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中日ドラゴンズ2024年のドラフトを考える~秋編~

みなさんこんにちは。立浪政権も任期の3年目を終え、井上新監督の就任が発表されました。新体制が始まったばかりですが、すぐにドラフト会議の季節です。今年は強いドラゴンズを取り戻す第一歩として非常に大事なイベントになるでしょう。いつものごとくドラフトについてまとめたので読んでみてください。昨年3本に分けたところを今年は1本立て構成に戻してみました、それではどうぞ。


まずは選手紹介からです。

選手紹介

投手

高校生

高校生投手はドラフトの目玉となるような存在はいませんが、180cm後半、中には190㎝を越える大型の投手が多く、全体的には豊作といった印象を受けます。

高校生投手の中でNo.1となる存在が今朝丸 裕喜けさまる ゆうき投手(報徳学園・右投右打)です。

今朝丸 裕喜投手

まず目立つのがそのスタイルの良さ。188cmの長身に長い手足を備えており、マウンドに立つだけで存在感があります。大型ながら制球も良く、ストレートは1試合を通して140キロ台を安定して叩くことが出来るため今年の高校生ではトップクラスと言って良いでしょう。スライダー・カーブ・フォークといったオーソドックスな変化球を持ち合わせており、ウィニングショットのフォークは高い奪三振能力の支えとなっています。
先発すると立ち上がりが不安なところがありますが、試合を通して修正する能力は高く、そこも評価されるポイントでしょう。
今年の選抜では大会を通して高いパフォーマンスを発揮し2年連続で選抜優勝に貢献しました。夏の選手権では初戦敗退となってしまいましたが、U18にも選ばれました。

左腕でNo.1となるのが藤田 琉生ふじた りゅうせい投手(東海大相模・左投左打)、198cmという長身を誇る稀に見る超大型左腕です。

藤田 琉生投手

今年に入って二段モーション解禁もあり大きく成長し、エースとしてチームの選手権ベスト8に貢献しました。
ストレートは最速150キロにまでのぼり、サイズも相まって大きなインパクトがあります。しかし、彼の強みはそこではなくこのサイズで制球がまとまっている・ナックルカーブやチェンジアップといった変化球を操れる・フィールディングのうまさといった器用さも兼ね備えていることでしょう。
デカイのも才能、これだけ変化球使えるのも才能、右腕に比べて希少な左腕であることも才能という才能の塊のような投手です


柴田 獅子しばた れお投手(福岡大大濠・右投左打)も甲子園出場経験はありませんが、注目投手のひとり。大型ながらフォームのバランスが良く、スピンの効いたストレートを投げる、完成度の高い投手です。スライダー・カーブの2種類で抑えている点も伸びしろになるでしょう。
打者としてもチームでクリーンナップを打ち高校トップクラスのスケールを秘めており、本人は二刀流にも意欲を見せています。

清水 大暉しみず だいき投手(前橋商業・右投右打)も192センチの大型投手。叩きつけるようなオーバースローに長身も相まって打者は相当うちづらさを感じることでしょう。フォームのバランスも良く角度を活かして縦の変化球を駆使して三振を奪います。

村上 泰斗むらかみ たいと投手(神戸弘陵・右投右打)は高校で捕手から投手に転向した投手。最速は152キロにまで到達するなど大きく成長を遂げたことで関西屈指の好投手となりました。空振りが取れる球質であり、本人も三振は狙って取れると自負しています。

高尾 響たかお ひびき投手(広陵・右投右打)は名門で1年春から背番号1を背負い続けました。小柄ながらボールの強さやコントロール、投球術は世代トップクラスであり、高い完成度を誇ります。

高尾 響投手

他には恵まれた体格の技巧派右腕小川 哲平おがわ てっぺい投手(作新学院・右投右打)、選手権の準優勝の原動力となりU18にも選ばれた坂井 遼さかい はる投手(関東第一・右投右打)らがいます。

小川 哲平投手
坂井 遼投手

小船 翼こぶね つばさ投手(知徳・右投右打)、山口 廉王やまぐち れお投手(仙台育英・右投右打)は縦にも横にも大きくスケールを感じさせ、狩生 聖真かりう しょうま投手(佐伯鶴城・右投右打)は細身ながらもキレのあるボールを投げ込みます。吉岡 暖よしおか はる投手(阿南光・右投右打)の操る変化球は高校生離れしており、選抜では高いゲームメーク能力を活かしてベスト8入りに貢献しました。

全体的に右投手が多い印象ですが、サイドに近いスリークォーターから異質な直球を放る冨士 大和ふじ やまと投手(大宮東・左投左打)、U18候補合宿でインパクトを残した高橋 幸佑たかはし こうすけ投手(北照・左投左打)、実績が少ないながらも奪三振能力の高い澁谷 純希しぶや じゅんき投手(帯広農業・左投左打)と左腕も精鋭揃いです。

大学生

大学生というカテゴリに限らず、今年の投手においてNo.1となる投手が金丸 夢斗かねまる ゆめと投手(関西大・左投左打)です。
3月の強化試合では欧州選抜相手に先発として抜擢され、2回を4奪三振パーフェクトに抑え、パーフェクトリレーの立役者となりました。
平均球速が速く威力のあるストレートにスライダー・スプリット・チェンジアップなど高い精度を誇る変化球、それらをゾーン内に投げ分ける正確無比なコントロールを持ち合わせており、大学球界では無双とも言える活躍を続けています。今秋は怪我の影響でリリーフ登板が続いていますが、圧倒的な投球は健在で昨秋からの連続自責点0の記録を71イニングに伸ばしました。

ここ数年のドラフト市場でも屈指の完成度を誇る投手
であり、今ドラフトの目玉と言ってよいでしょう。

全体のNo.1が金丸投手ならば右のNo.1中村 優斗なかむら ゆうと投手(愛知工業大・右投左打)です。

中村 優斗投手

金丸投手と共に選出された欧州選抜戦では1イニングで150キロオーバーのストレートを連発、最遅が155キロというプロ顔負けの投球を披露し、春のリーグ戦でストレートの最速は159キロにまで到達しました。スピードに目が行きがちですが、"球の速い変化球投手"という言葉が似合うように彼の真髄は変化球にあり、複数のスライダー・カットボール・フォークなどを操り三振の山を築き上げます。守備面で脆さを見せることもありますが、いい時は敵なしといってよいでしょう。

