ゲーム「Flock」レビュー 「どうぶつの森」好きにオススメ
こんにちは、ばしーです。
10年ほどスマホゲームの開発/運営などでディレクター業をやっておりまして、現在フリーランスでゲームに関わるお仕事してます。
(たまには冒頭で軽く自己紹介してみる)
、Flock(フロック)というゲームに制作者目線での発見があったので記事にしてみました。
タイトル通り、どうぶつの森のようなゆったりとした世界で、まったり遊べる収集系のゲームです。
個人的にも、3D空間を探索して無心になって収集物を集めていくという作業ゲーは好きなので割とハマっちゃいました。
このゲームの評価も少し交えながら、ゲーム制作者目線で、「なるほど!ここが発明だな〜」と膝を打ったポイントがあったのでそこを最後つながる記事を書いてみます。
良かった点を挙げていきつつレビュー
とっつきやすい操作性と自分のペースでゆったり遊べるゲーム性。
シンプルでありながらトゥーン調の美麗なグラフィック。ゲームの世界観にあったポップでいて大自然を感じさせるリアリティ。
奇妙な野生生物たちが可愛い ※個人の主観が大いにあります
シンプルでフラットなデザインの生物たちが鳴き声を相まってかわいいです。
目が丸くて表情を感じさせない何を考えてるか分からないキャラデザインが個人的に好きで魅力的でした。
野生生物を収集するという明確でわかりやすいゲームの目的。探し出す楽しさと発見したときの喜び。
少しずつ世界が広がっていくという、単純でいて強力なミッションクリア型の分かりやすいゲームデザインで推進力を生み出している点。
収集自体がエンドコンテンツとなっているので、ゲームの進行だけが目的ではなく、くまなくコレクション要素としてこの世界を探索し続けられる要素。自分のペースで遊べる点も良い。
コアとなっている生物を捕まえるミニゲームはとっつき悪い点もあるが慣れればなんとなく分かってくる。捕まえるという作業がプレイヤーが吹く笛のメロディによって誘惑するという演出もこの世界とマッチしていて、架空の生物ながらいきいきとした、絵だけでない聴覚を使ったシズル感が立ち上がってきます。
説明しながら良かった点を挙げてみましたが、なんとなーくはどんなゲームか理解いただけたでしょうか。
シンプルながら美しい自然を
鳥にまたがり、自由に移動し笛でメロディを奏で奇妙な生物たちを収集していく
端的にはそんなゲームです。
少しのアクション性は伴いますが
操作感は快適で複雑な操作もなく、この世界を飛び回るというだけで心地よい体験があります。
媚びすぎないかわいい世界観は好感が持てるし、この世界に十分に浸れるように自然のリアリティや環境によるグラフィックもクオリティが高く没入できる要素を抑えてしっかりと作られています。
ゲーム進行にまつわるゲームデザインもそれなりに設計されており、ダレることもなく進められるのも良い点です。
なので、タイトルにしたように
あつ森女子にオススメのゲームなんです
「他のゲームはどれも操作が難しくて出来ない」
「覚えることが多くてややこしいゲームばかり」
「ゆったり、まったり遊びたい」
ちょっと背伸びしてゲームっぽいゲームに挑戦してみたい
という、あつ森デビュー女子くらいにオススメのゲームです。
血なまぐさい超難易度ゲーや何度も同じことを繰り返しさせられるローグライクゲーなんかに疲れたそこの旦那にもオススメ
何も考えずに
ただただ、世界を飛び回ってコレクション要素を集めるだけのゲームで癒やされてみるのも吉です。
ゲームデザインがしっかりあって、雰囲気ゲーでもなく、ただのお遣いゲーでもなく、コレクションゲーだけでもなくバランスがしっかり構築されてる良ゲーです。
前フリが長くなってしまいましたが本題の話。
ターゲットに向けたゲーム性と弱点の克服
ゲームビジネスというのは以前に記事で書きましたが
・どのターゲットに向けて売るのか
・そのターゲットに面白いと思ってもらえるか
面白そうと思ってもらえるか?
と
面白いと思ってもらえるのか?
