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【クラシック音楽の楽しみ方のいろいろ】作曲家を中心に聴く
どんな名曲も、それを書いたのは、人間であり、作曲家です。
作品には、もちろん惹かれるけれど、それよりも、まず、作曲家に興味があるのではないでしょうか。
同じ人間として、
「どうしてこのような曲が書け たのだろう?」
「彼(女)は一体、どんな人物なのか?」
そのことを知りたいし、そこから、クラシック音楽を聴き始めてみたいと、まあ、こういう人がいたらお勧めしたいのが、
「作曲家を中心に聴く」
楽しみ方です。
確かに、一つ、考えられる行き方ではあります。
例えば、私の周囲にいる人のことですが、
モーツァルトの伝記映画「アマデウス」
を見たそうです。
なるほど、天才とは聞いていたが、あんな男だったのか。
漠然と聞き流していたが、一つ本格的に、彼の作品を聴き直してやろうと、端から聴き始めた男性がいました。
数十年前のモーツァルト・ブームの時のことで、ケッヒエル番号による626曲を、全曲、聴くのだといきまいていた。
そうかと思うと、他人に、あまり知られていない作曲家がいいといって、イギリス近代のディーリアスとか、ヴォーン=ウィリアムズに夢中になっている人、ピアノが大好きだからと、ショパンに、心酔している若いお嬢さん、生き方に惹かれると、ベートーヴェンばかり聴いている個性的な学生さんもいましたね。
いずれも、作品は、もちろん、作曲家についても、一家言をもつ、魅力的なクラシック・フアンたちです。
彼らのように、作曲家を中心に聴いていく場合、さて、その楽しみは、どのように発展するだろうかと想像すると、私には、こんな方向が浮かんできます。
まず、オーソドックスには、心惹かれた作曲家の作品を端から聴いてやろう。
出来れば、全曲を、1というのが考えられます。
彼が、どんな作品を書いているのかは、音楽辞典(具体的には、
「クラシック音楽作品名辞典 第3版」井上和男(編)
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「クラシック音楽鑑賞事典」(講談社学術文庫)神保ケイ一郎(著)
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「新訂 標準音楽辞典 第二版 全二巻セット」音楽之友社(著)
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「グラウト/パリスカ 新 西洋音楽史〈上中下〉」ドナルド・ジェイ グラウト/クロード・V. パリスカ(著)戸口幸策/寺西基之/津上英輔(訳)
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がお勧めです。)等を見れば、一目瞭然です。
これに従って、初めは、代表的な名曲からスタートし、徐々に、知られざる作品へ、というのが、一般的ではないかと思います。
バッハ、モーツァルト、ベートーヴェン、ショパンら、一部の作曲家については、「全集」という形で、全作品が市販されています。
まとめて聴けるというわけですね。
作品に対して、それほど、夢中になれるのならば、当然、次に、興味をもつべきは、作曲家の人間 像かもしれません。
生いたち、生涯、交友関係、恋愛、結婚、性格、考え方、エピソード等、色々、知りたくなるに違いありません。
そして、
「自分が興味をもった作曲家は、こんな人だった のだ」
と、作品ともども、実感することになるのではないでしょうか。
この辺までは、おそらく、誰でも、進むだろうと、想像ができますが、欲を言えば、もう少し、興味を広げると、もっと、面白いと思います。
つまり、当の作曲家については、かなりのところまで、知ったり、想像できるようになったわけです。
今度は、彼をとりまく、時代状況とか、社会環境が、どうであったか。
つまり、歴史の中における彼の位置とか、もう一つ、彼と、前後して現れた作曲家には、どんな方がいたか等にまで広げると、その姿は、もっと鮮明になってくるだろうと思います。
それというのも、彼という作曲家は、音楽史上に、突然に現れたわけではなく、必ず、前の時代の影響を受け、その歴史的な必然の中から生まれたり、生き残ったりしているからです。
そうでなければ、なぜ、モーツァルトや、ベートーヴェンの直ぐあとに、ドビュッシーや、ラヴェルが現れなかったか、あるいは、ストラヴィンスキーや、ショスタコーヴィチにならなかったか、その説明が、できなくなるからです。
というわけで、たった一人の作曲家に惚れたといっても、彼のすべてを知りたいと思うと、追求すべきことは、非常に多いんですよね。
しかし、また、好きならば、そのために時間を費やすのは楽しいし、そうやっていると、いつの間にか、知識や興味もエスカレートしてくると思います。
前述の通り、
「どんな入り方をしても、のめり込めば他のことは自然に身につく」
と言ったのは、そういう意味なんですね。
もう一度まとめると、特定の作曲家に興味をもった場合、その人の作品、生涯等は、まず、知ってみて下さい。
それから、影響を与えたり、与えられた前後の作曲家たちについても、できるだけ、知るように、してみて下さい。
さらに、また、時代の中における、彼の位置や、功績、とり囲む社会状況等にも目を向けたら、言うことなしですね(^^♪
そのための資料である辞典や雑誌、カタログなどは、全て、身近なところに、そろっているというのが、作曲家を中心にした楽しみ方であると思います。
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