今春の開幕戦では愛知学院大学相手に9回16奪三振完封という圧巻の投球を見せると、最終的に2023年の春季リーグから3季連続となる最多奪三振のタイトルを獲得しました。大学日本代表でもエースとして先発・中継ぎでフル回転しプラハベースボールウィーク・ハーレムベースボールウィークの連続優勝に貢献しました。



篠木 健太郎しのぎ けんたろう投手(法政大・右投左打)は今年の東京六大学を代表する投手です。

篠木 健太郎投手

2年春からエースとして先発しており、2,3年生の頃は先発して平均150キロを超える浮き上がるようなストレートを武器としていましたが、今年は試合を作ることを意識してなのか、そのスピードは鳴りを潜めています。変化球を操ることは長けておりカットボールを中心にスプリット、今年新たに習得した縦カットとフォークで投球を組み立てます。

フィールディング・牽制のみならず打撃や走塁、外野守備の練習からも分かるようにその運動神経・野球センスは抜群であり、ワインドアップやピンチをしのいだ時の雄叫び、笑顔など非常に「絵になる投手」でもあります。
それだけでなく責任感の強い選手であり、今夏の遠征では主将を務めたこともありました。

下級生からリーグ戦の登板間隔や複数の代表合宿などを経験しており、肩肘が休まるタイミングがなかったことが懸念事項ではありますが、ポテンシャルは世代でもトップ級といってよいでしょう。

寺西 成騎てらにし なるき投手(日本体育大・右投右打)は長い怪我を乗り越え復活を遂げた右腕。

寺西 成騎投手

186センチの角度あるオーバースローから威力のある球を投げ込み、特に必殺のフォークボールは一見の価値ありです。惚れ惚れするような投球フォームや投げてない期間からくる伸びしろなど、魅力たっぷりの大型右腕です。

徳山 一翔とくやま かずと投手(環太平洋大・左投左打)は大学から本格的に投手に取り組んだサウスポーで糸を引くようなストレートが特徴です。故障が多いのが懸念点ではありますが、ボールの強さは左腕なら金丸投手に引けを取らないでしょう。

徳山 一翔投手

佐藤 柳之介さとう りゅうのすけ投手(富士大・左投左打)は150キロを超えるスピードボールは投げないものの、伊藤将司投手(現阪神タイガース)を彷彿とさせるフォームから特異な球質のストレートを繰り出し空振りを量産します。変化球の精度も高く、コントロールや投球術なども優れており投球の完成度は随一といってよいでしょう。

佐藤 柳之介投手

宮原 駿介みやはら しゅんすけ投手(東海大静岡キャンパス・左投左打)は東海地区リーグ戦で二度の代表候補合宿も経験しており、ボールの強さは屈指といえるでしょう。

宮原 駿介投手

林 翔大はやし しょうた投手(大阪経済大・右投右打)は制球力と豊富な球種を武器に関西六大学で通算20勝を達成した関西屈指の右腕です。

林 翔大投手

昨年ドラフト1位を7人輩出した東都リーグには今年も好投手が揃います。
坂口翔颯さかぐち かすが投手(國學院大・右投右打)は東都リーグを代表するする右腕。1年から主戦として投げてきており、スピード・変化球・コントロール・投球術などいずれもハイレベルな投手です。

坂口 翔颯投手

児玉 悠紀こだま はるき投手(青山学院大・左投左打)はドラフト1位指名を受けた下村・常廣の両投手の陰に隠れていた実力のある投手で、今春はエースとして大車輪の活躍を見せました。

児玉 悠紀投手

岩崎 峻典いわさき しゅんすけ投手(東洋大・右投右打)は必殺のカットボールで打者を牛耳り、ムラはあるものの上振れた時は手がつけられないような投球を見せます。

岩崎 峻典

富士大学からは2人、安徳 駿あんとく しゅん投手(富士大・右投右打)は力強いストレートを武器としており、全国でもその実力は証明済み。長島 幸佑ながしま こうすけ投手(〃・右投右打)は登板機会は少ないですが長身による角度を活かして打者から三振を奪います。

篠木投手以外にも法政大学には2人、吉鶴 翔瑛よしつる しょうえい投手(法政大・左投左打)は篠木投手と先発二枚看板を形成する大学トップクラスのサウスポーであり、高い制球力とキレのあるボールで打者を打ち取ります。山城 航太郎やましろ こうたろう投手(〃・右投右打)は遅咲きながらも長い手足と高い打点を活かしたパワーピッチャーで、そのポテンシャルは自他共に認めるものがあります。

吉鶴 翔瑛投手
山城 航太郎投手

廣池 康志郎ひろいけ こうしろう投手(東海大九州キャンパス・右右)は大学生でもトップクラスのロマン型投手であり、全日本大学野球選手権でその片りんを見せました。

社会人・独立

今年解禁の投手筆頭が伊原 陵人いはら たかと投手(NTT西日本・左左)。

伊原 陵人投手

球速以上にスピードを感じさせるストレートは社会人屈指の回転数を誇り、抜群のキレを誇るカットボールとのコンビネーションで打者を打ち取ります。制球力も高く、完成度は今年の社会人でも上位でしょう。


木下 里都きのした りと投手(KMGホールディングス・右右)は社会人屈指のスピードボーラー。

木下 里都投手

そのストレートはコンスタントに150キロを計測し、都市対抗では自己最速となる156キロを計測しました。変化球で空振りが取れる点や大学から本格的に投手に取り組んだ点も見逃せません。

荘司 宏太しょうじ こうた投手(セガサミー・左左)は緩急を駆使した投球が持ち味のサウスポー。

荘司 宏太投手

東京ガスの補強選手として出場した今年の都市対抗ではリリーフとして腕を振るい、チームのベスト4に貢献しました。

河北 翔太かわきた しょうた(エイジェック・右投右打)は荒れ気味ですが落差のあるフォークと速いストレートが魅力の投手です。

関西学生野球連盟出身で大学時代にプロ志望届を出さなかった3投手も注目です。
鷲尾 昂哉わしお こうや投手
(三菱重工West・右投右打)・髙橋 佑輔たかはし ゆうすけ投手(東邦ガス・右投右打)・東山 玲士ひがしやま れいじ投手(ENEOS・右投右打)、いずれも力強いストレートと落ちる球でバットに空を切らせます。

鷲尾 昂哉投手


高卒社会人でいうと沢山 優介さわやま ゆうすけ投手(ヤマハ・左投左打)、寺嶋 大希てらしま だいき投手(NTT東日本・右投右打)らの大型投手は順調に成長し、チームでも信頼を得て都市対抗の予選や本戦でも出場機会を得るようになりました。

