【まちあるき】いい日
ある朝
ふと気づく
季節の囁き
床におちる
光の模様
そっと
手を
伸ばして
触れたら
肌におぼえる
日の暖かさ
瞼にも感じる
日の暖かさ
お気に入りの
服を着て
好きな歌を
聴きながら
好きな街を
歩く
ある午後
ふと感じた
いつもの道に
枝の蕾の
優しい膨らみ
頬にあたる
風の膨らみ
気ままに
煌めく
無数の水滴
走る
歩く
止まる
笑う
微笑む
繰り返して
繰り返して
繰り返して
ふと思う
ありふれた
足跡なんだと
思っていたこと
二度と踏めない
足跡だったのだと
あああ
こんな日々を
平和と呼ぶなら
平和は
とても
平凡なんだ
そんな
今日が
今日は
私のいい日
あした
あさって
このまちの
一日
一日が
いい日々
であるように
時間を失う事で
時間を見出す
自分に
退屈しない人が
たぶん
世界を
面白くしているのだろう
退屈なのは
世の中か
自分か
自分が
ときめいていなければ
世界は
きっと
微笑まない(^^♪
「にしんそばと思った幟はうどん・そば 失われたにしんそばを求めて」
(佐々木朔「まちあるき(全国版)」(「羽根と根」通巻8号)より)
「三十分電車に乗ってやってきた南の街で食べるコロッケ」
(佐々木朔「走る」(「羽根と根」通巻2号)より)
「落ち合えばそこが湖辺(うみべ)でいっせいに鳥が飛ぶのを眺めてました」
(佐々木朔「湖辺で」(「羽根と根」通巻3号)より」
「駅で見た猫の写真がこの町のすべての猫の始祖だと思う」
(佐々木朔「到達」(「羽根と根」通巻5号)より」
「火星燃ゆ 六月われの棲む部屋に漫画本あふれかへつてしまふ」睦月都
「行くだけで三百円もかかるけどいい古書店があったいい町」佐々木朔
(睦月都・佐々木朔発行『一月一日』vol.3より)
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