
読まずじまいだった『二十四の瞳』はみんなが読むべき良書だった
私と同世代の40代の皆さんは、当たり前に「二十四の瞳」に触れて育ったのでしょうか?
なにかの推薦図書の一覧で何度も見てきたと思うのですが、それほど読書好きではなかった私は、この年になるまで読んだことがありませんでした
普遍的なテーマを扱った物語のためか、何度もテレビドラマや映画にもなったようですが、それらの映像作品も一度も見たことがありませでした
なんとなく戦後の貧しい時代を背景とした物語のイメージはあったのですが、火垂るの墓とか、白い町ヒロシマのような物語は、ある程度摂取済みだと思っているので “もういいや” という気持ちになっていたのかも知れません
ところが、最近になって読んでみようかなと思うきっかけがいくつか重なったので手に取ってみました
結果的に、時の洗礼を受けている作品というのは、やっぱりいいものなんだなと思いました
ちなみに以下が、ここ10年くらいの間にじわじわと積み上がった読みたくなったきっかけです
るきさんが読んでる(この記事の画像)のがずっと気になっていた
「この世界の片隅に」がとても良かった
時代は違えど、同じく女性が書いた「たけくらべ」がとても良かった
戦争に関連することについて関心が高まっていた

内容は、戦前から戦後にかけての日本社会の変化を背景に、教育の意義や人間の絆の尊さを描いた、新任の女性教師と12名の子供たちの、20年間にわたる物語です
まず、純粋にストーリーが面白いです それから女性視点の文書も面白いです そして、実話ではないようですが、これも一つの戦争の記録として、戦争を経験していない世代の知っておくべき歴史だと思いました
物語の時間軸が長いのがいいんですよね
子供たちは、小学生から中学生になり、思春期で戦争に突入して、成人して大人になり、敗戦を経験して、同窓会で再会を果たします 先生もその間に、仕事、結婚、出産、子育て、家族との別れ、また仕事と、生活が変化します
文学的な作品とは少し違うのかも知れませんが、戦争小説という訳でもなく、長い時間軸の人間ドラマとして、時代や環境は違えど、自分の経験に重ねてみたり、自分では経験できなかった大切なものに触れてみたりと、なんだかとても遠くて身近な物語でした
難しくなく、説教臭くなく、それほど長くもなく、温かい気持ちになれる、読みやすい物語なので、未読の方には是非お勧めします