金管バンドの誤解
多くの人が誤解をしていることがある。
それはサクソルン属系金管楽器と金管バンドについてだ。
金管バンドは基本編成28名で構成されていてその中に
・コルネット10本
・フリューゲルホーン1本
・テナーホーン3本
・バリトンホーン2本
・ユーフォニアム2本
・トロンボーン3本
・ベース4本
・打楽器3名
こういう楽器がある。
例えばよく言われる「金管バンドはサクソルン属系金管楽器によって構成されているアンサンブルです。」という説明がある。
でもサクソルン属系金管楽器(brass instruments from Saxhorn family)って実はこの中では
・テナーホーン
・バリトンホーン
・ユーフォニアム
・ベース
の11本しかいない。(我らがYAMAHA曰くT.Horn&B.Hornのみ)
あとのコルネット、フリューゲル、トロンボーンの14本はサクソルン属系ではない「金管楽器」だ。
(フリューゲルは少し曖昧、でも僕はフリューゲルという名前がドイツ語の翼(Flügel)から来ているのでベルギーで生まれフランスで発表されたサクソルンとは違う系統と考える。)
フリューゲルを除いたとしても(11名対13名)+打楽器3名
金管バンドがサクソルン属系金管楽器によって構成されていると言うには少し無理がある。金管バンドの音色の個性を生み出しているのは間違いなくサクソルン属系金管楽器であるけれど、一般の聴衆に説明するときは
「オーケストラや吹奏楽で使われるような金管楽器の他に、木管楽器のサクソフォンを発明したアドルフ・サックスによって発明されたサクソルン、このファミリーの中にいるサクソルン属系金管楽器と打楽器によって構成されているアンサンブルです。」となる。
・・・長い。
となると、「金管楽器と打楽器で構成されていて、吹奏楽から木管楽器やコントラバスを抜いたアンサンブルです。」がわかりやすい。
あとよく日本で10年前に聞いていたのが
「オーケストラや吹奏楽をやりながら金管バンドをやると口が壊れて下手になる」
という意見。
ロンドンシンフォニーオーケストラ(LSO)の首席トランペット奏者
Philip Cobbは金管バンドでも有名な救世軍系の家系を出自としており幼い頃からコルネットや金管バンドにも多く触れ育っている。
スターウォーズのレコーディングなどを行う世界のトップバンドの一つであるLSOの首席を務める奏者が、金管バンド出身なのであれば金管バンドと他大編成アンサンブルを並行して行った際に口がおかしくなるというのは本当に「人による」ところが大きいのではないか、一概には決して言えない。
僕たち専門家が声を大にして誰にでもわかりやすく金管バンドのことについて説明ができていない現状も大いに関係しているのは多大なる反省点であるが(河野が簡単にまとめた内容)、まずは
なんで?そうなの?と疑問に感じ、ググってみる
というのはとても大事だ。
自分たちが演奏しているアンサンブルについて、何でもかんでも人に聞いた情報やネットに落ちている情報を鵜呑みにするのではなく、その大元の情報が信頼がおける情報なのかよく見極め、パンフレット、プログラム、演奏会中の司会などで説明をするのは我々に必要なことではないだろうか
河野なりにまとめて解説している動画はこちら
今日はちょっとアカデミックな内容、ご読了いただきありがとうございました。質問や感想はコメントにどうぞ
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