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ロジラテ思考_イノベ塾「効率を追い求めたイノベーションは危ない」#D07

iPhoneが現れるほんの13年前までは、イノベーションとは新製品や新技術、新機能を備えた製品によって起こる変化を指していました。

ところがiPhoneが現れてからイノベーションの概念が一変しました。

iPhoneで決済や買い物したり、iアプリが欲しいものや、どこに行けばいいのかを教えてくれたり、体験を価値とするサービスが一機に加速しました。

これからお話するイノベーションは、時間をイノベーションして新たな体験を生み出したお話です。

1.美味しいものが食べたい。でも料理する時間を減らしたい!

コンビニエンスストアの店内で、このところ冷凍食品が増えていることに気づいている人もいるだろう。

実は近年、おいしさや鮮度を保つ急速冷凍技術が向上していることもあり、おいしい冷凍食品が昔よりも増えている。

そこに、料理の時間を減らしたい消費者のニーズが高まったことも相まって、コンビニ各社は冷凍食品のラインナップを充実させているのだ。

OISIX(おいしっくす)や生活協同組合(生協)も冷凍食品に力を入れている。(中略)

こうした商品が、「レンジで温めるよりも実際に火を通したものを食べたい」「でも料理の時間を短くしたい」「もっと家族との時間を増やしたい」といっった人達の好評を得ているのだ。

今後は、こうした簡便商品や冷凍食品の需要がさらに伸びることが予想される。

すでにアメリカでは、いかに食事の準備や片付づけにかかる時間を減らせるか、そして家族に楽しい時間を提供できるかという「時間ソリューション
の競争が始まっている。

世界的な食品メーカーは今、デジタル投資を加速させているが、その主な分野はAIの開発である。

たとえば、消費者のウエブサイトでの行動履歴や食事のパターン傾向などを読み取り、好みの献立・メニューを自動で推薦できることを目指している。
これによって、主婦が頭を悩ませる「献立を考える時間」を削減できる。

望月 智之. 2025年、人は「買い物」をしなくなる (p.39). 株式会社クロスメディア・パブリッシング

2.何故、このイノベーションが求められたのか?

背景には、共働き世帯、一人暮らし世帯が増えていることがあります。

帰宅途中に買い物して、料理していたら遅い食事になってしまいます。
とてもコミュニケーションをとりながら食事する時間などないでしょう。

また、冷凍食品の味も良くなってきたので、専業主婦ですら一から料理することが少なくなってきています。

味の良いレシピが用意され、作る時間も少なくて済むのであれば、このサービスを使いたくなりますよね。

つまり時間という価値にイノベーションを起こして、家族のコミュニケーションを増やしたという訳です。

3.でも、このイノベーションは危うい

うわべだけ見れば、短時間に美味しい料理が食べられ、家族のコミュニケーションが増えるのですから、メーカーは「お客様に喜んでい頂いた! これが我が社のイノベーション!」となります。

Oisixや生協から美味しい料理のレシピと食材が送られてきて、レンジでチンして美味しい料理が食べられて。。。はい。。。ごちそうさま!

でも。。。なにか欠けていると思いませんか?
私は、もっと深い体験価値を作れると思うんです。

例えば、顧客自身がオンラインで食材の品質を確かめたり、産地や生産者で選んだ素材に合わせた料理レシピであれば、それは自分で選んだ体験価値となって家族のコミュニケーションがより一層深まります。
(もっと言えば、オンラインで値段交渉なんてできたら面白い!)

確かに時間イノベーションは良い視点だと思いますが、人は心地よい体験を求める生き物です。

これから私達が考えるイノベーションは効率だけでなく心地よい体験も融合したものでなければ、お客様に飽きられてしまうと思うのですが、いかがでしょうか?





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