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【覚書】日本人は何を得て何を失うのか?

佐藤航平さん撮影

本書を読んでみると、古代以来、日本文化のコンセプトの多くは、

「日本文化の核心 「ジャパン・スタイル」を読み解く」(講談社現代新書)

「和漢の境」

「跨ぐ」

ことによって、成立してきたといいます。

「日本(和)」

は、

「中国(漢)」

の文化をどのように取り入れ。

そこから、どのような独自性を生み出してきたのか?

先人達は、

ステップ1:中国のオリジナルに倣い

ステップ2:それらを学びながらも

ステップ3:自在なリミックスを行う

というステップに従って、日本に特有なグローバルスタンダードの受け入れ方を根付かせて行きました。

このやり方は、7世紀から9世紀にかけて行われた

「遣唐使」

において、特に顕著にあらわれおり、この姿勢は、学ぶべき点が、とても多いですね(^^)

さて、

「漢」

「和」

が両立していたのだから、これは、

「ダブル・スタンダード」

とも言えますが、明治から昭和初期にかけての日本近代化の過程と特徴を浮き彫りにする本書も合わせて読んでみると、

「和魂洋才の系譜 内と外からの明治日本 上」(平凡社ライブラリー)平川祐弘(著)

「和魂洋才の系譜 内と外からの明治日本 下」(平凡社ライブラリー)平川祐弘(著)

松岡正剛さんが、前著で、

「デュアル・スタンダード」

を意図した考えであったと指摘している点について同意でき、このデュアルとは、

「行ったり来たりできる」

ということとも言い換えられ、また、

「双対性」

を活かすということでもあり、現代を生きる私達の指針になり得る視点だと考えます。

ここでの注意点としては、以下の通りです。

1.論理的・実用的な文章を学ぶのも大事だが具体的な言語芸術を教材にすることも重要

①私たちは言葉によって世界を捉えている

②表現の違いによって受け手が抱く印象がかなり異なる

③言語は思考とほぼイコールであるから乏しい言語を使っていると乏しい思考にしかならない

④自分なりの表現を洗練させ自分の感性に近い表現を心がける

⑤的確に表現できなければ自身の考えに対する認知さえずれるおそれがある

2.言葉のニュアンスや意味の違いに敏感になると世界との向き合い方も変わる

①ステレオタイプではなく独自の表現をすることでものの見方も磨かれていく

②自分の考えがないまま大勢の考え方に流されていくことは危険

③情報過多の現代は短い文章で伝えるSNSなどでも単純な言葉が多く使わる傾向にある

④多くの情報を発信するために細かいことは気にしない傾向が昔よりはある

⑤語彙が単純化し少ない言葉しか使わなくなると本当に思っていることと発した言葉の意味とに齟齬が生まれる

3.オンライン上でのコミュニケーションが発達した現在「書く」より「打つ」ではあるが今ほど「言葉を書く」時代はない

①言葉を正確に考えて使っていくなかで小説や詩歌等の文学作品は最も洗練されている

②「なんとなく伝われ」で書くのではなくちゃんと伝わる形に表現を醸成させる習慣も大切

③「この表現だと、こう受け取られかねない」といった視点が重要

④小説や詩歌等の文学作品に接することで日本語的な力や感性は磨かれる

⑤繊細な言葉に対する感覚は物事の捉え方と深く関わっている

以上の様に、ちょっとした言葉のニュアンスや意味の違いに敏感になると、世界との向き合い方も変わるため、普段から、日本人の持つ

「和(WA)」

の心の根底にある意識と無意識という問題を、自身に問いかけ、感じて、実践してみては如何でしょうか。

■和~WA~ - 映画予告編

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