西村 王雅にしむら おうが投手(東芝・左投左打)は小柄ながらも低いアングルからキレのあるボールを投げる左腕。チームのみならずU23でも活躍し4試合で8回 1/3を4安打7奪三振1四球という成績で優勝に貢献しました

林田 夢大はやしだ ゆうと投手(西部ガス・右投右打)は170cmとかなり小柄な投手ですが、U23代表候補として選出された大学日本代表との試合で力のあるボールを投げ込み大学代表を圧倒しました。

林田 夢大投手

ここからは解禁済みの投手を紹介します。

高卒4年目の今年大きく伸びたことでチームのエース格となったのが吉田 聖弥よしだ せいや投手(西濃運輸・左投左打)です。

吉田 聖弥投手

力みのないフォームから投じるストレートとチェンジアップのコンビネーションは抜群で高い奪三振能力があります。都市対抗では3試合に先発し18回 1/3を投げて21奪三振 防御率3.38という成績でチームのベスト4に貢献しました。今年の大学生と同じ年ということになりますが、彼らと比べても実力はトップクラスでしょう。

竹田 祐たけだ ゆう投手(三菱重工West・右右)は平均球速の速いストレートにフォークを組み合わせた粘り強い投球が持ち味。1年目から3年連続で主戦として都市対抗に出場しており、今年は過去最高のベスト8入りを果たしました。
中島 悠貴なかじま ゆうき投手(茨城トヨペット・左投左打)は変則気味のフォームから150近い直球を投げ込み、補強選手として出場した都市対抗でも爪痕を残しました。

昨年4名の投手が指名された徳島インディゴソックスには今年も好投手が揃います。白川 恵翔しらかわ けいしょう投手(徳島インディゴソックス・右投右打)は今年KBO(韓国プロリーグ)へのレンタル移籍も経験し、防御率5.65 57回2/3 46奪三振という成績を残しました。工藤 泰成くどう たいせい投手(〃・右投右打)は最速159キロを誇る速球派、川口 冬弥かわぐち とうや投手(〃・右投右打)は先発中継ぎをマルチにこなす長身右腕、中込 陽翔なかごみ はると投手(〃・右投右打)は制球力と奪三振能力を両立しています。

羽野 紀希はの かずき投手(愛媛マンダリンパイレーツ・)は常時150キロを計測するストレートで打者を圧倒し、日渡 柊太ひわたし しゅうた投手(富山GRNサンダーバーズ・右投右打)はカットボールを武器に守護神として君臨しています。

また、今年からNPBの二軍に参入した新潟オイシックス新潟アルビレックスBCとくふぅハヤテベンチャーズ静岡から指名があるかもしれません。
指名がありそうなのは早川 太貴はやかわ だいき投手(くふぅハヤテベンチャーズ静岡・右投右打)、下川 隼佑しもかわ しゅんすけ投手(新潟オイシックス新潟アルビレックスBC・右投右打)といったところでしょうか。

野手

高校生

捕手
高校生を代表するキャッチャーが箱山 遥人はこやま はると選手(健大高崎・右投右打)です。

箱山 遥人選手


正確無比かつ鋭いスローイングをはじめ基本的なキャッチャースキルは高いレベルで備えており、健大高崎は野球界に好捕手を次々と送り込むことで有名ですが、青柳監督からは「歴代で一番いい」と評価をされています。やや引っ張った打球が多めですが飛ばす力もあり、加えて類まれなキャプテンシーでチームをけん引します。今年の捕手全体でもNo.1となる存在でしょう。
今春のセンバツでは来年のドラフト候補にも挙がる佐藤龍月・石垣元気の2年生投手コンビをリードし4番打者としても打線をけん引しチームをセンバツ優勝に導きました。



龍山 暖たつやま はるき選手(エナジック・右投右打)は創部一期生としてエナジックスポーツを創部3年目で初となる春の県大会優勝・夏の準優勝に導いた強肩捕手です。

強打の捕手として注目したいのが椎木 卿五しいぎ けいご選手(横浜・右投右打)。今夏の神奈川大会決勝ではのちの選手権でベスト8入りする強力東海大相模投手陣を相手に逆方向へのホームランを含むサイクルヒットを達成するなど、大会を通してチームをけん引しました。

内野手(一塁、三塁)
宇野 真仁朗うの しんじろう選手(早稲田実業・右投右打)は春の段階から木製バットを使用しホームランを量産していた右の強打者。

宇野 真仁朗選手

夏も木製バットを使用し予選で2本塁打を記録、甲子園ではあと少しでホームランという当たりも放ちました。和泉監督が「一番の武器は走力」というように足も速く、高い走塁技術で瞬く間に次の塁を陥れます。チームではショートを守り動きの良さが目立ちますが、スローイングを不安視する声もあり、U18では主にファーストを守りました。

ラマル・ギービン・ラタナヤケ選手(大阪桐蔭・右投右打)は守備面に不安を抱えてはいますが、そのパワーは高校生離れしており、新基準バットでも旧来のバットのような金属音から強烈な当たりを連発しています。

ラマル・ギービン・ラタナヤケ選手

内野手(二塁、遊撃)
今年の高校生ショートは様々なタイプの選手がおり、豊作とされています。
高校No.1野手となるのが石塚 裕惺いしづか ゆうせい選手(花咲徳栄・右投右打)です。

石塚 裕惺選手

打者としてはミート力を武器としており、甘い球を逃しません。パワーもあり度肝を抜く特大アーチを放つこともしばしば見かけます。木製バットへの適応能力やアプローチも優れており、さながら高校生の中に大学生が混じっているようなパフォーマンスを見せます。U18では主に4番として出場し大学代表との壮行試合やアジア選手権ではコンスタントに長打を放ちました。この打力に加えて足が速くスローイング能力も高くため、高いレベルで走攻守三拍子が揃った選手といえるでしょう。

高校No.1ショートという声もあるのが齋藤 大翔さいとう ひろと選手(金沢・右投右打)。俊足・強肩の高い身体能力と確かな守備技術を併せ持ち、広い守備範囲で周りの打球を刈り取ります。打撃に関しては課題もありますが、身体能力を上手く活かすことが出来るようになったら、その天井は計り知れません。

