【「嗜む」のすすめ】世界モデルに焦がれ本を嗜む
私達が密かに大切にしているものたち。
確かにあるのに。
指差すことができない。
それらは、目に見えるものばかりではなくて。
それらを、ひとつずつ読み解き。
それらを、丁寧に表わしていく。
そうして出来た言葉の集積を嗜む。
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■テキスト
「[増補版]知の編集工学」(朝日文庫)松岡正剛(著)
本書刊行時の時代背景と執筆時の思い、そして、今回、増補した制作経緯を明かし、あらためて「知の編集工学」で問おうとしたメッセージを、以下の5つの視点で解説しています。
1.「世界」と「自己」をつなげる
2.さまざまな編集技法を駆使する
3.編集的世界観をもちつづける
4.世の中の価値観を相対的に編み直す
5.物語編集力を活用する
これらの視点の大元には、「生命に学ぶ」「歴史を展く」「文化と遊ぶ」という基本姿勢があることも、AI時代の今こそ見直すべきかもしれません。
■複雑な時代を編集する
これまで世界をリードし、支配してきたドラマが、ぼろぼろに磨耗してきています。
戦後アメリカを中心とした自由主義・民主主義・豊かさと大量消費社会・GDP信奉社会などのセントラルドグマが立ち行かなくなってきています。
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高度経済成長で、花見気分でワーとやってきて、全体を支配した世界観が目まぐるしく変容する現代社会。
神の手がなくなったといっても言い過ぎではないのではないでしょうか。
世界といっても、国際関係から地球環境問題、会社の人間関係などを成り立たせていたものを、
「世界」
といいます。
その世界を前に、人々は、編集やコミュニケーションをしてきました。
世間の見方、世界観という世界モデルを想定して話を進めてきたわけです。
編集とは、この世界モデルを問い直す作業です。
世界モデルとは、あくまで、そこで進行する設定の舞台です。
粉飾かもしれません。
将棋やTVゲームも分りやすいモデルです。
平安時代の藤原世界モデルとは、この世の栄華と、あの世の浄土世界でした。
まことに身勝手なモデルではありますが、貴族にとって、それが世界だったのです。
デズニーランドも世界モデルですよね。
空想社会主義者の「ユートピア」計画は、産業資本主義の発展で踏み潰された桃源郷でした。
ソ連のコルホーズも中国の人民公社のその類でしたね。
こうして色々な世界モデルは磨耗してしまった。
アメリカは、ろくな世界モデルを持ち合わせていないくせに、主導権だけは、未だに握りたがっており、グローバル社会との間で消耗戦を繰り広げています。
石油文明は、枯渇しつつあるのに、脱石油文明を描けず、脱炭素社会に急速に以降しつつありますが、戦争で主導権を誇示しているだけなの様な気がします。
世界金融危機で、既に、資本主義は、すでにニューワールドモデルを喪失し、新たな経済モデルも提案力を失って、生態系を踏まえた新たな経済理論をどのように再設計するかが喫緊の課題です。
「パラダイムシフト」が叫ばれて久しいが、まだ打開策は見えてこない状況です。
世界モデルは、常に、脱皮してゆかなければなりません。
編集に依って、ワールドモデルを同型、準同型、凝同型とわけ、凝同型では、ノンリニアーで非コヒーレント(同相的でない)様な文脈を持つ情報を編集するのに有効な役割を担って欲しいですね。
■8夜80冊目
2024年4月18日から、適宜、1夜10冊の本を選別して、その本達に肖り、倣うことで、知文(考えや事柄を他に知らせるための書面)を実践するための参考図書として、紹介させて頂きますね(^^)
みなさんにとっても、それぞれが恋い焦がれ、貪り、血肉とした夜があると思います。
どんな夜を持ち込んで、その中から、どんな夜を選んだのか。
そして、私達は、何に、肖り、倣おうととしているのか。
その様な稽古の稽古たる所以となり得る本に出会うことは、とても面白い夜を体験させてくれると、そう考えています。
さてと、今日は、どれを読もうかなんて。
武道や茶道の稽古のように装いを整えて。
振る舞いを変え。
居ずまいから見直して。
好きなことに没入する「読書の稽古」。
稽古の字義は、古に稽えること。
古典に還れという意味ではなくて、「古」そのものに学び、そのプロセスを習熟することを指す。
西平直著「世阿弥の稽古哲学」
自分と向き合う時間に浸る「ヒタ活」(^^)
さて、今宵のお稽古で、嗜む本のお品書きは・・・
【「嗜む」のすすめ】世界モデルに焦がれ本を嗜む
「THE DANCING WIND」甲斐彰(著)
「和田誠切抜帖」和田誠(著)
「育育児典」毛利子来/山田真(著)
「バイブルキューブ 新共同訳 旧約聖書続編つき」
「Animals in Asian Tradition - Intangible Cultural Heritage (ICH) around Us」
「新潮日本語漢字辞典」新潮社(編)
「漢字は日本語である」(新潮新書)小駒勝美(著)
「「色」の大研究 全4巻」
「2001夜物語 原型版 コミック 全2巻 完結セット」星野之宣(著)
「源氏物語 文庫 全10巻 完結セット」(講談社文庫)紫式部(著)瀬戸内寂聴(訳)
■(参考記事)松岡正剛の千夜千冊
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