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6万件弱あったキーワードを整理して158%のUU増加に繋がるSEO戦略を示した話

この記事は 株式会社ベーシック Advent Calendar 2024 、5日目の記事です。

株式会社ベーシックでPLG事業部の事業戦略部に在籍している竹下です。
アドベントカレンダー企画ということで、僕からはformrunのSEO対策にまつわるアウトプットをしたいと思います。

自分は現職に至るまではマーケターとしてのキャリアを歩み、とりわけSEO領域の職に就いていました。
そんな背景もあり、2024年4月ごろにマーケ部の方からオウンドメディアのキーワード設計に関する相談を受けたのが話のはじまりです。

結果として、UU数にして158%の成長に貢献することができました(すごくうれしい)。

今回、具体的な手法に関する言及は避けますが、トピックとしてはなかなか表に出てこない話だとも思います。
このnoteを通して、新年からのマーケ施策を見直すきっかけを作ることができれば幸いです。


「書けば順位が上がる」にひそむ2つの課題

そもそもformrunのオウンドメディアには6年弱の歴史があり、特定のトピックでは「書けば順位が上がる」ほど検索エンジンから評価されていました。

だからこそ、とても悪い意味で、記事執筆の意思決定軸が「検索ボリューム」に偏重していました。
新しい機能がリリースされれば「それに関連する単一キーワードを題材に記事を1本書こう!」といった具合に、粛々と意思決定されている状況でした。

その結果、大きく2つの課題が潜在していました。

1. 検索上位獲得できていないロングテールワードが大量に存在した

ひとつめの課題は、いわゆる「ロングテール戦略」の「テール」部分を取り損じる状況が発生していた点です。

引用:平成18年版 情報通信白書

確かに、顧客の獲得効率の面だけで言えばビッグキーワードに偏った意思決定は正しいと思います(書けば順位が上がるならなおさら)。

一方で、(事業数値を中長期的に俯瞰した際の)CACの観点では、これはネガティブな状況だと考えます。SEOは事業全体の顧客獲得コストを押し下げることができるチャネルだからです。

2. 検索上位獲得できていても、ランディング先のページが適切でない場合があった

ふたつめに、単一キーワードを目標に執筆した記事が、広範かつ大量のキーワードで上位表示されている状況がありました。

こちらも一見してポジティブな状況ですが、獲得できているキーワードが広範すぎるあまり「検索者の疑問に答えきれない」問題が発生する原因となります。

これは「CVRの悪化」という最悪の形で露見します。
ですから、相談を受けた当時は「いますぐテコ入れすべきだ」と確信しました。

余談ですが、似たような状況は(比較的)規模が大きい企業のオウンドメディアでよく見ます。心当たりがある方も多いのではないでしょうか。
ベーシックでは広くマーケティングの相談ができるソリューションメニューも提供していますので、新年からのスタートダッシュに僕たちの知見をぜひお役立てください。

参考:BtoBマーケをどこからでも支援|ferretソリューション

課題解決のカギとなったのは「キーワード設計」

以上2点の課題に対して、解決策として実施したのは以下3つの要素からなるキーワード設計です。

  1. 検索キーワードを "理論上漏れなく" 洗い出す

  2. キーワードごとの検索意図を定量化しクラスタリングする

  3. クラスターごとに対応方針を振り分ける

詳しい言及は避けます(ごめんなさい)が、実行するにあたって僕が重要視し、結果として勝因となった部分をお伝えできればと思います。

勝因1. オウンドメディアの課題が生じた根本的な原因を突き止めることから始めたこと

まずは、これから解決しようとしている課題がなぜ発生しているのか?その根本的な原因を突き止めることから着手しました。
そうでなければ、課題解決のための打ち手を見誤ったり、今後同じことを繰り返してしまうことにも繋がります。

前述の通り、formrunのオウンドメディアには6年弱の歴史があります。
ですから、その過程でどのような方が関わっており、どのような意思決定があった末で、現状に至っているのかキャッチアップすることから始めました。

その結果、打ち手として最適だと考えたのが「キーワード設計」でした。

勝因2. 可能な限りサードパーティーツールの利用は避け、設計のアプローチがブラックボックスにならないよう努めたこと

キーワード設計にあたっては、Ahrefsやラッコキーワードなどのサードパーティーツールの利用を可能な限り避けました。
これらのSEMツールは非常に有用である一方で、アウトプットの算出ロジックは明かされていないことの方が多いからです。

今回、課題解決にあたっては「市場に存在する検索キーワード(≒検索者のニーズ)」をいかに取りこぼさないか?という点が重要でした。
ですので、設計者としてはどのように取りこぼしがないのか?という点の説明ができなければなりません。

そのため、設計の元となるキーワードは、社内外の有識者に相談しつつ算出ロジックを精緻に組み立て、これ以上取りこぼしが存在しない状態まで洗い出しました。(この点、社内のデータグループの方には大変感謝です!)

勝因3. モダンなアプローチを取り入れたこと

その他、自分が知る限りは(比較的)先進的で、スマートなアプローチを取り入れたことも勝因のひとつだったと振り返っています。

前述した「クラスタリング」はその代表例で、SEMツール各社(国内だとファベルカンパニーさんや、ウィルゲートさんなど)が機能実装している一方で、なかなか現場には取り入れられないアプローチだと思います。機会も少ないですし。

今回これを取り入れることができたのは、社内のデータアナリストの方や、社外のマーケ担当者さんとのコミュニケーションから着想を得ていたことが理由です。
そうしたコミュニケーションの機会を会社が作ってくれたり、自ら積極的に求めたりしたことが実利に繋がった瞬間でもありました。今後も大事にしていきたいと思います。

以上の取り組みによって、UU数にして158%の成長に貢献することができました。
僕は具体施策の実行には関わりませんでしたが、日々レポーティングされる数値を横目に、形容できない嬉しさを感じていたのはここだけの話です。嬉しかったです、本当に。

おわりに

というわけで、今回は2024年にformrunで取り組んだSEO施策の一部分を紹介させていただきました。

総括して、この件に関してはさまざまな人の知見や努力がひとつとなって実利に結びついた好例だと捉えています。
だからこそ、このnoteを通して一番伝えたいことは「様々な領域のスペシャリストとの交流は重要」ということです。

それをないがしろにして、SEMツールが5秒で吐き出したアウトプットを頼りに「数字を並べて記事を書く」のは、たぶんあんまり良くないだろうなと思います。
そんな考えもあって、僕は「SEOはビジネスの総合格闘技だ」という表現をよく使います。そのくらい、幅広い知識が役立つ場です。
だからこそ、ここまでnoteを読んで下さったあなたには、2025年はどんどん交流を増やしていただきたいなと思います。

「マーケの壁打ちができる場なんてないんだけど!」と思った方、ぜひベーシックの "フェレットソリューション" にご相談ください。
さまざまなバックボーンとスキルセットを持つコンサルタントと、マーケティングに関する「相談や依頼」ができるサービスです。

と、最後は営業じみてしまいましたが、他者との交流・意見交換は本当に利に繋がるものだと思いますので、あらためておすすめさせてください。

明日はそんなferretOneの鈴木さんが「AIとプロダクトの進化」について投稿される予定だそうです。
AI関連ですと、formrunの長田さんが寄稿した “問い合わせを減らすAI”とは?formrunが挑む次世代サポートの全貌 の話も実利があって非常におもしろかったです。ぜひこちらもご覧下さい。

ベーシックのアドベントカレンダー企画はこちらから確認できます。

それでは、ありがとうございました。


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