中村 奈一輝なかむら ないき選手(宮崎商業・右投右打)はスタイルが際立つショート。

中村 奈一輝選手

チームでは上位打線を打つだけでなく投手も務め、選手権出場へ導くと甲子園では守備力の高さを証明しました。

森 駿太もり しゅんた選手(桐光学園・右投左打)は187センチの大型ショート。豪快なスイングで滞空時間の長いフライを生み出せる打撃が魅力で、チームでは主将だけでなく投手もこなします。

二刀流でチームをセンバツベスト4に導いた颯佐 心汰さっさ ここた選手(中央学院・右投右打)、桐蔭と履正社の二強を倒し今坂 幸暉いまさか ともき選手(大阪学院大高・右投左打)も身体能力の高いショートです。

森井 翔太郎もりい しょうたろう選手(桐朋・右投左打)は二刀流として注目しておいて損はない存在でしょう。投手としては最速153キロのストレートに鋭い変化球を操り、野手としては主に強肩を活かしてショートを守りパワフルな打撃で高校通算45本塁打を誇ります。また、彼の所属する桐朋高校は全国でも有数の進学校であり、NPBのみならずMLBのスカウトも注目する逸材です。

外野手

モイセエフ・ニキータ選手(豊川・左投左打)は高い打力が魅力の外野手。

モイセエフ・ニキータ選手

試合の中で修正する能力が高く、ロシア人の両親から譲り受けた身体能力も魅力です。
昨秋の東海大会では4試合で.625と打ちまくり、神宮大会でもホームランを放ちました。
今年のセンバツでは"新基準バット"(今年度から導入された低反発バット)での第1号を期待される中で、好投手である阿南光の吉岡投手からホームランを放ちました。

正林 輝大しょうばやし こうだい選手(神村学園・右投左打)も高校トップクラスの強打の外野手です。

正林 輝大選手

低反発でもそれを感じさせない打力があり、春のセンバツでもホームランを放ちました。U18合宿の紅白戦でも木製バットでホームランを放ち、国スポでも長打を放つなど木製バットへの対応力も証明済みで、打力のみならず足と肩も魅力の選手です。
2年生から4番を務め、夏のベスト4入りに貢献すると、その後も打線をけん引し3季連続出場の原動力となりました。

大学生

捕手
笹原 愛斗ささはら まなと選手(九州共立大・右投右打)は二度の大学日本代表合宿を経験した強肩強打の選手。合宿ではファーストを守る際の声がけなど、積極的なコミュニケーションも印象的でした。

笹原 愛斗選手

印出 太一いんで たいち選手(早稲田大・右投右打)は打力が自慢の大型捕手です。

印出 太一選手

春はリーグ優勝、全日本準優勝も貢献しており、日本代表では主将を務めファーストも守りました。

捕手も富士大から2人、高いディフェンス能力に定評のある坂本 達也さかもと たつや選手(富士大・右投右打)、パワフルな打撃が魅力の渡邉 悠斗わたなべ ゆうと選手(〃・右投右打)の名前が挙がります。

坂本 達也
渡邉 悠斗

末田 龍祐すえだ りょうすけ選手(愛知学院大・右投右打)はスローイングならば今年の大学生でNo.1と言っても過言ではないでしょう。

内野手(一塁、三塁)
佐々木 泰ささき たい選手(青山学院大・右投右打)は世代を代表するアーチストです。

佐々木 泰選手

凡打でも滞空時間が長く、体勢を崩されてもフェンス近くまで飛ばし、低めの変化球をすくってホームランにするなどここまで通算12本塁打を放ちパワーと打球角度は天性のものがあります。
1年の春に4本塁打を放つ衝撃のデビューを果たすと、その後も東都リーグを引っ張り続けて来ました。今春のリーグ戦は低空飛行ながらも、優勝決定戦となったリーグ戦最終戦で試合を決めるホームランを放ち、大学野球選手権では準決勝で1本塁打含む4安打6打点の大暴れを見せると、最終的に.333 2本塁打 8打点という成績で最高殊勲選手賞を受賞しチームを大会連覇へ導きました。

入れ替わりの激しい東都リーグで大きな怪我もなく7季規定到達している身体の強さやリーダーシップも自慢です。

柳舘 憲吾やなぎだて けんご選手(國學院大・右投左打)も下級生の頃から東都リーグを引っ張ってきた巧打者です。巧みなバットコントロールで広角に打ち分ける技術があり、3年春には首位打者を獲得しました。リーグ戦のみならず今年のプラハ・ハーレムベースボールウィークでも2大会で.412 2本塁打と好成績を残しています。大学野球界随一の三塁守備やプレー以外の様々な場面から垣間見える人間性も彼の魅力の一つです。


森 翔太郎もり しょうたろう選手(中部学院大・右投左打)、荒巻 悠あらまき ゆう選手(上武大・右投左打)は地方リーグを代表する左の強打者で、全国大会でも結果を残しています。

森 翔太郎選手
荒巻 悠


清原 正吾きよはら しょうご選手(慶應義塾大・右投右打)は清原和博氏を父に持つスラッガー。

清原 正吾選手

中学から高校まで6年間のブランクがありがながら4年春に慶應のレギュラーに定着、春季リーグでは驚異的な成長を見せベストナインも獲得しました。
プレーの随所に垣間見える野球センスや、リーグ戦通算0本塁打ながらもオールスターで特大ホームランを放つあたりは血筋を感じずにいられません。

内野手(二塁、遊撃)
投手の目玉が金丸投手ならば、野手の目玉宗山 塁むねやま るい選手(明治大・右投左打)でしょう。

宗山 塁選手

まず注目すべきはその守備力。深いところからも刺せるスローイング・無駄のないボールへのアプローチ・ボールが吸い付くようなグラブさばきと全てが一級品であり、今すぐプロに混ぜてもトップクラスと評されます。
また打撃もバットコントロールに優れ卓越した打撃技術で安打を量産します。下級生の頃から群を抜くパフォーマンスを見せていましたが、今年に入って更にスケールアップしています。

下級生の頃からリーグ戦や全国大会で活躍し2,3年生ながら大学日本代表でショートのレギュラーを務めるなど圧倒的なパフォーマンスを見せていました。4年春は怪我で欧州選抜戦やリーグ戦の大半を欠場する形となりましたが、秋のリーグ戦でも打率.455 2本塁打を記録しており、通算で打率.347(326-113) 10本塁打とずば抜けた成績を残しています。


