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八甲田雪中行軍遭難事件
新田次郎の小説『八甲田山死の彷徨』には下地になった資料があった。元新聞記者の小笠原弧酒(おがさわらこしゅ)がノンフィクションとして出版した『吹雪の惨劇』だ。事実と異なる小説がベストセラーになる一方で、小笠原弧酒の『吹雪の惨劇』は話題にならなかった。3部作で完結するはずだったこの本は資金不足のため制作は2部で終わっている。小笠原弧酒は生存者に直接会い話を聞いて遭難事件についての資料をまとめていたが新田次郎に頼まれてそれを無償で渡したという。
八甲田雪中行軍を知った日
私は学生時代にオカルト好きな友人から「八甲田山で兵隊姿の幽霊が出るらしい」と聞いた。雪中行軍の話は聞いたことがあったが、詳しいことまでは知らなかった。その後、映画を見る機会があり、衝撃というかショックというか…こんなにも壮絶な事件だったとは思いもしなかった。幸畑(こうばた)陸軍墓地と資料館のことを知り、私は八甲田山に行ってみたいと思うようになった。
私は20代前半で結婚をしたので、八甲田山への思いもいつの頃からか薄れて生活に追われていた。数年前、登山好きの友人と食事をしたことがあって、八甲田の話を教えてもらった。怖い山なんじゃないの?と聞いたら、笑いながら「そんなことはないよ、ロープウェイで登れば、気軽に楽しめるから1度行っておいで!良い山だよ」と勧めてくれた。近いうちに行こう…そう決めた。
幸畑陸軍墓地
私は遺跡や史跡めぐりが好き。家族から時間をもらってひとりで散策に行くことがある。ここからの写真は3年前の秋と2年前のゴールデンウィークの写真が一緒になっている。
私はやっとこの場所に行くことが出来た。車で少し走ると三内丸山遺跡もある。遺跡や史跡めぐりをするときはスニーカーとリュックと帽子は必須アイテム。たくさん歩くので飲み物を持ち歩こう。資料館で雪中行軍について学び、そのあと建物の裏側にある墓地へ来た。
正面 明治天皇と昭憲皇太后の石碑
凍傷軍人英霊碑
碑の前には3名の士官、3名の大尉の碑
右横 下士官等94名
左横 下士官等95名
右奥 生存者11名の碑
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しかし
分骨された人もいるとか
いないとか…
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根元から枝分かれした松が
植えられている
この松は四国から贈られたもので
東北ではここでしか
見ることが出来ない
貴重な松
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後ろには
明治天皇と昭憲皇太后の碑が並んでいる
ガイドによると
これはとても珍しいとのこと
それぞれの碑には
亡くなった方々を想う
歌が刻まれている
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素敵な名前だと思った
近所の人が犬の散歩をしていたり
子供が遊んでいる
優しい場所
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後藤伍長の銅像がある
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八甲田はまだ雪があり寒かった
この2階には
映画ロケの写真が飾られていた
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愛をこめて「兵隊さん」と書くのだけど、彼らの死はその後の戦争での冬の防寒対策に繋がり長い長い時をかけて今の私たちに繋がっている。事件を忘れるということは、兵隊さんのことも忘れてしまうということ。子どもたちには八甲田山は悲しい事件があった場所ではあるけれど、素敵な山であることと兵隊さんへの感謝の気持ちをいつまでも伝えていけたらと思う。時代は令和になり様々な過去の事件などが動画になって流れている。雪中行軍のことも動画になっている。この事件では兵隊さんだけでなく、兵隊さんの犠牲になった村人がいたこと…そのような真実にもしっかり目を向けなくてはいけないと思う。しかし、私が知っているのは小笠原弧酒『吹雪の惨劇』という本の存在までで読んだことがない。