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「人の立ち振る舞いは、立場によって見え方が変わる」というお話です。

今日は、お気楽な記事です。

先日、長年お世話になった方の葬儀で、受付を頼まれたときのことです。

私は型どおり、弔問客の香典を受け取り、記名を頂く係をしておりました。

弔問客の中に50代くらいの紳士が、丁寧な物腰で香典を差し出し記帳されたのですが、物腰といい、達筆な文字といい、腕時計や万年筆といい、かなりのステータスを持った紳士だと感じました。

紳士は記帳が終って焼香の順番が回ってきたとき、ほかの弔問客とは違って長い時間 遺影をじっと見つめ、そっと手を合わせる姿は故人との関係の深さを感じました。

っとまぁ ここまでは心から哀悼の意を示し、故人を偲んだ体なのですが、この後、驚くべき事があったのです。

暫くしたら、なんとその紳士がまた受付にいらっしゃって、私にこう囁きました。

紳士
「あのぉ。。。 誠にお恥ずかしい話なのですが。。。」


「はい、なんでしょうか? 何か不手際がございましたでしょうか」

紳士
「いえ、そうではなくて、実は、、、葬儀会場を間違えまして。。。」

「隣の葬儀場だったのを、間違えてこちらで焼香してしまいました。

「ご遺影を見て気づいたのですが、失礼かと思いご焼香させて頂きました」

「本当に申し訳ありませんでした。」

「誠に恐縮ですが、香典をご返却頂ければと思います」


「あぁ。。そういうことでしたら、すぐにお返し致します」

紳士
「本当に申し訳ございませんでした。」
「ご遺族の方にも、お詫びしたい気持ちをお伝え下さい」

この紳士の気持ちを考えると、本当に恥ずかしかったんだろうと思います。

私は、彼が長い時間、遺影を見ながら焼香する姿を見て
「故人とは、かなり深いご縁があったんだろうなぁ」
っと思っていたのですが。

しかしこの紳士は、遺影を見ながらこんな風に焦っていたと思います。
「あれ? この人は誰だ?」
 「うん?! やっぱり知ってる人じゃない! 
 「でも、焼香しないと帰れないし。。。取り敢えず焼香しよう」
 「ご遺族へのご挨拶も。。。気まずいなぁ。。。。」

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今思うと、人の見え方はは面白いですよね。

私は、紳士の焼香する姿は、心から故人を偲んでいるように見えた。

 この紳士は、焦りと恐縮した気持ちで恐縮していた。


私と紳士は、まったく逆な思いを持っていたにも関わらず、立ち振る舞いはなぜか哀悼の気持ちが伝わってくる。(笑)

これ。。。落語に出てきそうな場面ですよね。
人間って、面白く、可愛げのある生き物ですよね。。。。(苦笑)


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