ショートで宗山選手の次点に来そうな選手が浦田 俊輔うらた しゅんすけ選手(九州産業大・右投左打)。

浦田 俊輔選手

機敏かつ堅実な守備に大学トップクラスの俊足を兼ね備えた選手であり、小柄ならがもグラウンドを駆け回るその姿は目を引きます。

全日本選手権では初戦で猛打賞を記録し安定した守備力も見せました。2戦目以降は怪我で欠場、その後の大学日本代表合宿も辞退する形となってしまいましたが、実力は確かなものがあります。

他に東京六大学では守りでは宗山選手にも引けを取らない守備職人の山縣 秀やまがた しゅう選手(早稲田大・右投右打)、抜群の打撃センスと瞬足を併せ持つユーティリティプレイヤー中津 大和なかつ やまと選手(法政大・右投左打)、高い身体能力を有する水鳥 遥貴みずとり はるき選手(慶應義塾大・右投左打)といった個性的なショートが名を連ねます。

その他には庄子 雄大しょうじ ゆうだい(神奈川大・右投左打)は神奈川大学連盟の通算安打記録を保持するスピードスター、佐々木 大輔ささき だいすけ選手(富士大・右投左打)はショートらしからぬ体格から繰り出すフルスイングと強肩が魅力です。

庄子 雄大選手
佐々木 大輔選手

外野手
大学生の外野手は全国各地に逸材が揃い、激戦区となりそうです。

中でも西川 史礁にしかわ みしょう選手(青山学院大・右投右打)・渡部 聖弥わたなべ せいや選手(大阪商業大・右投右打)の両選手は複数の全国大会・大学日本代表を経験した大型外野手です。

西川 史礁選手
渡部 聖弥選手

西川選手は高く足を蹴り上げて繰り出すフルスイングが魅力で、初球からガンガン振っていくスタイルと合わせて長打を量産します。3年春・4年春のリーグでは最高殊勲選手賞を受賞し、その後の大学選手権でも活躍し2年連続の日本一に貢献しました。
3年生ながら選出された昨年の大学日本代表では4番を務めチームトップの打率を残し、今年の大学日本代表でもホームランを放つなど優勝に貢献しました。

渡部選手は高い再現性で広角に鋭いライナーを飛ばす大学生屈指の強打者。
好調時はバットを振ればヒットになるほどで、捉えた時はライナーがぐんぐん伸びてそのままスタンドに突き刺さります。
加えて2人とも強肩であり、センターの守備を高いレベルでこなします。また高校時代に西川選手はショート・渡部選手はサードの経験があり、球団によっては内野手として育てていくところもあるかもしれません。

大学日本代表経験はないものの、この2人に次ぐ注目を集めるのが麦谷 祐介むぎたに ゆうすけ選手(富士大・右投左打)。

麦谷 祐介選手

強肩・俊足を活かした守備走塁能力が魅力なだけでなく、昨年はNPBからドラフト1位指名を受けた青山学院大の下村・常廣両投手から全国大会でホームランを放つなどパワーもあり、"野生児"という言葉が似合うプレースタイルやチームを引っ張る姿勢は見るものを惹きつけます。

他には大学日本代表に選ばれた選手で言うと2名。
吉納 翼よしのう つばさ選手(早稲田大・右投左打)は東京六大学通算13本塁打を誇る強打者。

吉納 翼選手

現役最多本塁打を誇り、センター方向から左方向にも度肝を抜くようなアーチを描きます。肩も強く、試合前のノックなどでたびたび神宮を沸かせてきました。

飯山 志夢いいやま もとむ選手(立正大・右投左打)は東都二部リーグながら日本代表に選出され、リードオフマンとして活躍しました。打者としはバットコントロール、アプローチに優れ高い出塁能力を有します。センターの守備も上手く、大学代表では西川・渡部の2人を抑えてセンターを守りました。

櫻井 亨佑さくらい こうすけ選手(中央大・右投左打)は昨年秋の東都リーグで首位打者を獲得しました。状況に合わせて強打も軽打も出来る高い技術は、まさに打撃職人という言葉がピッタリ。

他に関西では身体能力が高く、走攻守三拍子揃った柴崎 聖人しばさき まさと選手(大阪経済大学・右投左打)や打率を残せて広角に鋭い打球を打てる竹内 翔汰たけうち しょうた選手(立命館大学・右投左打)の名前が上がります。

柴崎 聖人選手
竹内 翔汰選手



体格という面で見ると林 冠臣りん くぁんちぇん選手(日本経済大学・右投右打)と井上 幹太いのうえ かんた選手(金沢学院大学・右投左打)がずば抜けています。それぞれ林選手は195cm/106kg、井上選手は185cm/96kgという大型外野手であり、そのたくましい体つきに違わぬ強烈な打球を飛ばします。

井上 幹太選手

社会人・独立

2019年の柘植世那選手(現西武ライオンズ)以来指名のない社会人捕手ですが、今年はプロ入りを狙えそうな存在がいます。
それが石伊 雄太いしい ゆうた選手(日本生命・右投右打)と野口 泰司のぐち たいし選手(NTT東日本・右投右打)、2人とも大学時代に指名漏れを経験した選手です。

石伊 雄太選手
野口 泰司選手


石伊選手に関してはスローイングをはじめ大学生時代から優れていた捕手能力はそのままに、社会人に入り打力が向上しました。野口選手は大学時代から高かった打力がフォームを試行錯誤することで更に磨きがかかり、強豪NTT東日本で4番を務めるほどになりました。


水島 滉陽みずしま こうよう選手(NTT西日本・右投左打)は打力が持ち味のショートで都市対抗でも攻守に活躍を見せました。

相羽 寛太あいば かんた選手(ヤマハ・右投右打)はアマチュア球界トップクラスの守備力を誇るショートです。

相羽 寛太


打撃も捉えた時の打球は目を見張るものがあり、U23候補合宿で大学日本代表と対戦した際にもホームランを放ちました。年齢的には大学生と同じ世代であり、NPB入りの可能性は十分にあるでしょう。

下山 悠介しもやま ゆうすけ選手(東芝・右投左打)は大学時代から定評のあったバットコントロールにパワーが増し、1年目から4番を打つほどになりました。

下山 悠介選手

三菱重工Eastの補強選手として出場した今年の都市対抗では2番打者として2本塁打を放つなどの活躍で優勝に貢献し、打撃賞を受賞しました。

髙波 寛生たかなみ かんせい選手(大阪ガス・右投左打)は昨年の日本選手権でホームランを放つなど優勝に貢献した強肩強打の大型内野手。

髙波 寛生選手

大学時代はセカンドを主戦場としていましたが、社会人に入るとショートやサードも守るようになりました。

大西 蓮おおにし れん選手(JR東日本東北・右投右打)は高卒4年目となる右の強打者であり、今年の都市対抗では2打席連続本塁打を放つなどでチームの準優勝に貢献しました。

