都築郷士 ちよつとはみだ詩・❲六〇❳ 附・詩人の為の(秋冬)ワードローブ集
詩人、谷川俊太郎は「五十音図」に美を見出だしている。縦軸に母音、横軸に子音を配列して仮名を整理したこの表は、唱えてみると確かに音の響きの快さがあり、「耳」を大切にする詩人好みの、ある種の美しさをもっている.. - 『日本語はいかにつくられたか?』小池清治
【小雨混じりと云ふことは】
曇り、小雨混じり
兄が
KFにお前(私)の欲しい
と言つてゐた、
ツータックのパンツ、出て
ゐたぞ と言ふ
(KFはチェーン展開の古着屋)
傘たづさへて
とつとこと と
散歩がてら隣町まで行つてくる
のもいゝが
今日は月曜日、
その店 定休日であつた。
どうやら
積極的休養は吉と出ぬやう
だから、私は寝てゐた - Ha,
さうさ寝てゐたさ、
夢の腐る迄にね。
きみに分かるか
(以下突然に繰り言なので破棄)..
©都築郷士
【短詩】
鹽入りの麦茶まだ飲む蒸すな十月
※
漢字には初め音なきわが國だ、萬葉仮名の進歩ありあり
※
釣り趣味とせぬ吾アが四万十シマント戀ひて久し
※
眼精と云ふが精つくもんなのか?
※
俳句でも短歌でもないたゞの「短詩」である。四半世紀の句歌キャリアの末、試みるものだと、頭の片隅に置いて欲しい。都築。
【美味ちんぼ】
鰡ボラ、刺身は
臭ひと云ふが
それは魚肉のかをりと
違ふ?
少なくとも私
の食すあの刺身は
美味い。
だが何しろ
鮪の血合ひ
づけにしてうまうま
茶漬けを食ふ男である、
刺身つてのは
魚の血の味
あぢはふ料理だと
辻先生も
おつしやつてゐらした、
ぞ。
©都築郷士
【虚言箴言】
魚のことは秋刀魚の腹ワタに訊け。- 北大路魯山人 (大嘘)
美味しんぼと來たのでこの人である。秋刀魚のワタ食へぬは魚道入るべからず、である。秋刀魚苦いかしよつぱいか。
【今夜の金ぼし】
暴露する爆発をする馬喰の艱難辛苦の末裔(すゑ)檸檬置く(©都築郷士)
馬頭観音尊像は何処にも見当たらない。なんて歴史の歪曲だ!(しかし、梶井の顔は、縄文系でも彌生系でもなく、たゞ猿つぽいばかり、失敬、であつた。)
しかし梶井基次郎はもてたのだ。文學でもてることの出來る時代であつた。女の心に映る梶井の顔は、コブラの整形前の色男のそれ、だつた。才能に「濡れた」のだ。
まあいゝでせう。もしかしたら私も(ないない)..。そんぢやまた、アデュー!
キャスケット被りし私の肖像はアル·カポーンの売り出し時代か
(©都築郷士)オマケ!