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【知的ボクシング】ラウンド5:ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか?

横田裕市さん撮影

■ファイト内容(問い)毎の答えを考える時間:3秒~3分

■ファイト内容(問い)

①私たちはなぜ生まれてきて、なぜ死んでいくのか?
「生まれ生まれ生まれ、生まれて、生の始めに暗く、死に死に死に、死んで、死の終わりに冥し」(空海「秘蔵空論」)

②自然淘汰が働くためには、生物は死ななくてはならない。
「生物に標準装備されている絶対に必要な死は、次の世代に受け継がせないための死ということができるだろう。」(更科功「ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか」より)

③死亡率によって寿命の長さが決まる(現在の有力説)
「事故などの外因による死亡率の高い種では、自然淘汰による進化によって、成長や繁殖する年齢が早くなり、その結果内因の死亡率も高くなって、寿命も短くなる。」(更科功「ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか」より)

④脳の複雑性に永続性を掛け合わせるのが不可能だからヒトは死ぬ運命にある
「永遠性と複雑性は相反するもので、おそらく進化では両立させることができなかった。
そのため、非常に複雑な私たちのような生物は、比較的単純な(それでもかなり複雑だけれど)生殖細胞の形でしか、次の世代へ受け継がせることができない。
進化は、比較的単純なものには永遠性を与えたけれど、ある程度以上に複雑なものには永遠性を与えることができなかったのだろう。
そのひとつの例が私たちの意識(というか脳)の死なのではないだろうか。」(更科功「ヒトはなぜ死ぬ運命にあるのか」より)

⑤人と人の間に「技術」が介入してしまえば、もはや死んだも同じ。
当時アレントが懸念していた未来は、人間が自ら生み出した技術についていけなくなること。
「技術的知識という現代的意味での知識と思考とが、真実、永遠に分離してしまうなら、私たちは機械の奴隷というよりはむしろ技術的知識の救いがたい奴隷となるだろう」(仲正昌樹「ハンナ・アーレント『人間の条件』入門講義P13)
「活動とは、物あるいは事柄の介入なしに直接人と人との間で行われる唯一の活動力であり、多数性という人間の条件、すなわち、地球上に生き世界に住むのが一人の人間manではなく、多数の人間menであるという事実に対応している」(仲正昌樹「ハンナ・アーレント『人間の条件』入門講義P20)

⑥ローマ人の言葉(ラテン語)
■生きる=inter homines esse(人々の間にある)
■死ぬ=inter homines esse desinere(人々の間にあることをやめる)

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