大西 蓮選手

中尾 勇介なかお ゆうすけ選手(東京ガス・右投右打)パンチ力と俊足が光るセンター。1番打者として都市対抗での四強入りに貢献しました。

門叶 直己とがの なおき選手(東海理化・右投右打)と福本 綺羅ふくもと ひかる選手(東海理化・左投左打)の東海理化が誇る外野コンビは昨年若獅子賞(目覚しい活躍をした新人選手に贈られる賞)を同時受賞しました。門叶選手は逆方向にもホームランを打てるパワー、福本選手は俊足と強肩が持ち味の選手です。

町田 隼乙まちだ はやと選手(埼玉武蔵ヒートベアーズ・右投右打)は高卒1年目から出場を続けて3年目を迎える強打の大型捕手です。

大友 宗おおとも そう選手(茨城アストロプラネッツ・右投右打)は帝京大-日本通運とプレーした経験もある選手。今年からBCリーグでプレーし1試合3本塁打を記録するなど持ち前のパワーを発揮しています。

石川 慧亮いしかわ けいすけ選手(栃木ゴールデンブレーブス・右投右打)はBCリーグ、寺岡 丈翔てらおか たけと選手(徳島インディゴソックス・右投右打)は四国アイランドリーグで突出した成績を残している強打者です。

加藤 響かとう ひびき選手(徳島インディゴソックス・右投右打)は3年時まで在籍した東洋大学野球部では目立った活躍が出来ませんでしたが、今年徳島インディゴソックスに入団すると強打のショートとして活躍しています。

他には投手と同様にNPB二軍に参入したチームから指名があるかも注目です。高い打率を残している外野手の知念 大成ちねん たいせい選手(新潟オイシックス新潟アルビレックスBC・左投左打)、走力が武器のユーティリティプレイヤー増田 将馬ますだ しょうま選手(くふぅハヤテベンチャーズ静岡・右投右打)らが候補になってくるでしょう。


補強ポイント分析

まずドラフト前時点でのドラゴンズのデプスが以下になります。

今回の分析では投手はFIP-、野手はwRC+とUZRという指標を使って行きます。FIP-とwRC+については100を基準としてFIP-はより低ければ低いほど、wRC+は高ければ高いほどいい数字であり、UZRは大きければ大きいほどいい数字ということになります。

FIP→守備の関与しない与四球・奪三振・被本塁打という3つの項目から、守備から独立した失点率を推定・評価した指標
FIP=(13 × 被本塁打 + 3 ×(与四球 - 故意四球 + 与死球)- 2 × 奪三振)÷ 投球回 + 失点率 - {13 × 被本塁打 + 3 ×(与四球 - 故意四球 + 与死球)- 2 × 奪三振}÷ 投球回
FIP-=FIP ÷ リーグ平均FIP × 100

FIP- | Glossary | 1.02 (1point02.jp)

wRC→打者が創出した得点数を表す指標
wRC={(wOBA - リーグ平均wOBA)÷ 1.24 + リーグ総得点 ÷ リーグ総打席}× 打席
wRC+→wRCに球場ごとの補正をかけたもの

wRC+ | Glossary | 1.02 (1point02.jp)

UZR→守備の貢献を同じ守備位置の平均と比較して得点化した守備指標

UZR | Glossary | 1.02 (1point02.jp)

投手

先発投手

チームFIP- 105(リーグ5位)

・髙橋宏斗が2年連続の規定投球回到達&タイトルを獲得するなどリーグトップクラスの活躍
・松木平が支配下登録され6試合に先発
・福田が高卒ルーキーでは好調な滑り出し

・柳、小笠原が下降線、メヒアも数字を伸ばせず
・梅津も殻を破れず
・大野・涌井らベテランの衰え
・仲地・根尾らの足踏み
・怪我人が多く二軍が回っていない
・二軍から供給される先発・将来のローテ候補が少ない

開幕前から懸念材料の多かった先発陣について、見事にそれらが浮き彫りになった形です。
柳・小笠原の2投手はある程度イニングを投げてはいるものの内容はキャリアでもワーストレベルとなり、メヒア投手もイマイチ数字を伸ばせませんでした。梅津投手も安定感を欠き大野・涌井のベテランは怪我明け・熱中症などもあって振るわず、2年目の飛躍を期待された仲地投手や根尾投手も二軍から卒業とはなりませんでした。

二軍は先発投手不足にあえぎ、ブルペンデーを何度か敢行しています。そんな中でも石森・岡田だけでなく野中・福田といった若い投手にまで先発経験を積ませているのは落合英二投手コーチの手腕といったところでしょうか。壊滅状態だった昨年を考えると育成・調整機関として機能させているのは評価されて然るべきでしょう。

全体的に不安要素の多い先発陣ですが、一軍では2020年の高卒コンビが明るい要素。髙橋宏斗投手は順調にステップアップしリーグを代表する投手となりました。松木平投手は開幕から二軍で圧倒的な成績を残して最後の支配下枠を勝ち取ると一軍で初勝利もマークしました。
二軍で唯一の希望と言ってもよいのがルーキーの福田投手。近年のドラゴンズの高卒ルーキーでは類を見ないほど順調な滑り出しを見せました。

ここまで書いたように本拠地も考えたら先発陣は強みどころか弱点になっている状態であり、来季一軍に上がって結果を残す確度の高い若手もほぼいないという悲惨な状態です。これは2021年オフあたりから投手の整備を怠ったツケが来ている状態であり、1年やちょっとでどうにかなるものではありません。中継ぎ→先発転向や外国人補強などのテコ入れは前提として、ドラフトでは質・量の確保を行いたいところです。

中継ぎ投手

チームFIP- 87(リーグ2位)

・松山・清水・マルティネスの勝ちパターンを筆頭に安定
・橋本が大きく数字を伸ばす
・祖父江・福といったベテランも奮起

・勝ちパターンを中心に勤続疲労
・勝野・フェリスが数字を落とす
・二軍からの上積みがない
・マルティネスの去就

中継ぎ陣に関しては去年からパフォーマンスを維持ないし向上させた選手が多く、総じて安定しているといってよいでしょう。勝ちパターンを複数用意出来るような状態であり、登板管理・運用を間違えなければ来年もここは強みに出来るはずです。