この2つの視点が必要です。
(推測も交えながらになりますが)
このゲームのビジュアルから、ゴリゴリのゲーマーたちには刺さらないゲームです。
子供や女性、ライトゲーマー向け、インディーゲーム好きなどに向けたゲームでしょう。
よって、ゲーム性自体もそれほど複雑にするのではなく、すぐに理解出来て何をすればよいか分かるゲームが好ましい。
また、ゲームの深さ(複雑性)による楽しさや面白さはそれほど必要ではなく
(ターゲットユーザーをバカにしているわけではなく、ゲーム熟練度によって面白さを深くしすぎないことも大事ということ)
分かりやすい、発見する楽しさ、収集する楽しさ、ビジュアルの美しさ、世界を飛び回る楽しさ
など、シンプルな「楽しさ」で構築されていることが大事になってきます。
この収集系のゲームデザインにおいての一番のメリットは、複雑なゲーム構造を必要とせず、しっかり面白さとわかりやすさを両立出来る点です。
いわゆる、壮大な「間違い探しゲーム」
間違い探しって、めちゃくちゃルールがわかりやすいですよね、誰でもすぐに楽しめるドシンプルなゲームです。
間違い探しゲームを楽しくするには大きな舞台が必要
要素還元するために「間違い探し」と表現していますが
「世界を飛び回って、何かを発見する遊び」
を
探す ➔ 見つける
として抽象化しています。
この「探す」という行為には「探す場所」が必要になってきます。
そして「見つける」という行為には複雑性(ビジュアル)が必要になってきます。
探す場所 ➔ 広ければ広いほうが探し甲斐があるゲームになる
見つける場所 ➔ 複雑な環境物がある方がゲームを作りやすい
間違い探しゲームを楽しくするための課題点は操作性
上記で記載したように
・広い舞台を用意すること
・情報量の多い環境を用意すること
この2つが実現出来ると、面白い収集系ゲームが作れる土台になります。
ここで問題になるのが操作性です。
広い舞台を移動するための快適な操作が要求される
➔移動の快適性がないとストレスになってしまう
この課題自体は昨今のオープンワールドゲームなどを想像してみると分かるのですが
本編のゲームと他に収集要素が設定されているゲームがほとんどで、やはり収集物を集めていく移動作業は骨が折れる作業です。
巨大なゲームではそれがおまけ要素となるので、オマケ要素に合わせて操作性をチューニングするわけにはいかないので、移動手段などが解放されていくことでそこを補ったりしますよね。
例えば、ゼルダのコログ探しとか
スパイダーマンのサイドミッションやらトークン集め
などなどオープンワールドゲームではよくある仕様です。
脱線しましたが、この収集要素を本編においたゲームがFlockなので
そこを解決する方法が必要になってきます。
足かせとなるプレイヤーの移動方法の秀逸な最適化
Flockでは鳥にのった主人公が自由に地上の少し上を飛び回って快適に世界を回れる仕組みを採用しています。
かといって、地形が平坦なわけではなく(そうしてしまうと探す行為に深みが持てない)
地形も立体的に表現されており、多くの起伏が存在します。
そこで問題になってくるのが操作性。
3D空間をプレイヤーに操作させると唐突にゲームが難しくなります。
空間認識の認知負荷と、操作の3次元対応が非常にゲームのとっつきづらさを助長してしまうから。
このゲームのターゲットをここで思い返してほしいのですが
ゲームをゴリゴリプレイしている人「じゃない人たち」がターゲットでしたよね。
これを解決するために、操作性は複雑にせず、世界を複雑にしたまま操作出来る方法の最適化に「なるほど!」となったのは
地形に沿ってプレイヤーは常に移動するという方法でした。
プレイヤーは平面の操作性で移動を立体的に自動で行えるんです。
3次元を意識しなくても3次元空間で「探す」楽しさを味わえるといううまい作り方になっているんですね。
地面にある程度の距離感で追随しながら移動出来る仕組みというのはそれほど珍しいものではないとはいえ
ゲームのコンセプトやターゲット、ゲームデザイン的に必要なものを活かしながら解決点を探し当てたというところにこのゲームの素晴らしさを垣間見た。
というお話でした。
結論まで少し説明が長くなってしまいましたが
このFlockというゲーム
まったりプレイするにはちょうどよいサイズ感のゲームなので
永遠に続くソシャゲやお話を追いかけることに疲れてゲーム離れしている方仕事忙しくてゲームやる暇ないし、重いゲームはしんどい
みたいな方々にオススメのゲームです。
(作業系好きじゃない方は合わないです)
そういう、ゲームに興味あるけどゲーム離れを起こしている人たちには
こういうよいサイズ感のよい体験のゲームって届けるすべがないので
さまざまな温度感でゲームをプレイできるモノがあるよっていう
認知がされていくことで、多くの人がゲームを娯楽として楽しめるようになるとよいなと思っています。
ということで今回の記事は以上です。
Flockは
プレイしている人少なそうな気がしていますが
自分もこのゲームお気に入り!って方は
いいねなど押して帰っていただけると励みになります。