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【「嗜む」のすすめ】物語り技術(情報文化技術)に焦がれ本を嗜む
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私達が密かに大切にしているものたち。
確かにあるのに。
指差すことができない。
それらは、目に見えるものばかりではなくて。
それらを、ひとつずつ読み解き。
それらを、丁寧に表わしていく。
そうして出来た言葉の集積を嗜む。
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■テキスト
「[増補版]知の編集工学」(朝日文庫)松岡正剛(著)
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本書刊行時の時代背景と執筆時の思い、そして、今回、増補した制作経緯を明かし、あらためて「知の編集工学」で問おうとしたメッセージを、以下の5つの視点で解説しています。
1.「世界」と「自己」をつなげる
2.さまざまな編集技法を駆使する
3.編集的世界観をもちつづける
4.世の中の価値観を相対的に編み直す
5.物語編集力を活用する
これらの視点の大元には、「生命に学ぶ」「歴史を展く」「文化と遊ぶ」という基本姿勢があることも、AI時代の今こそ見直すべきかもしれません。
■デジタル化社会と編集技術(その1)
日本は、これまで、光ファイバーとインターネットと携帯電話の網の目を形成してきました。
しかし、それがなんの役に立ったというのだろうかと思ったことって、ありませんでしたか。
湾岸戦争、9.11同時テロ戦争、阪神淡路&東日本大震災で、見事、日本のシステムの無能振りを全世界に明らかになりました。
阪神淡路&東日本大震災では、政府は立ち往生し、効果的な援助を開始したのはボランティアでしたよね。
湾岸戦争や9.11では、全くの情報不意打ちで、その戦争の意味すら分らずにアメリカに戦争協力金を払っていました。
これは何のための情報網なのか。
そもそも、情報化と編集化は、一体化であるにもかかわらず、なぜか日本では、高度情報化は、ハードウエアの情報化であって、ソフトウエアによる編集化ではありませんでした。
電子の網は張り巡らしたのに、頭の中は、空っぽだった事例紹介でしたね。
編集されない情報とは、ゴミみたいなもので、情報に意味を持たせるには、情報文化技術が必要です。
大量生産技術によるパソコン生産は、このハードとソフトの分離に拍車をかけました。
ハードとネットの情報化(情報技術)とソフトの編集化(文化技術)は、合体しなければならなかったのにも関わらず、日本のデジタル競争力は、世界と比較して遅れている状況です。
スイスのIMDが2020年に行った「世界デジタル競争力ランキング2020」では、日本は63カ国中27位でした。
前年より、4つ順位を落としており、年々デジタル競争力を高めている香港・韓国・台湾と比べると、対照的な結果になっています。
特に、評価が低い項目は、ビッグデータ活用・企業の変化迅速性・将来への準備度部門のデジタル人材のグローバル化で、3部門とも、63カ国中最下位となっています。
このままでは、マルチメディア社会やIT社会は、既存の社会インフラに頼り切っただけの絵に描いた餅になってしまうかもしれません。
今日の情報技術は、バラバラのデジタル化技術の足し算で済まそうとしています。
太古の昔、物語は、語り部達が情報メディアであったし、文字が生まれると、すぐさま情報は、物語として固定していきました。
聖書、仏典、神話など巨大な情報システムは、物語という様式によってファイリングされていきました。
また、文化は、文様、彫刻、建築物によって具象化され、物語を強固に補強していきました。
音楽や文学思想などの文化の潮流がゴシックゴチック、ルネッサンス、バロック、ロココ、ロマンなどの建築物に象徴されたのが好例ですね。
今日のデジタル化社会には、物語り技術(情報文化技術)が不足しているのではないでしょうか。
かつて、書物は、世界そのものでした。
近世のマルチメデイアの変革は、イスラム社会からもたらされ、ギリシャローマ文化は、高度にイスラム社会で発展して、科学技術や文学、社会システムとして、ヨーロッパ社会に移植されっていった歴史的な事実があります。
系譜の発見、複式簿記や株式投資システム等のイスラムからの輸入でしたね。
近世の情報革命は、イギリスで始まった劇場文化でしたし、総合芸術であり、世界を表現していましたが、日本企業のデジタル化が世界各国の企業より遅れている理由は、以下の通りです。
①スキルを持った人材が足りないから
②変化に対応する力がないから
③ビッグデータを活用できていないから
④攻めの投資を苦手とするから
⑤多額のコスト・労力が必要となるから
⑥情報漏洩のリスクが高まるから
複数の課題を抱えている場合、一度に解決することは困難です。
通常業務への支障発生や社員の負担増大にもつながります。
優先順位付けと課題克服のために何が必要かを社内で共有し、対策を行っていく必要があります。
さて、デジタル化の遅れによって懸念される課題を、3点紹介しておきます。
①2025年の崖:
2025年の崖とは?経産省のレポートの要点やDX推進のシナリオをわかりやすく解説
②BCPが遅れ災害等予期せぬ事態に対応できない
