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ロジラテ思考_イノベ塾「行き詰まったマーケットの復活 中国の生命保険編 」#D02

生命保険のセールスは、顧客のところに出向いて要望を聞き、フィットした保険を提案することが仕事です。

しかし、お客様は保険と聞いただけで、「聞き飽きたぁ」、「なんだかよく分からない。まだ自分には関係ないからいいよ」と話しを中々聞いて貰えない厳しい営業です。

今日のお話は、このビジネスモデルを変えるイノベーションを起こした中国の生命保険会社「平安保険」のお話します。

1.事例 平安保険が始めたイノベーション編

【何が起こったのか】
1998年に中国で創業した平安保険は、2017年に時価総額21兆円に成長した凄い保険会社です。

しかし営業マンたちは日ごろノルマに追われて、いったん保険を売った顧客のところに足を運ぶ時間もなく、疲弊していました。

その結果、売り上げは段々落ちていき、新しいアイデアもでなくなってサービスの質が低下していきました。

当時の経営トップは、このことに危機感を感じ、営業マンにさらに発破をかけるなど手を打ったのですが、下がる一方でした。

そこで、考えを改めて、顧客がなぜ平安保険から離れていったのか?
顧客の困りごとは何かを調査したうえで、今後の戦略を考えることにしました。

※このストーリーは、藤井 保文. アフターデジタル2 UXと自由). 日経BPより一部引用させて頂いております。


2.調査の結果分かったこと

1)劣悪な医療環境
 ●
中国に医者は沢山いるが、良質なドクターと悪質なドクターが入交
  じっている。
 ●診察の予約が取れない
 ●大きな病院に診てもらうには、町医者の紹介状がないと診てもらえない

2)健康管理ができていない
 ●慢性疾患を誘発する栄養問題、運動不足の解消は、自分の力だけでは
  健康管理ができない
 ●保険金の支払いが年々増えている

中国にも患者のことを考える親切な医者がいますが、医師免許をもたず医業をしているドクターや、金銭目的のドクターなども沢山いるそうです

しかし大きな病院に診てもらうためには、町医者の紹介状がないと受けられず、予約をとることも大変で診てもらうまでに病状が悪化してしまう場合もあるそうです。

またバランスの悪い食事や、たばこ、運動不足などから疾患を悪化させる人も多く、健康管理も大きな問題になっていることが分かりました。

3.発見したイノベーションの種

平安保険は、この調査結果から、全ての顧客との接点をもつサービスとアプリを作って、そこから得た情報でサービスできる仕組みを開発できないかと考えました。

つまり、顧客の困り事とは、良質なドクターの予約、健康管理、支払い方法など、顧客との接点を「核となる課題」と考えたのです。

1)平安保険が作ったイノベーションの種
平安保険が起こしたイノベーションは、グッドドクターというアプリを作り、顧客との繋がりを強化するというものでした。

グッドドクターとは、以下のようなアプリです。
●良質なドクターを平安保険が厳選し、グッドドクターを通していつでも
 予約できるようにした。
●病院に行く前に、無料でドクターに相談できるようにした
●良質なドクターを評価ポイント制にして、顧客はいつでもポイント評価
 を見られるようにした
●スマホにグッドドクターをインストールすると、その日の運動量、血圧
 の記録などが入力され、通院が必要になったらアドバイスがくるように
 した。

2)起きたイノベーション
●平安保険の営業マンは、保険を売る仕事からアプリを勧めることが仕事
 になった
●グッドドクターアプリの導入顧客は2億人になった(2018年)
●保険加入者の健康管理の効果で、保険金支払いが減少した。

4.ロジラテ思考ノートで情報を整理してみると

上記をロジラテ思考ノートで情報を整理すると以下のようになります。
日ごろ、起きたことを記録していくと、マーケットの変化やイノベーションのタネが見つかるはずです。

平安保険の事例は上記のとおりですが、実はもっと大きな成果があったのです。それは顧客から頂いたこんな声でした。

「平安保険は、自分より自分の体のことを知っている。真の友人のようだ」

素晴らしいイノベーションです。
そう思われませんか?

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