気になるのはマルティネス投手の去就で、他球団と争奪戦となった場合退団の可能性があります。また勝野・清水・橋本といった一部の投手は先発をしていた時期もあり、短いイニングを投げる中継ぎは役不足感が否めません。これに該当する場合は投手陣整備の一環として先発転向も考えられます。

他のポジションに比べて優先度は落ちますが、余裕があれば下位指名から育成にかけて枚数を確保したいところです。

野手

捕手

チームwRC+ 77(リーグ4位)
チームUZR -2.6(リーグ4位)

・宇佐見が打撃で高い貢献を見せる

・木下が守備面でキャリアワーストレベル
・石橋も首脳陣の信頼を得られず
・加藤匠は守備面に不安
・味谷・山浅は一軍レベルにない

捕手陣は全体に課題の残る形となりました。木下選手は攻守でパフォーマンスを落とし、特に守備面が気になります。石橋選手もこと打撃に関して二軍では敵なしという状態ですが、昨年ほど出場機会を得られませんでした。加藤匠馬選手も出場機会自体は多かったものの、打力を考えるとスタメンでは苦しいのが現状でしょう。宇佐見選手は高い打力を発揮していますが、守備力を考えると積極的なスタメンは難しいのが現状です。
それ以外にも、まだ育成段階の味谷・山浅選手が一軍に帯同するなど起用以前の問題もありました。

上記のことや単純な枚数を考えても、1人は獲得しておきたいところです。

一塁手

チームwRC+ 108(リーグ4位)
チームUZR 5.0(リーグ1位)

・石川昂弥がファーストのレギュラーに定着

・ビシエド・中田は共に振るわず

石川昂弥選手は2桁本塁打を放った昨年から出場数を減らしたものの、夏場からレギュラーに定着しました。

若手が結果を出す一方でベテラン勢は結果が伴わず、中田選手は故障もあって調子が上がりきらず、ビシエド選手は中田選手に追われる形で出場機会を減らし退団、代打の切り札として期待された中島選手もノーヒットに終わり戦力外となりました。

基本的には外国人選手が務めるポジションになるので一塁を中心とした選手は獲得しづらいですが、打撃に魅力がある選手なら獲得は視野に入るでしょう。

三塁手

チームwRC+ 127(リーグ4位)
チームUZR 1.5(リーグ2位)

・福永がサードのレギュラーに定着

・二軍ではイニングが分散されているが突出した打力の選手は不在
・高橋周平のFA

福永選手が二遊間からサードへ主戦場を移し、走攻守全てで素晴らしいパフォーマンスを見せました。

コーナーポジションについて一軍のレギュラーは定着していますが、二軍に目を向けてみると打撃でアドバンテージを稼げるような選手がいません。また、高橋周平周平選手の去就も不透明であり、福永選手がセカンドに再挑戦したことで手薄になることが想定されます。

二軍で育成する将来のレギュラー候補について獲得の必要性があり、石川選手が来年以降再びサードを守るかどうかで特にサードのポジションは重要度が変わってきます。

二塁手

チームwRC+ 78(リーグ6位)
チームUZR 8.9(リーグ1位)

・田中幹也が守備で高い貢献
・板山・山本の2選手がサブとして定着
・ロドリゲスは一軍と二軍で成績に乖離
・辻本が二軍のセカンドをメインに守備で活躍

・龍空はセカンドでの起用が多めに

田中選手が持ち味を存分に発揮し、特に守備で高い貢献を見せました。控えに目を向けてみると複数ポジションをこなせる板山選手・山本選手の存在も大きく、彼らを上手く併用していくことで戦える布陣にはなってきました。打撃に物足りなさは感じられますが、福永選手がセカンドに再挑戦するということで改善の可能性はあるでしょう。

またこれは起用する側の問題でもありますが、近い世代に選手が固まっており、選手に起用が偏ってしまい出場機会の配分も満足に出来ていないというのが現状です。

高校生で打撃でアドバンテージを稼げる選手がいれば他のポジションでの起用を視野に入れつつ獲得は考えられますが、今年の大学生及び社会人の世代の選手は編成のことも考えると手を出しにくいのが現状でしょう。

遊撃手

チームwRC+ 84(リーグ4位)
チームUZR -2.7(リーグ3位)

・村松が大きく成長しレギュラーに
・山本がサブとして定着
・ロドリゲスは一軍と二軍で成績に乖離

・龍空がロドリゲスにポジションを追われる形に
・二軍で辻本・津田はショートを守る機会が少ない

村松選手は昨年のセカンドメインからほぼショート一本という形で攻守共にパフォーマンスを向上させ、レギュラーに定着しました。山本選手は先述した通り二遊間を両方守れるのが強みとなっています。ロドリゲス選手は支配下登録が時期尚早だったこともあり一軍では苦しい内容ですが、二軍ではまずまずの成績を残しています。

出場機会についてもセカンドと同様の問題があり、獲得についても基本的に考え方はセカンドと同じでしょう。

左翼手

チームwRC+ 120(リーグ3位)
チームUZR -0.8(リーグ2位)

・ディカーソンが怪我もあり稼働せず
・鵜飼・ブライトが二軍レベルを脱しきれない

細川選手がある程度ついていたこともあり指標自体は良いですが、ディカーソンが怪我に苦しみ大島選手も起用法が難しく成績を落とし、鵜飼・ブライト選手もレギュラー定着とはなりませんでした。

ファースト同様外国人中心にしたいポジションであるため、考え方自体は同じです。

中堅手

チームwRC+ 91(リーグ5位)
チームUZR -1.3(リーグ1位)

・岡林選手はレギュラー定着後ワーストレベルのパフォーマンスも完走
・カリステも外野手をメインに打力を発揮
・尾田は起用に疑問も二軍では好成績

・岡林選手不在時に穴が顕在化

岡林選手は前半戦の低空飛行もありレギュラーを務めた3年間では最低のパフォーマンスとなりましたが、後半持ち直したので来年も変わらずレギュラーでしょう。カリステ選手が守ることもありましたが守備力が極端に低いため積極起用は避けたいところ。尾田選手は一軍での起用に悩まされはしましたが、打撃では二軍で非凡な才能を見せています。

岡林選手が不在の時に三好選手をはじめとした他の選手が穴を埋めきれなかったのは注目したいポイント。
カテゴリ問わず獲得が望ましく、センターを守れるかどうかも重要視したい点です。