③ITを駆使できないことによる機会損失
出典:Rimini Street「IT投資に対する企業の意識調査」
特に、2025年の崖は深刻な問題です。
レガシーシステムの利用が長引くほど、ランニングコスト・情報漏洩・運用負担が増大します。
また、組織全体でデジタル技術導入やDXの必要性を認識しない限り、海外企業との企業競争力の差は拡大します。
■4夜40冊目
2024年4月18日から、適宜、1夜10冊の本を選別して、その本達に肖り、倣うことで、知文(考えや事柄を他に知らせるための書面)を実践するための参考図書として、紹介させて頂きますね(^^)
みなさんにとっても、それぞれが恋い焦がれ、貪り、血肉とした夜があると思います。
どんな夜を持ち込んで、その中から、どんな夜を選んだのか。
そして、私達は、何に、肖り、倣おうととしているのか。
その様な稽古の稽古たる所以となり得る本に出会うことは、とても面白い夜を体験させてくれると、そう考えています。
さてと、今日は、どれを読もうかなんて。
武道や茶道の稽古のように装いを整えて。
振る舞いを変え。
居ずまいから見直して。
好きなことに没入する「読書の稽古」。
稽古の字義は、古に稽えること。
古典に還れという意味ではなくて、「古」そのものに学び、そのプロセスを習熟することを指す。
西平直著「世阿弥の稽古哲学」
自分と向き合う時間に浸る「ヒタ活」(^^)
さて、今宵のお稽古で、嗜む本のお品書きは・・・
【「嗜む」のすすめ】物語り技術(情報文化技術)に焦がれ本を嗜む
「グレン・マーカット シンキング・ドローイング/ワーキング・ドローイング ハードカバー」マリアム・グーシェ/トム・ヘネガン/キャサリン・ラッセン/勢山詔子(著)グレン・マーカット(監修協力)
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「慶応義塾史事典」慶応義塾史事典編集委員会(編著)
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「S’ 特別限定版」森山大道(著)
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「本の本 書評集1994-2007」斎藤美奈子(著)
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「白洲次郎と白洲正子 乱世に生きた二人」牧山桂子(著)
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「王朝文化辞典 万葉から江戸まで」山口明穂/鈴木日出男(編)
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「シーボルト日本植物図譜コレクション(DVD付)」T.A.チェルナーヤ(著)大場秀章(監修, 読み手)伊藤玄二郎(編)河上ひとみ(訳)
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「Wa―50 Years of JAPEX Power」
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「オーレックス英和辞典 第2版新装版」野村恵造/花本金吾/林龍次郎(編著)
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「改訂新版 辞書びきえほん日本地図」陰山英男(監修)
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「大島弓子が選んだ大島弓子選集 1 ミモザ館でつかまえて」(MFコミックス)大島弓子(著)
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「大島弓子が選んだ大島弓子選集2 綿の国星 上」(MFコミックス)大島弓子(著)
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「大島弓子が選んだ大島弓子選集 3 綿の国星 中」(MFコミックス)大島弓子(著)
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「大島弓子が選んだ大島弓子選集 4 綿の国星 下」(MFコミックス)大島弓子(著)
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「大島弓子が選んだ大島弓子選集 5 ダリアの帯」(MFコミックス)大島弓子(著)
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「大島弓子が選んだ大島弓子選集 6 秋日子かく語りき」(MFコミックス)大島弓子(著)
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「大島弓子が選んだ大島弓子選集7 ロストハウ」(MFコミックス)大島弓子(著)
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■(参考記事)松岡正剛の千夜千冊
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