このゲームに期待していること。
・プロデューサーさんのお人柄や趣味趣向。
・プロジェクト/チームの目指したいモノや場所。
・このゲームならでは・・。
など、前提や要素を理解するための質問も必要だったと感じました。
■Fさん(キャラクターセクション)
▼comment
・【魔法の森の魔法の儀式】ということと、
この絵を見た人の心がグッと掴まれるような絵にしたいと思い
"人間を生贄"にして魔物を復活させるというコンセプトで絵にしました。
・魔法を使える人間の方が生贄として効果が高く仲間の魔法使い(でも鼻つまみ者だったり社内政治に負けてる者)を生贄に捧げているという場面です。
魔法の儀式という部分を強調させました。
・魔物の復活、やばい音、人為的な森等細かい要素が絵で表すことができなくて苦労と力不足を感じました。
■Mさん(背景セクション)
▼comment
・「絶対に呼び出してはいけないものを召喚しているやばい感じ」を前面に押し出し、ダークなコンセプトが伝わるように描きました。
・色味がまとまらず途中でどんな仕上がりにしたいのか見失いました…。
もっといろんな要素を盛り込みたいところではありましたが、表現力が追いつきませんでした(魔法の森感、玉座の争いというものをどう絵に落とし込む?魔物もほんとは描きたかった)
■Iさん(背景セクション)
▼comment
・「魔法の森の魔法の儀式」ということで、魔法陣から出現するヤバいやつを描きました。
・魔物がどのように危ないのかだったり、魔法陣の表現だったりをしっかり描きたかったので、上から見下ろす構図にしてみました。
・実際にどうヤバいのかを表現したかったので、次元消失弾で山を消し飛ばしました。
・パーティ(主人公)を手前に入れて、魔法陣起動に一足遅く絶望している様子を描きました。
・反省点は、儀式的な部分の描写があまり出来なかったところです。
また、描いていくにつれて森っぽさがどんどん薄れてしまったように感じています…。
■Nさん(2Dセクション)
▼comment
・正当なファンタジー、誰もが直感で感じる恐怖(面白さ)を表現できるように描きました。
・派手さよりも、彩度を落とすことでの雰囲気が出ることを重視しました。
・王道感にポイントを絞って制作したので、質疑応答のキーワードから逸れてしまった部分もあるように感じています。
・大きな物(モンスター)を描くにあたり距離感やスケール感を描きたく苦労しました。
■Aさん(2Dセクション)
▼comment
・魔の森でやばいモンスターが召喚される様子を描きました。
・構図決めに苦労しました。
森の中にある建築物(遺跡)の中から魔法で次元の裂け目から覗いている構図にしました。
・魔法の森ということで、内部が光ってぼこぼことしている木を描いて表現しました。
・スケール感の出し方に苦労しました。
魔法の森なので木に巨木感を出したかったのですが、大きさの指標に出来るものが少なく表現しづらかったです。
まとめ
先生(プロデューサー)の想像するものを表現するために拾った情報の違いが顕著に現れ、様々なイメージ・形式の作品が登場しました。
これは、コミュニケーションが不足している状況で作られたため、
作品のニュアンスの違いが顕著になったのだと思います。
今回のセミナーでは3作品が富安氏に表彰されましたが、
ヒアリング力を重視し、巧拙よりも、「プロデューサーが思い描く世界や生み出したい世界を形にしているか」
「一度のコミュニケーションでの限られた情報の中で汲み取ることができていたか」が評価のポイントとなりました。
このセミナーを通し、「聞く力」や「伝達する力」がクライアントの求めるもの・想像するポイントを探るために大変重要な力、
つまり弊社デザイナーにとっては、制作に必要不可欠な力であるということがより一層強く感じられたと思います!
参加スタッフの感想
今回のセミナーに参加したスタッフにアンケートをとり、感想を聞いてみました。
さいごに
いかがでしたか?
弊社では定期的に社内セミナーを行っていく予定なので、
次回もぜひレポート記事を公開できたらと思っています。
また、先述のアンケートにて、
今後のセミナーで希望する内容についてもリクエストを募ったので、
スタッフの希望する内容も加味してテーマを決められたらと考えています!
BBDSの福利厚生である社内セミナー実施について、
少しでもこちらの記事で知っていただけたら嬉しいです✨
ここまでお読みいただきありがとうございました!
リクルート
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▼デザイナーによる【Tips】記事はこちら