右翼手

チームwRC+ 119(リーグ3位)
チームUZR -5.4(リーグ5位)

・細川が2年連続主軸の働きを見せ不動のレギュラーに

・鵜飼・ブライトが二軍レベルを脱しきれない

細川選手は2年続けて20本塁打をマーク、昨年の活躍がフロックではないことを証明しリーグを代表する強打者になりました。

レフト同様に鵜飼・ブライトの両選手は細川選手に刺激を与える存在になって欲しいところです。

補強ポイントまとめ

優先度:大

①先発投手
一軍・二軍共に先発投手が不足しており投壊一歩手前というところ。可能であれば一年目からローテで投げられそうな投手を、いない場合には将来的にエース級の活躍が出来るスケールのある投手を獲得したいところです。
余程の野手が残ってない限り1位を割き、2位以降でもカテゴリ問わずいい投手を取っていき複数確保が望ましいでしょう。

②コアとなる打者候補
岡林・石川選手の高卒プロスペクト組、村松・福永選手ら立浪政権下で獲得した大学生社会人、ここに現役ドラフトで加入した細川選手という複数ジャンルの融合で一軍の野手は十分戦えるレベルになってきました。
しかし、二軍に目を向けてみると優先して投資したいような打者のプロスペクトがコーナーポジションを筆頭におらず、大卒3年目となるブライト・鵜飼選手も伸び悩んでいます。野手に関しては継続していい選手を取り続ける必要があり、チームの中心打者に右打者が多いので左打者を上位で獲得したいところです。

優先度:中

③外野手
岡林選手より下の世代に外野手がおらず、岡林選手以外のメンバーを見ても可能ならばセンターを守れる選手を1人は加えたいところ。高校生にせよ大学生にせよ他ポジションからのコンバートも視野に入れつつ、打撃のスケール重視で①と合わせて指名出来ると理想的です。

④捕手
正捕手木下選手が守備力で不安を残し、石橋選手もイマイチといったところで枚数的にも1人は欲しいポジションです。
カテゴリとしては意見が分かれますが、早い段階での活躍が見込めそうな大学生社会人の捕手か新たなプロスペクト候補として大型の高校生捕手でしょうか。

優先度:小

⑤中継ぎ投手
そこまで支配下での優先度は高くありませんが、中継ぎも投手陣の新陳代謝を進めるという意味で獲得しておきたいところ。ボールの強さを重視で大型かつ角度のある、まさに松山投手のような指名が出来ると理想です。

指名戦略

1位指名について

まず初回入札ですが、今年のドラフト市場でも目玉にあたる金丸夢斗投手か中村優斗投手の二択となりそうです。この2人の完成度は抜けており、補強ポイント①にも合致します。個人的にはやはり1年目からローテーションとして活躍出来る可能性がより高そうな金丸投手が一番いいのではないかと思います。

この2名、特に金丸投手は競合、次の入札では残っていないことが予想されます。仮に外した場合でも投手が基本線になると思います。候補としては個人的には即戦力というよりは時間をかけてでも大きく育てられるスケールのある投手が望ましく、高校生ならば今朝丸裕喜投手・藤田琉生投手・柴田獅子投手・清水大暉投手、大学生ならば篠木健太郎投手・寺西成騎投手といった面々が候補に挙がります。

上位指名

2位指名については14番目となるため、1位相当の選手が残っていることが予想されます。その時に残っている「一番いい選手」を取るスタンスで①~④を満たせればと思います。
ここで残っていそうな候補選手としては先に挙げた外れ1位の候補に加えて以下の選手でしょうか。
①⇒佐藤柳之介投手、吉田聖弥投手、徳山一翔投手、村上泰斗投手
②⇒佐々木泰選手、宇野真仁朗選手、森駿太選手、吉納翼選手、椎木卿五選手
③⇒麦谷祐介選手、モイセエフニキータ選手、竹内翔汰選手
④⇒箱山遥人選手、石伊雄太選手

この中だと外野手は大学生の市場が厚く、どうしても欲しい選手でない限りは中位から下位にかけて指名することも考えられます。

3位についても基本的な考え方は同じですが、1位で投手を獲得した場合でも投手の獲得は重視しバランスとしては上位3枠を投手2・野手1もしくは投手3になるように獲得出来るのが良いかなと思います。

以下に上位指名のパターンを複数考えてみました。
パターンA(金丸・中村獲得)
パターンB(金丸・中村外し)

パターンA①
金丸夢斗
村上泰斗
森駿太

パターンA②
金丸夢斗
宇野真仁朗
吉鶴翔瑛

パターンA③
中村優斗
吉田聖弥
高橋幸佑

パターンB①
篠木健太郎
佐々木泰
伊原陵人

パターンB②
藤田琉生
清水大暉
正林輝大

パターンB③
佐藤柳之介
椎木卿五
坂口翔颯

中位~下位・育成指名

先述した大学生外野手と高校生投手ついては、市場を考えるとまだ上位相当の選手が残っている可能性があり、他の補強ポイントとにらめっこしつつ投手を複数確保していく形になるかと思います。特に昨年のオリックスのように下位指名で一軍の起用に幅を持たせる意味での社会人投手獲得は考えられます。

育成に関してはこれまで同様に球の速さ・足の速さ・優れたフォームや体格など、一芸重視での獲得が出来るのがベストでしょう。

指名戦略まとめ

補強ポイントは相変わらず全てといった感じではありますが、すべてを一度のドラフトで埋めることは難しく、今年の市場を考えても全体的に投手中心のドラフトになることが考えられます。

また今年の候補選手の中で大学生社会人では金丸投手・中村投手とそれ以外で大きく差があり、1位で金丸・中村投手を獲得出来るかが大きく指名戦略と成否を左右することになりそうです。理想は上位は将来のコア候補や素材に寄せつつ中位・下位では社会人を獲得することで一軍に起用の幅を持たせるという指名が出来ればいいのかなと思います。

戦力外やオフの主力大量流出があり、この2人を外したからといって大学生社会人が多めになることもありそうですが、あくまでドラフトは補強ではなく投資をする場と考え、カテゴリが偏らないようにしたいところです。


いかがでしたか?昨年に引き続き今年も頑張って書いたところ20000字を越えてしまいました(笑)
あくまで予習のための情報源のひとつになれば幸いです。それでは"運命の日"10/24を楽しみに待ちましょう!読んでいただきありがとうございました!

■引用
One Point Zero Two|1.02 (1point02.jp)

写真はすべて筆者撮影のもの

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