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『元気がない社員』がいる会社の特徴。_「問題を見える化」するコミュニケーション術
こんな会社、結構あると思います。
「取り立てて、大きな問題があるわけではないのに、業績があがらない」
「取り立てて、大きな問題を起こす社員はいないのに、社員が元気ない」
「会議はいつも上司がしゃべるだけ。社員から意見も異見もあがらない」
「チャレンジや、イノベーションがない」
こんな会社は末期症状ですが、会社が大きくなればなるほど、多かれ少なかれこんな症状はあるのではないでしょうか?
今日は、なぜこんなことが起きてしまうのか?
そんな状況をどうしたら脱却できるのか?
についてお話します。
1.なぜ社員の元気がないのか?
ハーバード大学 エイミー・C・エドモンドソン教授の研究によれば、社員が安心して意見、異見を述べられる雰囲気がある職場では、早期に問題が発見されて失敗から学習したり、イノベーションの種を見出すことができるそうです。
つまり、元気な社員が沢山いるということです。
まぁこれは当たり前の話ですが、この本で指摘されたことはこれだけでなく、もっと興味深い指摘がありました。
それは、マネージャーがチームが一丸となっていると喜んでいても、本当はメンバーが心理的安全性を感じていないことで、意見や異見を言わないことに気づかないことです。
チーム の 結束 性 は、 異論 を 唱える こと に対する 積極性 を 弱め て しまう 可能性 が ある。
具体的 に 言う と、 結束 し て いる 多く の グループ では、 重要 な 問題 について どうやら みんな の 意見 が 一致 し て いる らしく その ため に 生まれ て いる 調和 を 乱し たく ない と 人々 は 思う の だ。
ー(中略)ー
一方、 心理的 安全 は、 反対 意見 が 期待 さ れ たり 歓迎 さ れ たり する 雰囲気 について 述べ て いる。 そして 反対 意見 に対して 寛容 で ある ため に、 生産的 な 話し合い と 問題 の 早期 発見 が 可能 に なる。
エイミー・C・エドモンドソン. チームが機能するとはどういうことか 英治出版株式会社
この事例を、私達の現場に置き換えるとこんなことではないでしょうか。
「上司は部下の話を聞かない。」
「部下は、余計なことを言わない方が出世すると思っている。」
「部下は、上手くいっていることだけ報告した方が良いと思っている。」
この状態は、かなりヤバい状況です。
成果を上げられないどころか、不祥事、ねつ造、不正が露呈するころには手遅れとなって、企業存続が危ぶまれる状況になりかねません。
2.職場に「心理的安全」がないと、成果は上がらない
成果を上げる職場や不正がない職場とは、「心理的安全」が担保されて失敗の容認や反対意見を歓迎するムードがある職場です。
しかし、反対意見や問題を公にすることは勇気がいることです。
社員にいくら心理的安全を伝えたとしても、人は簡単に信用して口を開いてくれません。
では、この状況を打開するにはどうしたら良いのか?
ここにフォードのCEO アラン・ムラーリ氏の素晴らしいマネジメントがありますのでご紹介します。
マネジャー たち に、 報告 書 を 色分け する よう に 指示 し た。 よい 報告 なら 緑、 注意 を 促す もの には 黄色、 問題 を 提起 する もの なら 赤、 という 具合 で ある。
最初 の 数回 の 会議 では、 マネジャー たち が 大半 の 業務 について 緑 に 色分け し て い た ため、 ムラーリー は 苛立た しい 思い を し た。
そこで、 会社 が 最近 どれ ほどの 損失 を 出し て いる かを 思い出さ せ、 あらゆる こと が 本当に うまく いっ て いる のか 厳しく 尋ね た。
誰 かが 率直 な 意見 を 示す には この よう に 促さ れる こと が 必要 だっ た わけ だ が、 やがて 一人 が おずおず と 初めて 黄色 の 報告 書 を 出し た。
誰 もが あっと 息 を 呑ん だ が、 それ も つかの間、 ムラーリー が 拍手 し、 緊張 は ほどけ た。
エイミー・C・エドモンドソン. チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ 英治出版株式会社
マネージャーが、このような素晴らしいマネジメントを行えば、心理的安全は担保できます。
あと残された課題は、メンバーと成果に焦点を当てたコミュニケーションです。
3.メンバーと質の高いコミュニケーションをする有効な方法は「ロジラテ思考マネジメント」です。
私の記事をお読み頂いている読者は、薄々お気づきになっているかもしれませんが、最も有効な方法は「ロジラテ思考マネジメント」です。
何か問題が起こったとき、以下のプロセスで問題を分析し、メンバーとのコミュニケーションはこれを元に進めます。
What(現実) 何が起こったのか?
Why(仮説) なぜそれが起こったのか?
Why(課題) 本当に解決すべき問題は何か?
How(戦術) 課題を解決するために何をすればいいのか?
Result(結果) 結果の測定
このWhat、Why、How、Resultを、ムラーリー氏の色分けシートに書き込めば、ビジネスのトリアージを行い、同時に質の高いコミュニケーションをメンバーと行えます。
これ、、、、どこかの企業で是非実践して効果を把握してみたい!
もしご興味があれば、お声がけ下さい!