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『木漏れ日に泳ぐ魚』(英単語一つで人生の本質が学べる! 82)


Today's English

Komorebi 「木漏れ日」

日本語における「木漏れ日」は、英語圏にはない表現で、一言で英訳することができない。しかし、"Oxford Blog"というサイトでは木漏れ日という表現は英語にも必要だとして説明をしており、今回はそれを紹介したい。
"This word refers to the sunlight shining through the leaves of trees, creating a sort of dance between the light and the leaves."「この(木漏れ日という)言葉は、木の葉の隙間に差し込む輝く日光、そして情景が映し出すダンスのようなもの」だと説明されている。ただの木漏れ日という現象だけでなく、その現象が映し出す芸術的感性まで表現しているところが素晴らしい。

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keep in mind 「心に留めておく」



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Content

久々に本を読んだので、読書感想文として本記事を進めていきたいと思う。今回一読したのは、恩田陸さんによる『木漏れ日に泳ぐ魚』である。まず簡単なあらすじを紹介したい。

舞台は、アパートの一室。男女二人が長い同棲に終止符を打とうとしているなか、「実は相手は殺人犯だったのではないか」という疑問が芽生える。証拠を得るために互いが心理戦を仕掛けるなか、両者の過去が少しずつ明らかになっていくと同時に、過去が思わぬ真実が浮かび上がるのである。

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https://www.amazon.co.jp/木洩れ日に泳ぐ魚-文春文庫-恩田-陸/dp/4167729032

久々に休日の時間をとって熟読してみたのだが、本はやっぱり独特の世界観がある。良い本は物語の起承転結の過程だけでなく、さりげない一文にかけがえのないメッセージを残しているものだ。更には今まで知らなかった日本語の優れた表現も載っているため感性の揺らぎがあり、深く考えさせられる。

例えば今回登場した「蜜月時代」という言葉は、「結婚して間もない仲の良い期間。 まだ結婚して間もない時期」を指している。恋愛において付き合い当初は、初々しさから周りが見えなくなり、相手の悪いところも良く見えてしまう。それゆえ相手の悪意すら良心だと捉えてしまうことがあるのだ。

そして今回最も心に残っている箇所は、同棲相手に疑問を感じた一瞬の出来事である。主人公が帰宅した際、新しいマフラーを身につけていたことを相手に指摘され、彼はそのマフラーを引っ掛け棒か何かに吊るす。

一見するとごく普通の動作であるが、同棲相手は一縷の違和感を感じ取ってしまう。今までの日常であれば、主人公は話題となったそのマフラーを一度「手に渡してくる」という確信があった。しかしながらその手をすり抜け、何かに吊るされたそのマフラーは、「誰かからもらったマフラーである」という憶測が漂ってしまうのだ。

一縷の瞬間に感じた違和感は、やがて徐々に頭を支配し終いには相手への疑心暗鬼へと変化する。何気ない動作であったはずなのに、その何気ない動作が二人の関係を変えていってしまうのである。

おそらくこのような一瞬の出来事というのは見逃してしまうのが人間である。情報社会の中では目まぐるしい変化に晒されており、「何気ないもの」へと目を向けにくい。しかしながら人間は、上記のような違和感となり得るものを意識せずともどこかで感じ取っており、それは脈絡なく突如表面化するのであろう。そしてその厄介な疑心に囚われ支配されていく。

さて、これ以上はネタバレになりそうなので控えることとする。最近、Twitterで村上春樹が批判されているツイートを見かけたが、批判している人は本当に彼の作品を読んでいるのだろうか。何かを語るときは、やはり自分が体験していないと何の説得力もない。経験してやっと語ることができるのだ。筆者もこのことを忘れないように心に留めておこう。

そして筆者はよく批評をする立場なのだが、やはり「0から1」を生み出した人には到底敵わないと思うのだ。作家の価値ある時間を使って生み出した創作物を何の尊敬も無く罵倒する人は、そんなに偉いのだろうか。そう思ってしまう。何事も寄り添いの一歩が大切である。仮に嫌いなものやことに対しても、一歩寄り添うだけで何か得るものは必ずある。現代人はそんなに忙しく周りが見えなくなってしまったのであろうか。悲しみである。


Review

Komorebi 「木漏れ日」

日本語における「木漏れ日」は、英語圏にはない表現で、一言で英訳することができない。しかし、"Oxford Blog"というサイトでは木漏れ日という表現は英語にも必要だとして説明をしており、今回はそれを紹介したい。
"This word refers to the sunlight shining through the leaves of trees, creating a sort of dance between the light and the leaves."「この(木漏れ日という)言葉は、木の葉の隙間に差し込む輝く日光、そして情景が映し出すダンスのようなもの」だと説明されている。ただの木漏れ日という現象だけでなく、その現象が映し出す芸術的感性まで表現しているところが素晴らしい。

keep in mind 「心に留めておく」


Addition(追記)

筆者は本を読んだ時、感じたことをメモする癖をつけている。どんなに素敵なフレーズに出会ったとしても忘れてしまうのが人間だ。そうならないようにも、メモしておくと良いだろう。以下、駄文であるがメモを記しておく。


人の理性には理由がある。「何故勧めたのか」

蜜月時代→一瞬の不安が走る

破滅願望

食料品は生き物。命はしっかり重たい。

相手のことよりも自分のことはもっと知らない。

マフラーを無意識に彼女に触らせない。虚しさ。寂しさ。他の誰かを想っている。日常のある瞬間

恋は勘違い。共通点。運命に変換。目が似ている。偶然、初めての生徒。

相手の立派さが怖くなる。逆説的に自分が何もない弱い存在であることを証明している。→だからこそ束縛する人も多い。

相手の好きなものを合わせる。でも分かる

「安全な気がする。」普通がどれだけ怖いか知っているのか。

醜さ、嫉妬、疑惑が別次元の人間。いつか知ったとき。
弱さ。胸にしまっておけなくて、詰めが弱い。最後には自分から分かるように仕向けてしまう。

1、人の理性には理由がある。「何故勧めたのか」
2、この世には例え金があっても、時間があっても、どれだけお互いを愛していてても決して結ばれない人たちがいる。
3、禁断の恋。それは燃え上がる。やってはいけないこと。
4、抜け出して1ヶ月一緒に住むのか。
5、二つの感情があったはず。私は本当に好きなんだ。でも、もし禁断ではなくなったら冷めてしまうかも知れない。
6、恋は追うのが楽しい。かなわぬ恋は追い続けることができる。
7、個人として見て欲しい。


See you!!!

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